29 / 45
(29)
しおりを挟む
ビクンッと身体が跳ね上がると、わたしは絶頂を迎えてしまった。
そして、ぐったりとベッドの上に倒れ込む。
荒い呼吸を繰り返しているうちにだんだんと冷静になってきて、急に恥ずかしくなった。
(わたしったら何をやってるんだろう……)
自己嫌悪に陥りながらも、わたしの脳裏にはお兄様の優しい微笑みが浮かんでいた──
(お兄様に抱きしめられたいなぁ……)
そんなことを考えていると、再び身体の奥の方から熱が込み上げてくるような感覚に襲われた。
わたしは慌てて起き上がると、そのまま浴室へと駆け込んだ。
「お嬢様!いかがなさいましたか?まだお湯を沸かしておりません……!」
メイドが心配そうに声をかけてきたけれど、わたしは何も答えずに桶に水を入れて浴び始めた。
(お兄様に抱きしめられたい……キスしたい……)
欲望がどんどん膨らんでくる。
このままではいけないと思い、頭から冷水を浴びたけど全然治まらなかった。
むしろ逆効果だったかもしれない。
身体の奥底で燻り続けている疼きはますます強くなっていったからだ。
「うぅ……」
(お兄様とひとつになりたいよぅ……)
わたしは泣きながら自分の身体を抱きしめた。
そのとき、ふとあるアイデアが浮かんだ。
(そうだ……クレア様にがんばってもらうしかないんだわ……)
わたしは決意を固めると、浴室を出た。
そして、濡れた身体を拭くと、自室へ戻って外出着に着替えたのだった。
「お嬢様……?」
メイドの呼びかけを無視しながら自室を出ると、そのまま馬車で屋敷を飛び出した。
◇◇◇
ラックスフォード公爵家の屋敷は、都の高台に建っていて、白亜の城のようだった。
門をくぐると広大な庭園が広がり、正面には荘厳な屋敷がそびえ立っている。
わたしはその屋敷を見上げて息を呑んだ。
(これがラックスフォード公爵邸なんだ……)
公爵家を訪れるのは初めてのことだったし、当然ここまで来るのは初めてだったのでかなり緊張していた。
でも、ここで怖じ気づいていてはだめだと思い直し、意を決して呼び鈴を鳴らした。
すると門衛がやってきて、門扉が重々しい音を立てて開いた。
そのまま屋敷のエントランスまで案内される。
「いらっしゃいませ」
現れたのはメイド服の女性だった。
「どうぞこちらへ」
そして、ぐったりとベッドの上に倒れ込む。
荒い呼吸を繰り返しているうちにだんだんと冷静になってきて、急に恥ずかしくなった。
(わたしったら何をやってるんだろう……)
自己嫌悪に陥りながらも、わたしの脳裏にはお兄様の優しい微笑みが浮かんでいた──
(お兄様に抱きしめられたいなぁ……)
そんなことを考えていると、再び身体の奥の方から熱が込み上げてくるような感覚に襲われた。
わたしは慌てて起き上がると、そのまま浴室へと駆け込んだ。
「お嬢様!いかがなさいましたか?まだお湯を沸かしておりません……!」
メイドが心配そうに声をかけてきたけれど、わたしは何も答えずに桶に水を入れて浴び始めた。
(お兄様に抱きしめられたい……キスしたい……)
欲望がどんどん膨らんでくる。
このままではいけないと思い、頭から冷水を浴びたけど全然治まらなかった。
むしろ逆効果だったかもしれない。
身体の奥底で燻り続けている疼きはますます強くなっていったからだ。
「うぅ……」
(お兄様とひとつになりたいよぅ……)
わたしは泣きながら自分の身体を抱きしめた。
そのとき、ふとあるアイデアが浮かんだ。
(そうだ……クレア様にがんばってもらうしかないんだわ……)
わたしは決意を固めると、浴室を出た。
そして、濡れた身体を拭くと、自室へ戻って外出着に着替えたのだった。
「お嬢様……?」
メイドの呼びかけを無視しながら自室を出ると、そのまま馬車で屋敷を飛び出した。
◇◇◇
ラックスフォード公爵家の屋敷は、都の高台に建っていて、白亜の城のようだった。
門をくぐると広大な庭園が広がり、正面には荘厳な屋敷がそびえ立っている。
わたしはその屋敷を見上げて息を呑んだ。
(これがラックスフォード公爵邸なんだ……)
公爵家を訪れるのは初めてのことだったし、当然ここまで来るのは初めてだったのでかなり緊張していた。
でも、ここで怖じ気づいていてはだめだと思い直し、意を決して呼び鈴を鳴らした。
すると門衛がやってきて、門扉が重々しい音を立てて開いた。
そのまま屋敷のエントランスまで案内される。
「いらっしゃいませ」
現れたのはメイド服の女性だった。
「どうぞこちらへ」
10
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
貴方の愛人を屋敷に連れて来られても困ります。それより大事なお話がありますわ。
もふっとしたクリームパン
恋愛
「早速だけど、カレンに子供が出来たんだ」
隣に居る座ったままの栗色の髪と青い眼の女性を示し、ジャンは笑顔で勝手に話しだす。
「離れには子供部屋がないから、こっちの屋敷に移りたいんだ。部屋はたくさん空いてるんだろ? どうせだから、僕もカレンもこれからこの屋敷で暮らすよ」
三年間通った学園を無事に卒業して、辺境に帰ってきたディアナ・モンド。モンド辺境伯の娘である彼女の元に辺境伯の敷地内にある離れに住んでいたジャン・ボクスがやって来る。
ドレスは淑女の鎧、扇子は盾、言葉を剣にして。正々堂々と迎え入れて差し上げましょう。
妊娠した愛人を連れて私に会いに来た、無法者をね。
本編九話+オマケで完結します。*2021/06/30一部内容変更あり。カクヨム様でも投稿しています。
随時、誤字修正と読みやすさを求めて試行錯誤してますので行間など変更する場合があります。
拙い作品ですが、どうぞよろしくお願いします。
優しく微笑んでくれる婚約者を手放した後悔
しゃーりん
恋愛
エルネストは12歳の時、2歳年下のオリビアと婚約した。
彼女は大人しく、エルネストの話をニコニコと聞いて相槌をうってくれる優しい子だった。
そんな彼女との穏やかな時間が好きだった。
なのに、学園に入ってからの俺は周りに影響されてしまったり、令嬢と親しくなってしまった。
その令嬢と結婚するためにオリビアとの婚約を解消してしまったことを後悔する男のお話です。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる