10 / 19
(10)
しおりを挟む
ブルームはオカリナを救うために、グールたちとの死闘に挑んだ。
苛烈に剣を振り回し、グールたちの首や腹を切り裂いていく。
グールたちはブルームの勢いに押されて、じりじりと後退した。
しかし、彼らはまだ諦めなかった。
グールたちは群れを作って、ブルームに集中攻撃を仕掛けてきたのだ。
ブルームは盾で身を守りながら、剣で応戦した。
グールたちの隙を見逃さず、一撃一撃を繰り出す。
グールの動きを読み、弱点を突いた。グールの首を切り落とし、その死体を蹴り飛ばした。
グールたちはブルームの剣の前に次々と倒されていった。
とうとうブルームはグールを一人で撃退し、オカリナのもとへ駆け寄った。
彼女の無事を確認した。怪我をしていたが、命に別状はなかった。
オカリナをひしと抱きしめ、彼女の頭を撫でた。
それから携帯用の薬箱を取り出し、オカリナの傷を消毒して、包帯を巻いた。
ブルームはオカリナの手当てをしているときに、彼女の腕や足や背中に、青あざや傷跡や痣があるのに気づいた。
月明りに照らしだされたオカリナの顔にも、誰かが平手打ちしたと思われる赤い跡や、引っ張られたと思われる抜け毛がある。
オカリナの体に、グールではない、人間の暴力の証拠がいくつもあるのを見て、ブルームは激怒した。
「こんなことをされていたなんて……。すまない。もう大丈夫。もう一人じゃない。俺が守るから」
彼女を抱きしめた。
「ブルーム、ありがとう。あなたが来てくれてよかった……」
「いったい誰にこんなことをされたんだ?」
オカリナはこれまでの自分の生活について話し出した。婚約者のエドワーズにされたことを洗いざらい話した。
ブルームはだまって聞いていた。
「俺は絶対、君を離さない」
彼はオカリナに自分の部屋で一緒に暮らすことを提案した。
「ブルーム、ありがとう」
彼らは馬にまたがって、森から出て行った。
***
ブルームの住んでいる場所は、王城の近くにある騎士団の宿舎だった。
ブルームはオカリナを宿舎に連れて帰った後、すぐに調書を呼んだ。
調書は騎士団の記録係であり、事件や事故や証言などを書き留める役割を担っていた。
ブルームは調書にオカリナの体にある傷や痣や抜け毛などの暴行の痕跡を見せて、それらを詳細に記録させた。
調書はオカリナの体を検分して、その状況や大きさや形や色などを紙に書き写した。
オカリナに暴行の経緯や加害者の名前や関係などを尋ねて、それらも紙に書き加えた。
その後に紙にサインをさせて、それをブルームに渡した。
ブルームは紙を受け取って、それがオカリナの暴行の証拠となることを確認した。
彼はオカリナを自分の部屋に運んだ。浴室で湯あみをさせて、その後に傷口を消毒し、清潔な包帯を巻いた。
それからオカリナをベッドに座らせて、温かいスープを飲ませた。
「もう安心していいから」
「わたしを一人ぼっちにしないで……」
「わかった。ゆっくり休んで。俺は横にいる」と言って、彼女を寝かしつけると、自分は床にシーツを敷いて横になった。
苛烈に剣を振り回し、グールたちの首や腹を切り裂いていく。
グールたちはブルームの勢いに押されて、じりじりと後退した。
しかし、彼らはまだ諦めなかった。
グールたちは群れを作って、ブルームに集中攻撃を仕掛けてきたのだ。
ブルームは盾で身を守りながら、剣で応戦した。
グールたちの隙を見逃さず、一撃一撃を繰り出す。
グールの動きを読み、弱点を突いた。グールの首を切り落とし、その死体を蹴り飛ばした。
グールたちはブルームの剣の前に次々と倒されていった。
とうとうブルームはグールを一人で撃退し、オカリナのもとへ駆け寄った。
彼女の無事を確認した。怪我をしていたが、命に別状はなかった。
オカリナをひしと抱きしめ、彼女の頭を撫でた。
それから携帯用の薬箱を取り出し、オカリナの傷を消毒して、包帯を巻いた。
ブルームはオカリナの手当てをしているときに、彼女の腕や足や背中に、青あざや傷跡や痣があるのに気づいた。
月明りに照らしだされたオカリナの顔にも、誰かが平手打ちしたと思われる赤い跡や、引っ張られたと思われる抜け毛がある。
オカリナの体に、グールではない、人間の暴力の証拠がいくつもあるのを見て、ブルームは激怒した。
「こんなことをされていたなんて……。すまない。もう大丈夫。もう一人じゃない。俺が守るから」
彼女を抱きしめた。
「ブルーム、ありがとう。あなたが来てくれてよかった……」
「いったい誰にこんなことをされたんだ?」
オカリナはこれまでの自分の生活について話し出した。婚約者のエドワーズにされたことを洗いざらい話した。
ブルームはだまって聞いていた。
「俺は絶対、君を離さない」
彼はオカリナに自分の部屋で一緒に暮らすことを提案した。
「ブルーム、ありがとう」
彼らは馬にまたがって、森から出て行った。
***
ブルームの住んでいる場所は、王城の近くにある騎士団の宿舎だった。
ブルームはオカリナを宿舎に連れて帰った後、すぐに調書を呼んだ。
調書は騎士団の記録係であり、事件や事故や証言などを書き留める役割を担っていた。
ブルームは調書にオカリナの体にある傷や痣や抜け毛などの暴行の痕跡を見せて、それらを詳細に記録させた。
調書はオカリナの体を検分して、その状況や大きさや形や色などを紙に書き写した。
オカリナに暴行の経緯や加害者の名前や関係などを尋ねて、それらも紙に書き加えた。
その後に紙にサインをさせて、それをブルームに渡した。
ブルームは紙を受け取って、それがオカリナの暴行の証拠となることを確認した。
彼はオカリナを自分の部屋に運んだ。浴室で湯あみをさせて、その後に傷口を消毒し、清潔な包帯を巻いた。
それからオカリナをベッドに座らせて、温かいスープを飲ませた。
「もう安心していいから」
「わたしを一人ぼっちにしないで……」
「わかった。ゆっくり休んで。俺は横にいる」と言って、彼女を寝かしつけると、自分は床にシーツを敷いて横になった。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説

