ピロティー

いまさら小次郎

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20:00, Friday アルバートホテル 7階にて

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押し倒された身体の両脇に膝をついて、弘が覆いかぶさってきた。

「してほしいことがあったら、言ってね」
「…これから何をするのか、思考を巡らせているところです」
「あ、そっか。そこからか」

弘は静かに笑いながら、左耳の下に唇を落としてきた。
人に乗っかられるのは、こんなに圧迫感を感じるものなのか。
今なら"される側"の気持ちが、少し分かるような気がした。
下になるというのは、どこか支配されているようで、無条件に降伏しなければならないような不自由さを感じる。

「…とりあえず、入るのかどうかが、心配です」
「入る入る」
「本当ですか…」
「君が、俺を信用してくれたらね」

こいつ。

「人間の体に、固いところなんてないでしょう。どこも弾力があって、柔らかい。
力を抜いていれば、入るよ」

確かに、緊張すればそれだけで身体が固くなる。

「まずは体の力を抜いて、俺に委ねてくれるのが一番かな」

それが一番、難しいんだ。
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