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「クラリスは賢いね。こんな優秀な妹がいて、ぼくは誇らしいよ」

ルドルフはそう言って、わたしに優しくしてくれた。

わたしは嬉しかった。

このままずっとこの日々が続きますようにと毎日祈っていた。

そして14歳のある日、わたしは夫人に呼び出されたのだ。

「レインベル男爵令嬢クラリス・レインベル! あなたは王立学園の入学試験で一番を取りなさい」

「えっ、あの、でも」

「口答えなど許しません。必ず一番を取るのです。ルドルフお兄様だって、次席だったのです。あなたも妹ですから、それに恥じない成績を残すのです。そして一番になって、王太子殿下に気に入られなさい」

夫人にそう命令されて、わたしは真っ青になった。

王立学園の入学試験は15歳以上の、男爵家以上の令息令嬢たちが受験する。

試験は毎年行われるが、そのテストで一位になったものはその学年の首席として全生徒の注目を浴びることになるのだ。

そんなものになれるわけがない! 

無理だ! と心の中で叫ぶけれど、言えるわけがない。

わたしは泣きそうになりながらも、

「わかりました……」

と頷いたのだった。


それからの日々は地獄だった。

入学試験まで半年しかなく、わたしは死に物狂いで勉強をした。

これまで一度としてこんなに熱心に勉強したことはなかったと思うくらいみっちりと勉強をしたのだ。

睡眠時間を削ってまで猛勉強をして、王立学園入学試験に向けて準備をした。

ルドルフはそんな私をいつも気にかけて、

「無理はしないように」

と言ってくれたけれど、夫人の命令でわたしは王立学園の入学試験で一番を取らなければならないのだ。

そしてついに王立学園入学試験の日がやってきた。

わたしはボロボロの状態で馬車に乗りこんだ。

初めての王立学園はとても広くて立派な建物だった。

わたしはそんな会場に入るや否や、緊張であまり覚えていないが、たしか筆記試験をなんとか終えられた気がする。

「よくがんばったな、クラリス。えらいよ」

とルドルフが褒めてくれたことだけがうれしかった。

それからわたしは実技試験のために、魔法科へと案内された。

会場は校庭だった。

学校内とは思えないほどの広い敷地に驚いてしまう。

わたしは不安な気持ちを押し隠して、教師の指示に従って待機をした。

「では次、クラリス・レインベルさん。所定の位置についてください」

わたしは杖をかざした。

「はい!」
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