【完結】殿下と結ばれるためにがんばっているのに、なぜか義兄にも好意を抱かれて、とまどっています。

(17)

わたしが困惑していると、アルフォード殿下は突然立ち上がった。

そしてわたしの顔を覗き込んで言った。

「君のことが好きだって言ってるんだよ」

（え、ええー！？）

突然の告白にわたしは頭が真っ白になってしまった。

そんなわたしを殿下はじっと見つめている。

わたしはパニックになって、どうしたらいいのかわからなくなってしまった。

（ど、どうしよう？）

わたしが焦っていると、殿下はわたしの頬に手を添えた。

そして親指でそっと撫でると微笑んで言った。

「返事は急がないよ。僕は君を困らせたいわけじゃないからね」

その言葉にほっとしたけれど、それと同時にもやもやとした気持ちも湧き上がってくるのを感じた。

「あの、ちょっと少し、近くを散策してきますね」

わたしは、一人になりたかった。

殿下の近くから離れたかった。

彼は優しく微笑むと、「気をつけて行っておいで」と言った。


わたしは足早に森の中へと歩き出した。

そして少し歩いたところで立ち止まった。

（びっくりした……まさか告白されるなんて思わなかったわ）

わたしは自分の心臓に手を当てて鼓動が落ち着くのを待った。

しばらくすると落ち着いてきたので、今度はゆっくりと歩き始めた。

しばらく歩いていると開けた場所に出たので、そこで休憩することにした。

草の上に座ると心地よい風が吹いてくるのがわかる。

鳥のさえずりや木々のざわめきを聞きながら、わたしはぼんやりと空を見上げた。

「あら、お嬢さん？」

突然の声に驚いて振り返ると、クレアのグループの5人の少女たちが立っていた。

ニヤニヤとした笑みを浮かべてこちらを見ている。

（まさか……待ち伏せ？）

わたしは怖くなって後ずさりしようとしたが、彼女たちは素早く私の両脇を固めるように立つと、腕を摑んできた。

「ちょっと来てちょうだい」

「嫌です！放してください！」

わたしは必死に抵抗するが、敵わなかった。

そのまま引きずられるようにして連れていかれそうになる。

（助けて……！）