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 バタバタ、あわただしい足音とともに、なぎさ先生とミノワさんがやってきた。その脇で、グネグネちゃんが不安そうにのぞいている。

「なぎさ先生、へんな黒いもの、出てきたんです。もう、消えちゃったけど」

 パロパロちゃんが、心配そうにハンカチを手渡した。

「やっと出たな。でかしたパロパロちゃん。ありがとうね」

 パロパロちゃんの頭をなでた後、なぎさ先生はあたしをひと目みるなり、

「ミノワさん、お皿ください。どっさりね」

と早口で言った。あわててミノワさんが抱えてくると、

「ハクちゃん、立てる?」
「は、はい」

 あたしはなぎさ先生に手をひかれながら、踏み台に向かった。

「さあ、ゴーグルと手袋、ちゃんとつけて。ほら、しっかりお皿もって」
「えっ、でも、あたし」 

 とまどいながらなぎさ先生を見たけど、先生はくちびるをぎゅっとむすんで、火山の方をにらんでいた。
「投げるときは、お腹からちゃんと息をすいなさい。そして、大声を出す。もう、はき出すのは今しかないよ。さあ、ブラックホールをふき飛ばせ」

 肩をおされて、あたしは一歩前に進んだ。皿を見つめる。いびつな、へこんだ皿が、何だかはっきりしないあたしの顔に見えてきた。笑ってるんだか、泣いてるんだか、はっきりしない、仮面みたいな顔。するとまた、腹の底がうずいてきた。
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