彼の秘密はどうでもいい
真朱
恋愛
アンジェは、グレンフォードの過去を知っている。アンジェにとっては取るに足らないどうでもいいようなことなのだが、今や学園トップクラスのモテ男へと成長したグレンフォードにとっては、何としても隠し通したい黒歴史らしい。黒歴史もろともアンジェを始末したいほどに。…よろしい。受けてたちましょう。
◆なんちゃって異世界です。史実には一切基づいておりませんので、ご理解のほどお願いいたします。
◆あらすじはこんなカンジですが、お気楽コメディです。
◆ざまあのお話ではありません。ご理解の上での閲覧をお願いします。スカッとしなくてもクレームはご容赦ください。

婚約破棄で命拾いした令嬢のお話 ~本当に助かりましたわ~
華音 楓
恋愛
シャルロット・フォン・ヴァーチュレストは婚約披露宴当日、謂れのない咎により結婚破棄を通達された。
突如襲い来る隣国からの8万の侵略軍。
襲撃を受ける元婚約者の領地。
ヴァーチュレスト家もまた存亡の危機に!!
そんな数奇な運命をたどる女性の物語。
いざ開幕!!
婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。
国樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。
声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。
愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。
古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。
よくある感じのざまぁ物語です。
ふんわり設定。ゆるーくお読みください。

某国王家の結婚事情
小夏 礼
恋愛
ある国の王家三代の結婚にまつわるお話。
侯爵令嬢のエヴァリーナは幼い頃に王太子の婚約者に決まった。
王太子との仲は悪くなく、何も問題ないと思っていた。
しかし、ある日王太子から信じられない言葉を聞くことになる……。

君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
悪役令嬢の逆襲
すけさん
恋愛
断罪される1年前に前世の記憶が甦る!
前世は三十代の子持ちのおばちゃんだった。
素行は悪かった悪役令嬢は、急におばちゃんチックな思想が芽生え恋に友情に新たな一面を見せ始めた事で、断罪を回避するべく奮闘する!

悪役令嬢を追い込んだ王太子殿下こそが黒幕だったと知った私は、ざまぁすることにいたしました!
奏音 美都
恋愛
私、フローラは、王太子殿下からご婚約のお申し込みをいただきました。憧れていた王太子殿下からの求愛はとても嬉しかったのですが、気がかりは婚約者であるダリア様のことでした。そこで私は、ダリア様と婚約破棄してからでしたら、ご婚約をお受けいたしますと王太子殿下にお答えしたのでした。
その1ヶ月後、ダリア様とお父上のクノーリ宰相殿が法廷で糾弾され、断罪されることなど知らずに……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる