上 下
4 / 35

(4)

しおりを挟む
 フローラは踊りの才能が認められて、都の中心の劇場の宿舎に住んでいました。彼女は王立バレエ団の一員として、様々な舞台に出演していました。

 エリーナはザネリを連れて、馬車で劇場の宿舎に向かいました。

 都の中心にある宿舎は劇場と隣接しており、バレイ団やオペラ団などの芸術家たちが住んでいます。宿舎は豪華で快適で、各部屋にはベッドや机や椅子などの家具が備えられていました。

 宿舎には共用のキッチンやダイニングルーム、リビングルーム、バスルームなどもあります。宿舎には花や絵画などの装飾品も飾られています。

 フローラは宿舎の一番上の階にある部屋に住んでいました。

 彼女の部屋は広くて明るくて、窓からは都の景色が見えます。ベッドや机や椅子だけでなく、ミラーやバレエバーなどもあります。彼女の部屋には自分のポスターなども貼られていました。

 彼女は金髪のショートヘアを持ち、瞳の色は緑です。肌は小麦色で、頬には健康的な赤みがさします。身長は平均より少し高く、スタイルは抜群です。

 ドレスは赤や黒などの濃い色で、フリルで飾られ、耳にはダイヤモンドのピアスをつけていました。

「フローラ姉様、すみません」

 エリーナは恐る恐る声をかけました。

「私、お願いがあってきました」

「何よ、エリーナ」

 フローラは冷たく言いました。

「私は忙しいのよ。早く言ってちょうだい」

「私、2週間後のパーティーに参加したいんです」

 エリーナは言いました。

「でも、ダンスができなくて…お姉さまにダンスを教えてほしいんです」

「何? パーティーに参加したいですって?」

 フローラは驚きました。

「あなたが? パーティーに?」

「はい…」

 エリーナは頷きました。

「無理でしょ」

 フローラは断りました。

 「あなたにダンスを教える暇なんてないわ。それに、あなたがパーティーに出たら、私たちの恥になるわ。あなたがパーティーに出る資格なんてないわ」

「そんな…」

 エリーナは傷つきました。

「だから、さっさと帰ってちょうだい」

 フローラは命令しました。

「私を邪魔しないで」

 部屋を出て劇場の前の広場で涙ぐんでいると、声を掛けられました。

「どうされました? 何か困ったことでも?」

 エリーナは、声の主に振り返りました。

 ひとりの紳士が立っていました。

 背が高く細身で筋肉質な体つきをしています。顔立ちが整っており、金髪を後ろに束ねており、目の色が青くて、鋭い眼光をしています。スーツは黒や紺などの暗い色で、金や銀のボタンや刺繍で飾られています。胸元にはダイヤモンドのブローチがついていて、手には白い手袋をはめています。

「どなた…ですか?」

「レディ。失礼しました。わたしはヴィクトール・ベルンシュタイン公爵です」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

呪われ令嬢、王妃になる

八重
恋愛
「シェリー、お前とは婚約破棄させてもらう」 「はい、承知しました」 「いいのか……?」 「ええ、私の『呪い』のせいでしょう?」 シェリー・グローヴは自身の『呪い』のせいで、何度も婚約破棄される29歳の侯爵令嬢。 家族にも邪魔と虐げられる存在である彼女に、思わぬ婚約話が舞い込んできた。 「ジェラルド・ヴィンセント王から婚約の申し出が来た」 「──っ!?」 若き33歳の国王からの婚約の申し出に戸惑うシェリー。 だがそんな国王にも何やら思惑があるようで── 自身の『呪い』を気にせず溺愛してくる国王に、戸惑いつつも段々惹かれてそして、成長していくシェリーは、果たして『呪い』に打ち勝ち幸せを掴めるのか? 一方、今まで虐げてきた家族には次第に不幸が訪れるようになり……。 ★この作品の特徴★ 展開早めで進んでいきます。ざまぁの始まりは16話からの予定です。主人公であるシェリーとヒーローのジェラルドのラブラブや切ない恋の物語、あっと驚く、次が気になる!を目指して作品を書いています。 ※小説家になろう先行公開中 ※他サイトでも投稿しております(小説家になろうにて先行公開) ※アルファポリスにてホットランキングに載りました ※小説家になろう 日間異世界恋愛ランキングにのりました(初ランクイン2022.11.26)

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~

Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。 走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる

kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。 いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。 実はこれは二回目人生だ。 回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。 彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。 そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。 その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯ そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。 ※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。 ※ 設定ゆるゆるです。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください

LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。 伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。 真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。 (他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…) (1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

やり直すなら、貴方とは結婚しません

わらびもち
恋愛
「君となんて結婚しなければよかったよ」 「は…………?」  夫からの辛辣な言葉に、私は一瞬息をするのも忘れてしまった。

貴族との白い結婚はもう懲りたので、バリキャリ魔法薬研究員に復帰します!……と思ったら、隣席の後輩君(王子)にアプローチされてしまいました。

ぽんぽこ@書籍発売中!!
恋愛
秀才ディアナは、魔法薬研究所で働くバリキャリの魔法薬師だった。だが―― 「おいディアナ! 平民の癖に、定時で帰ろうなんて思ってねぇよなぁ!?」 ディアナは平民の生まれであることが原因で、職場での立場は常に下っ端扱い。憧れの上級魔法薬師になるなんて、夢のまた夢だった。 「早く自由に薬を作れるようになりたい……せめて後輩が入ってきてくれたら……」 その願いが通じたのか、ディアナ以来初の新人が入職してくる。これでようやく雑用から抜け出せるかと思いきや―― 「僕、もっとハイレベルな仕事したいんで」 「なんですって!?」 ――新人のローグは、とんでもなく生意気な後輩だった。しかも入職早々、彼はトラブルを起こしてしまう。 そんな狂犬ローグをどうにか手懐けていくディアナ。躾の甲斐あってか、次第に彼女に懐き始める。 このまま平和な仕事環境を得られると安心していたところへ、ある日ディアナは上司に呼び出された。 「私に縁談ですか……しかも貴族から!?」 しかもそれは絶対に断れない縁談と言われ、仕方なく彼女はある決断をするのだが……。

処理中です...