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アナリスは、思わず赤面してしまう。
すると、ラファエルはさらに続けた。
「さすがに初めてで、それは可哀そうだからやめたけど、抱くのは平気だった?」
(なっ……!)
アナリスは、絶句してしまった。
彼は優しく微笑むと、アナリスの頬を撫でた。
「それに、今日は君にとっても大変だっただろうしね。私も大変だったんだよ、自制するのがね」
「え?」
(どういう意味だろうか? 抱くこと?)
戸惑うアナリスをよそに、ラファエルはそっとアナリスの胸に触れた。
「ひゃあぁんっ!」
突然のことに、思わず声を上げてしまう。
すると彼は、満足そうに微笑んだ。
「アナリス、君の身体はとても美しいね。白くて柔らかい」
(な、何? どういうこと?!)
アナリスはパニックに陥りそうになったが、すぐに冷静に考えてみた。
(まさか……私なんか、いやいや……そんなはずは……)
嫌な予感を覚えつつ、恐る恐る聞いてみることにする。
「あのぅ……」
「ん?」
ラファエルは不思議そうな顔をしたが、すぐに笑顔に戻った。
「心配しなくていいよ。今日はこれ以上、手を出さないからね」
「あ、はい……」
(よかったぁ……)
アナリスは安堵した。
やはり彼は紳士のようだ。
だが──。
「だからせめて、今晩は一緒に寝よう? だめかな?」
そう言うと、ラファエルはアナリスを抱きしめ、そのままベッドに横になった。
そして、アナリスの長い髪に顔を埋めると、大きく深呼吸をした。
(えっ? あ、あのぅ……?!)
戸惑うアナリスをよそに、彼はそのまま寝入ってしまった。
どうやら、本当に眠ってしまったようだ。
「えっと……殿下? 殿下?」
(ど、どうしよう……?)
アナリスは途方に暮れてしまったが、無理に起こすのも悪いと思い、そのまま寝ることにした。
(殿下ってお茶目ね……すごく、胸がドキドキしちゃうな)
翌朝までずっとラファエルに抱きしめられたままだったが、不思議と嫌な感じはしない──。次第に安堵感に包まれて、深い眠りに落ちていった。
✴✴✴
翌朝──目が覚めると、隣には誰もいなかった。
一瞬、夢かと思ったが、そうではないらしい。
ベッドサイドテーブルの上に、メモが置かれていることに気がついたからだ。
(何かしら……?)
手に取って読んでみる。そこには、こう書かれていた。
すると、ラファエルはさらに続けた。
「さすがに初めてで、それは可哀そうだからやめたけど、抱くのは平気だった?」
(なっ……!)
アナリスは、絶句してしまった。
彼は優しく微笑むと、アナリスの頬を撫でた。
「それに、今日は君にとっても大変だっただろうしね。私も大変だったんだよ、自制するのがね」
「え?」
(どういう意味だろうか? 抱くこと?)
戸惑うアナリスをよそに、ラファエルはそっとアナリスの胸に触れた。
「ひゃあぁんっ!」
突然のことに、思わず声を上げてしまう。
すると彼は、満足そうに微笑んだ。
「アナリス、君の身体はとても美しいね。白くて柔らかい」
(な、何? どういうこと?!)
アナリスはパニックに陥りそうになったが、すぐに冷静に考えてみた。
(まさか……私なんか、いやいや……そんなはずは……)
嫌な予感を覚えつつ、恐る恐る聞いてみることにする。
「あのぅ……」
「ん?」
ラファエルは不思議そうな顔をしたが、すぐに笑顔に戻った。
「心配しなくていいよ。今日はこれ以上、手を出さないからね」
「あ、はい……」
(よかったぁ……)
アナリスは安堵した。
やはり彼は紳士のようだ。
だが──。
「だからせめて、今晩は一緒に寝よう? だめかな?」
そう言うと、ラファエルはアナリスを抱きしめ、そのままベッドに横になった。
そして、アナリスの長い髪に顔を埋めると、大きく深呼吸をした。
(えっ? あ、あのぅ……?!)
戸惑うアナリスをよそに、彼はそのまま寝入ってしまった。
どうやら、本当に眠ってしまったようだ。
「えっと……殿下? 殿下?」
(ど、どうしよう……?)
アナリスは途方に暮れてしまったが、無理に起こすのも悪いと思い、そのまま寝ることにした。
(殿下ってお茶目ね……すごく、胸がドキドキしちゃうな)
翌朝までずっとラファエルに抱きしめられたままだったが、不思議と嫌な感じはしない──。次第に安堵感に包まれて、深い眠りに落ちていった。
✴✴✴
翌朝──目が覚めると、隣には誰もいなかった。
一瞬、夢かと思ったが、そうではないらしい。
ベッドサイドテーブルの上に、メモが置かれていることに気がついたからだ。
(何かしら……?)
手に取って読んでみる。そこには、こう書かれていた。
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