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その人はとても美しくて魅力的で──まるで王子様のようにさえ見えたのだ。
髪の色も瞳の色も違うはずなのに、なぜか似て見えるのは気のせいだろうか?
いや、きっとそうに違いない。
だって、彼はわたしの兄なのだから。
「お兄様なの……?」
わたしは震える声で尋ねた。
すると、彼は微笑んで言った。
「そうだよ。会いたかった……」
そう言ってわたしを抱きしめると、唇にキスをしてきたのだった。
お兄様にとって、この二年間は慣れない辺境の地の統治者としての苦労があったのだろう。
以前よりも胸板が厚くなって、逞しくなっていた。
「お兄様……」
わたしは愛おしさを感じて彼の胸に顔を埋める。
すると、お兄様がわたしの頭を優しく撫でてくれた。
それが心地よくて、つい甘えてしまうのだ。
(ああ……もっとしてほしいな)
わたしがそんなことを思っていると、彼は優しく微笑んでくれた。
そして再び抱きしめてくれると、耳元で甘く囁いた。
「愛しているよ」
わたしは幸せで胸がいっぱいになった。
(私もよ……)
そう言いたかったけれども言葉にできなかったので、代わりに彼の胸に顔をうずめると、ぎゅっと抱きしめてくれたのだった。
「お兄様……」
「ん? なんだい?」
わたしが呼びかけると、彼は甘い声で返事をした。
わたしは顔を見上げると言った。
「私も……愛しています」
すると、彼は嬉しそうな表情をしてわたしの頬を撫でてくれたのだ。
そして再びわたしたちは口づけを交わした。
(幸せ……)
わたしは心の底からそう思った。
この幸せな時間がいつまでも続いて欲しいと思いながらも、同時にどこか物足りない感じもしていたのだった。
(もっと触れてほしい……)
わたしは、彼に触れたくて仕方がなかった。
「ねえ、お兄様……」
わたしが呼びかけると、お兄様は優しく微笑んでくれる。
そして、わたしの髪をなでると、ゆっくりと顔を近づけてくる。
わたしも目を閉じて受け入れる準備をする。
すると唇が重なったので嬉しくなって微笑んだのだった。
(ああ……)
髪の色も瞳の色も違うはずなのに、なぜか似て見えるのは気のせいだろうか?
いや、きっとそうに違いない。
だって、彼はわたしの兄なのだから。
「お兄様なの……?」
わたしは震える声で尋ねた。
すると、彼は微笑んで言った。
「そうだよ。会いたかった……」
そう言ってわたしを抱きしめると、唇にキスをしてきたのだった。
お兄様にとって、この二年間は慣れない辺境の地の統治者としての苦労があったのだろう。
以前よりも胸板が厚くなって、逞しくなっていた。
「お兄様……」
わたしは愛おしさを感じて彼の胸に顔を埋める。
すると、お兄様がわたしの頭を優しく撫でてくれた。
それが心地よくて、つい甘えてしまうのだ。
(ああ……もっとしてほしいな)
わたしがそんなことを思っていると、彼は優しく微笑んでくれた。
そして再び抱きしめてくれると、耳元で甘く囁いた。
「愛しているよ」
わたしは幸せで胸がいっぱいになった。
(私もよ……)
そう言いたかったけれども言葉にできなかったので、代わりに彼の胸に顔をうずめると、ぎゅっと抱きしめてくれたのだった。
「お兄様……」
「ん? なんだい?」
わたしが呼びかけると、彼は甘い声で返事をした。
わたしは顔を見上げると言った。
「私も……愛しています」
すると、彼は嬉しそうな表情をしてわたしの頬を撫でてくれたのだ。
そして再びわたしたちは口づけを交わした。
(幸せ……)
わたしは心の底からそう思った。
この幸せな時間がいつまでも続いて欲しいと思いながらも、同時にどこか物足りない感じもしていたのだった。
(もっと触れてほしい……)
わたしは、彼に触れたくて仕方がなかった。
「ねえ、お兄様……」
わたしが呼びかけると、お兄様は優しく微笑んでくれる。
そして、わたしの髪をなでると、ゆっくりと顔を近づけてくる。
わたしも目を閉じて受け入れる準備をする。
すると唇が重なったので嬉しくなって微笑んだのだった。
(ああ……)
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