【完結】伯爵令嬢は愛する騎士の仲を引き裂く運命に逆らいます

朝日みらい

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 ブルームはオカリナを救うために、グールたちとの死闘に挑んだ。

 苛烈に剣を振り回し、グールたちの首や腹を切り裂いていく。

 グールたちはブルームの勢いに押されて、じりじりと後退した。

 しかし、彼らはまだ諦めなかった。

 グールたちは群れを作って、ブルームに集中攻撃を仕掛けてきたのだ。

 ブルームは盾で身を守りながら、剣で応戦した。

 グールたちの隙を見逃さず、一撃一撃を繰り出す。

 グールの動きを読み、弱点を突いた。グールの首を切り落とし、その死体を蹴り飛ばした。

 グールたちはブルームの剣の前に次々と倒されていった。

 とうとうブルームはグールを一人で撃退し、オカリナのもとへ駆け寄った。

 彼女の無事を確認した。怪我をしていたが、命に別状はなかった。

 オカリナをひしと抱きしめ、彼女の頭を撫でた。
 
 それから携帯用の薬箱を取り出し、オカリナの傷を消毒して、包帯を巻いた。

 ブルームはオカリナの手当てをしているときに、彼女の腕や足や背中に、青あざや傷跡や痣があるのに気づいた。

 月明りに照らしだされたオカリナの顔にも、誰かが平手打ちしたと思われる赤い跡や、引っ張られたと思われる抜け毛がある。

 オカリナの体に、グールではない、人間の暴力の証拠がいくつもあるのを見て、ブルームは激怒した。

「こんなことをされていたなんて……。すまない。もう大丈夫。もう一人じゃない。俺が守るから」

 彼女を抱きしめた。

「ブルーム、ありがとう。あなたが来てくれてよかった……」

「いったい誰にこんなことをされたんだ?」

 オカリナはこれまでの自分の生活について話し出した。婚約者のエドワーズにされたことを洗いざらい話した。

 ブルームはだまって聞いていた。

「俺は絶対、君を離さない」

 彼はオカリナに自分の部屋で一緒に暮らすことを提案した。

「ブルーム、ありがとう」

 彼らは馬にまたがって、森から出て行った。

***

 ブルームの住んでいる場所は、王城の近くにある騎士団の宿舎だった。

 ブルームはオカリナを宿舎に連れて帰った後、すぐに調書を呼んだ。

 調書は騎士団の記録係であり、事件や事故や証言などを書き留める役割を担っていた。

 ブルームは調書にオカリナの体にある傷や痣や抜け毛などの暴行の痕跡を見せて、それらを詳細に記録させた。

 調書はオカリナの体を検分して、その状況や大きさや形や色などを紙に書き写した。

 オカリナに暴行の経緯や加害者の名前や関係などを尋ねて、それらも紙に書き加えた。

 その後に紙にサインをさせて、それをブルームに渡した。

 ブルームは紙を受け取って、それがオカリナの暴行の証拠となることを確認した。

 彼はオカリナを自分の部屋に運んだ。浴室で湯あみをさせて、その後に傷口を消毒し、清潔な包帯を巻いた。

 それからオカリナをベッドに座らせて、温かいスープを飲ませた。

「もう安心していいから」

「わたしを一人ぼっちにしないで……」

「わかった。ゆっくり休んで。俺は横にいる」と言って、彼女を寝かしつけると、自分は床にシーツを敷いて横になった。
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