73 / 88
第六章 夢であり、幻であっても
73
しおりを挟む
「…とりあえず、命に関わることじゃないみたいで、良かったな」
「…うん」
病院を後にした2人は、
龍司の家に戻った。
リビングのソファに腰掛けると、
身体の力が一気に抜けた。
サクラの熱は一時的なもののようで、
安静にするように医者に言われた。
仕事と"例の夢"のことで振り回されていた自分の感情を、
敏感に感じ取ったのかもしれない。
接してやれなかったことが、
サクラにストレスをかけることになってしまったのかもしれない。
後悔ばかりが、心に重くのしかかる。
「このところ、サクラにちゃんと構ってやれてなかったから…変化にも気づけなかった」
「龍司…」
「サクラがいなくなったら……耐えられない」
龍司は大きく溜息を吐くと、
ソファの背もたれに身体を預け
両手で顔を覆った。
しばしの沈黙が流れた後、
孝之はソファから勢いよく立ち上がった。
弾みでソファが大きく揺れ、
龍司が顔から手を離す。
視線を上げると、目の前で孝之が正座をしていた。
「何…」
「………こないだは…すいませんでした。その…サクラのこととは…関係ないけど」
頭を深々と下げる孝之に、
龍司は小さく溜息を吐いた。
「いつもはあんなことにはならないんだ。久々に会った奴と飲んだらつい、話が盛り上がって…それで…」
龍司はまた一つ、小さな溜息をついた。
「…心配したんだ。玄関開けたら、うつ伏せで倒れててたんたぞ。何かあったんじゃないかって…」
「…ごめん」
「…ったく、どうせどこかの女の家と間違えでもしたんだろ」
「いや…俺、お前の所に言って良いかって、メールしただろ」
「………え………?」
「…うん」
病院を後にした2人は、
龍司の家に戻った。
リビングのソファに腰掛けると、
身体の力が一気に抜けた。
サクラの熱は一時的なもののようで、
安静にするように医者に言われた。
仕事と"例の夢"のことで振り回されていた自分の感情を、
敏感に感じ取ったのかもしれない。
接してやれなかったことが、
サクラにストレスをかけることになってしまったのかもしれない。
後悔ばかりが、心に重くのしかかる。
「このところ、サクラにちゃんと構ってやれてなかったから…変化にも気づけなかった」
「龍司…」
「サクラがいなくなったら……耐えられない」
龍司は大きく溜息を吐くと、
ソファの背もたれに身体を預け
両手で顔を覆った。
しばしの沈黙が流れた後、
孝之はソファから勢いよく立ち上がった。
弾みでソファが大きく揺れ、
龍司が顔から手を離す。
視線を上げると、目の前で孝之が正座をしていた。
「何…」
「………こないだは…すいませんでした。その…サクラのこととは…関係ないけど」
頭を深々と下げる孝之に、
龍司は小さく溜息を吐いた。
「いつもはあんなことにはならないんだ。久々に会った奴と飲んだらつい、話が盛り上がって…それで…」
龍司はまた一つ、小さな溜息をついた。
「…心配したんだ。玄関開けたら、うつ伏せで倒れててたんたぞ。何かあったんじゃないかって…」
「…ごめん」
「…ったく、どうせどこかの女の家と間違えでもしたんだろ」
「いや…俺、お前の所に言って良いかって、メールしただろ」
「………え………?」
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
首輪 〜性奴隷 律の調教〜
M
BL
※エロ、グロ、スカトロ、ショタ、モロ語、暴力的なセックス、たまに嘔吐など、かなりフェティッシュな内容です。
R18です。
ほとんどの話に男性同士の過激な性表現・暴力表現が含まれますのでご注意下さい。
孤児だった律は飯塚という資産家に拾われた。
幼い子供にしか興味を示さない飯塚は、律が美しい青年に成長するにつれて愛情を失い、性奴隷として調教し客に奉仕させて金儲けの道具として使い続ける。
それでも飯塚への一途な想いを捨てられずにいた律だったが、とうとう新しい飼い主に売り渡す日を告げられてしまう。
新しい飼い主として律の前に現れたのは、桐山という男だった。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる