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第四章 夢か、幻か

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龍司は自由の許す限り身体を揺すって男の手を払いのけようとするが、
男の手は胸の先端を通り過ぎて鎖骨を優しく撫でた。

「おまえをずっとさがしてる…」

ずっとずっとさがしてると、何度も呟かれた。
身に覚えのない大柄な男。
必死の抵抗はむなしく、毎度こうして身体に触れられている。

「何で…何でなんだよ…何で男に触られなきゃいけないんだ……」

なんで、こんなことに。
夢が自分の妄想だとしても、
男に興味を持ったことはない。
自分の隠された欲望?
勘弁してほしい。

「リュウジ…どこにいる…?リュウジ…」
「何を言って…わ…ちょ…おい!」

男は龍司の服の中に手を入れたまま首元に舌を這わせてきた。
首筋に張り付く湿った感触を得ると、
龍司の両肩がすくんだ。
必死に首を左右に振っていると、
男の顔が徐々に近づいてくる。

唇が当たりそうなほど顔を近づけられると、
いつもそこで目が覚める。
どういう訳か、男の顔は白いもやに包まれていて見えないでいた。
口元までは、はっきりと見て取れたのに。

「……勘弁……してくれ………」

大量の汗で濡れた額を左手の甲で拭い取り、
枕の横に置いた携帯の時計を見た。

時計は、夜中の3時を指していた。
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