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第二章 朝起きたら、悲劇のヒロインになっていました

第14話 まったく耳が痛い話

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 奈々は、ゴクンと思わず、唾を飲み込んだ。
「糾弾するって、どんなことをですか?」

 職員は、言いづらそうに、こめかみに手をやりながら、言った。
「詳しいことは、これから議員たちが発言しますから差し控えます。簡単に言いますと、国家財政を傾けている王妃の行為を訴えて、それを改めない場合は捕らえて、裁きを下すという議決になるのかもしれません」

「裁きって、つまり、絞首刑で火あぶりですか?」
 奈々は前のめりになって、さらにきいた。

「まさか。王妃様の絞首刑なんて、国王様がお許しにはならないでしょう。あくまで、議会は、国王に対して意見を述べる場です」

「それはよかった」 
 奈々は胸をなで下ろした。

 隣で聞いていたアルフレド元国王が、王妃の肩に手を置いた。
「それでも、アグネッタ。お前は勇気がある。耳が痛い話でも、ちゃんと聞く耳を持つことが、上に立つ者には大切だからな」

「ありがとうございます、お父様」
 奈々は笑顔で、頭を下げた。

 議場の壇上には、一番中央には、国王のみが座ることが許される玉座が置かれ、その一列には王族たちの椅子が並べられている。

 奈々とアルフレド元国王は、並んでそこに座った。
 そこからは、議場全体が一望できた。
 玉座の前には順に議長席、登壇者の踏み台があり、その両脇には大臣たちの椅子とテーブルがあった。
 舞台下には、議員たちのテーブルと椅子が半月状に配置されていて、ぞろぞろと議員たちが自席に座り始めている。

 議場の上部の2階3階には、吹きぬけの観覧席になっており、貴族や王宮に勤める職員、記者たちがこぞって詰めかけている。
 その2階の前席にマリオネが陣取り、心配そうに奈々を見下ろしている。
 
 舞台脇から続々と、大臣たち、最後に議長が現れて、王妃と元国王に一礼して、座した。

 議事堂の屋根に据えられた時計塔の鐘が開始を告げた。
 議場はシンと静まり、おもむろに議長が立ち、声を張り上げた。

「では、これから、議会を開始いたします。議題は、王妃様への糾弾、となります」
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