【完結】６人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

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　ザネリはそう言って、エリーナを引っ張りました。　エリーナはぼろぼろのドレスを着て、パーティに行くことにしました。

　ザネリはエリーナを助けて、ドレスを手直ししました。ドレスの色を染め直したり、破れを縫ったり、汚れを落としたりしました。レースやリボンや花などの飾りを付けました。ザネリはドレスに新しい命を吹き込んでくれたのです。

　ザネリはエリーナの髪を巻いて、アップにして、ピンやクリップで留めました。エリーナの顔に薄い化粧を施しました。アクセサリーをつけ、エリーナにネックレスやピアスやブレスレットや指輪などを他のメイドたちから借りてきてくれました。

　エリーナはザネリのおかげで、見違えるほど美しくなりました。

「ザネリ、ありがとう」

　エリーナはそう言って、ザネリに抱きつきました。ザネリはエリーナに微笑みかけました。

「エリーナ様、どういたしまして。私はあなたの幸せを願っています。さあ、パーティに行きましょう」


　エリーナは両親が主催するパーティーに出席しました。パーティーには貴族や王族が集まっていました。

　パーティの様子は、華やかで賑やかでした。邸宅は花やろうそくやランプで飾られており、明るく暖かい雰囲気を作り出していました。美味しい料理や飲み物が提供され、サロンでは、様々な種類の飲み物が用意されており、伯爵家の料理人や使用人たちが作ったり運んだりしました。

　ダンスホールでは、生演奏が行われており、ワルツやポルカやマズルカなどの踊りが踊られていました。

　フローラはパーティーでダンスの主役になっていました。バレリーナとしての技術と経験を生かして、さまざまな踊りを披露しました。とっかえひっかえ、パートナーを抱えながら、ダンスフロアを華麗に舞いました。自分の容姿と才能と身分に誇りを持っていました。

　フローラは皆の注目を浴びていることに満足しました。得意げな様子で、笑顔やポーズやジェスチャーで、自分の魅力をアピールしました。パーティーで一番目立とうとしました。


　エリーナはドレスを着て髪を整えていましたが、それでも他の人たちに埋もれてしまっていました。彼女は誰からも話しかけられることがなく、ただ壁際で立っているだけでした。

　パーティーの途中で、両親が来場者に兄姉を紹介し始めました。クララは自分の絵画を披露し、エドワードは騎士団長に称賛され、フローラはダンスパートナーを求められ、グレゴリーは自分の発明品を見せました。彼らはみな、パーティーの華として注目されていました。

　しかし、エリーナには誰も目を向けませんでした。自分の存在が邪魔になると思って、小部屋の片隅に隠れました。彼女は自分の兄姉がどれだけ素晴らしいかを見て、自分の平凡さが恥ずかしかったのです。涙をこらえることができず、ひそかに泣き始めます。

　しかし、そのとき、彼女の部屋にノックが鳴りました。彼女は驚いて、ドアを開けました。そこには紳士が立っていました。金髪に青い目を持ち、豪華な服装をしていました。

「ヴィクトール様…！」