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第六章 夢であり、幻であっても

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「…とりあえず、命に関わることじゃないみたいで、良かったな」
「…うん」

病院を後にした2人は、
龍司の家に戻った。
リビングのソファに腰掛けると、
身体の力が一気に抜けた。

サクラの熱は一時的なもののようで、
安静にするように医者に言われた。

仕事と"例の夢"のことで振り回されていた自分の感情を、
敏感に感じ取ったのかもしれない。
接してやれなかったことが、
サクラにストレスをかけることになってしまったのかもしれない。
後悔ばかりが、心に重くのしかかる。

「このところ、サクラにちゃんと構ってやれてなかったから…変化にも気づけなかった」
「龍司…」
「サクラがいなくなったら……耐えられない」

龍司は大きく溜息を吐くと、
ソファの背もたれに身体を預け
両手で顔を覆った。

しばしの沈黙が流れた後、
孝之はソファから勢いよく立ち上がった。
弾みでソファが大きく揺れ、
龍司が顔から手を離す。
視線を上げると、目の前で孝之が正座をしていた。

「何…」
「………こないだは…すいませんでした。その…サクラのこととは…関係ないけど」

頭を深々と下げる孝之に、
龍司は小さく溜息を吐いた。

「いつもはあんなことにはならないんだ。久々に会った奴と飲んだらつい、話が盛り上がって…それで…」

龍司はまた一つ、小さな溜息をついた。

「…心配したんだ。玄関開けたら、うつ伏せで倒れててたんたぞ。何かあったんじゃないかって…」
「…ごめん」
「…ったく、どうせどこかの女の家と間違えでもしたんだろ」
「いや…俺、お前の所に言って良いかって、メールしただろ」
「………え………?」
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