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「もちろんです。でも、急だったので、お金が足りるかどうか……」
わたしは財布の中身を思い出しながら言った。
するとアルフォード殿下は苦笑する。
「そんなこと気にしないでよ。今日は僕からのプレゼントだよ」
「でも、そんなわけにはいきませんわ」
わたしが固辞していると、彼はわたしをじっと見つめてきた。
そしてわたしの手を握り締めると、顔を近づけてくる。
青い瞳に見つめられて動けなくなったわたしに口づけをした。
唇を離すと彼は微笑む。
「もうこれで元は取れたから。そんな遠慮しなくていいよ」
「は、はい……」
わたしは真っ赤になって俯いた。
こんなにドキドキしたのは生まれて初めてだった。
心臓の音がうるさいくらい鳴っていた。
それからアルフォード殿下と観劇をしたが、正直内容はまったく頭に入ってこなかった。
でもとても楽しい時間を過ごすことができたと思う。
帰りに劇場近くのレストランで夕食を食べて帰ることになったが、その席でもわたしはずっと上の空だった。
そんなわたしを心配してか、アルフォード殿下はこんなことを言ったのだ。
「ごめん、さすがにいきなりすぎたかな?」
「え? あ、いえ……」
わたしは慌てて首を振る。
アルフォード殿下は苦笑した。
「今日は君の顔をよく見たいと思ってね。それだけなんだ」
「わたしの顔ですか……?」
わたしが首を傾げると、彼は頷いた。
「うん。実は入学試験のときに君を見てから気になっちゃってね」
そう言うとアルフォード殿下は恥ずかしそうに笑った。
わたしはその笑顔に見とれていた。
それなのに──なぜか、ルドルフの金髪に青い瞳、そしてアルフォード殿下の黒髪と青い瞳が重なって見えた。
「クラリス? どうした?」
アルフォード殿下に尋ねられてわたしはハッと我に返った。
「な、なんでもありませんわ」
それからは他愛もない話をしたような気がするが、なぜか頭にまったく入ってこなかった。
しかし、殿下と別れて自邸に戻ると、頭の中はルドルフお兄様のことでいっぱいになっていた。
自分でもどうしてこんなふうに思うのか不思議だったけれど──でも、仕方なかった。
どうしてもお兄様に会いたい。
背徳感というか、後ろめたい想いがわたしの胸を締め付ける。
「アドルフ様はまだ、お戻りになっておりませんが」
わたしは財布の中身を思い出しながら言った。
するとアルフォード殿下は苦笑する。
「そんなこと気にしないでよ。今日は僕からのプレゼントだよ」
「でも、そんなわけにはいきませんわ」
わたしが固辞していると、彼はわたしをじっと見つめてきた。
そしてわたしの手を握り締めると、顔を近づけてくる。
青い瞳に見つめられて動けなくなったわたしに口づけをした。
唇を離すと彼は微笑む。
「もうこれで元は取れたから。そんな遠慮しなくていいよ」
「は、はい……」
わたしは真っ赤になって俯いた。
こんなにドキドキしたのは生まれて初めてだった。
心臓の音がうるさいくらい鳴っていた。
それからアルフォード殿下と観劇をしたが、正直内容はまったく頭に入ってこなかった。
でもとても楽しい時間を過ごすことができたと思う。
帰りに劇場近くのレストランで夕食を食べて帰ることになったが、その席でもわたしはずっと上の空だった。
そんなわたしを心配してか、アルフォード殿下はこんなことを言ったのだ。
「ごめん、さすがにいきなりすぎたかな?」
「え? あ、いえ……」
わたしは慌てて首を振る。
アルフォード殿下は苦笑した。
「今日は君の顔をよく見たいと思ってね。それだけなんだ」
「わたしの顔ですか……?」
わたしが首を傾げると、彼は頷いた。
「うん。実は入学試験のときに君を見てから気になっちゃってね」
そう言うとアルフォード殿下は恥ずかしそうに笑った。
わたしはその笑顔に見とれていた。
それなのに──なぜか、ルドルフの金髪に青い瞳、そしてアルフォード殿下の黒髪と青い瞳が重なって見えた。
「クラリス? どうした?」
アルフォード殿下に尋ねられてわたしはハッと我に返った。
「な、なんでもありませんわ」
それからは他愛もない話をしたような気がするが、なぜか頭にまったく入ってこなかった。
しかし、殿下と別れて自邸に戻ると、頭の中はルドルフお兄様のことでいっぱいになっていた。
自分でもどうしてこんなふうに思うのか不思議だったけれど──でも、仕方なかった。
どうしてもお兄様に会いたい。
背徳感というか、後ろめたい想いがわたしの胸を締め付ける。
「アドルフ様はまだ、お戻りになっておりませんが」
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