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 エミリーは子爵家の令嬢で、長い金髪に青い瞳を持つ美しい少女でした。

 彼女の肌は白くて滑らかで、頬にはほんのりと桜色の血色がさしていました。

 唇は薄くて柔らかく、微笑むと魅力的なほくろが見えました。鼻は高くて整っており、顔立ちに華やかさを添えて、顎は細くて引き締まっていました。

 いつも清楚な印象の服装をしていました。白いブラウスに青いスカートを着て、ブラウスは襟元にレースがあしらわれており、スカートはひざ下までの丈でした。髪を三つ編みにして、リボンで結んでいました。


 エミリーの子爵家の屋敷は、海に近い小さな町にありました。

 屋敷は白い壁と赤い屋根を持つ美しい建物でした。屋敷の周りには広い庭があり、花や木が植えられていました。
 庭には噴水やベンチがあり、エミリーはよくそこで遊んだり読んだりしました。

 屋敷の中にはたくさんの部屋がありましたが、エミリーは自分の部屋と図書室とキッチンが一番好きでした。

 自分の部屋はピンク色で可愛らしく飾られていて、窓から海が見えました。図書室には本がたくさんあり、エミリーは色々な物語に夢中になりました。

 キッチンでは料理人のマリーさんが美味しい料理を作ってくれて、エミリーはよく手伝ったり味見したりしました。

 エミリーの子爵家の屋敷は、彼女にとって幸せな場所でした。

 5歳のエミリーは、5歳年上の幼馴染で公爵家のアルベールといつも一緒にいました。

 アルベールは陽気でいつもエミリーを笑わせてくれました。
 彼はエミリーと一緒に、屋敷近くの海辺で遊んだり、高原で馬に乗って遊んだりしました。

 ある日、彼らは海辺に行きました。海は青くてきれいでした。波は穏やかで、砂浜は白くて柔らかでした。

 ふたりは砂遊びをしたり、貝殻を拾ったり、水しぶきをかけあったりしました。エミリーはアルベールにこう言いました。

「アルベール、海って素敵ね。冷たくて、塩からくって、風が気持ちよくって大好き!」

 アルベールはエミリーにこう答えました。

「エミリー、ぼくも海が好きだよ。でも、もっとエミリーが好きかな」

「ありがとう、アルベール!」

 エミリーはそう言って、アルベールにキスしました。アルベールは赤くなりましたが、嬉しそうに笑いました。

 別の日、彼らは高原に行きました。空は高くて広く、風は涼しくて心地よい日です。草原は緑でいっぱいでした。花は色とりどりでした。

 ふたりは馬に乗って走ったり、花摘みをしたり、ピクニックをしたりしました。

 エミリーはアルベールにこう言いました。

「アルベール、高原って楽しいね。花も虫もいっぱいで、風がそよそよ。大好き」

「エミリー、ぼくも高原が楽しいと思うよ。でも、もっとエミリーといると楽しいな」

 アルベールはそう言うと、エミリーはうれしくて、彼の腰に飛びつきました。アルベールは小さな少女をそっと自分の胸に抱き寄せて頬笑んでいました。


 ある日、エミリーとアルベールは、屋敷の庭で遊んでいました。追いかけっこをしたり、かくれんぼをしたり、ブランコに乗ったり。

 ふたりはふざけあって楽しく笑っていました。しかし、アルベールはブランコから落ちてしまいました。彼は膝や肘に擦り傷を負い、痛みに顔をしかめました。

 エミリーはアルベールに駆け寄りました。心配そうに声をかけます。

「アルベール、大丈夫? けがはない?」

 アルベールはエミリーに笑顔で答えました。

「エミリー、ありがとう。大丈夫だよ。ちょっと擦り傷だけだよ」

 エミリーはアルベールの傷を見て、驚きました。

「痛そうだよ。血も出てるよ。私が癒してあげる」

 エミリーはアルベールの傷に手を当てました。彼女は自分の癒しの力を使って、傷を治しました。彼女の手からピンク色の光がアルベールの傷に流れ込みました。傷はすぐに消えて、元通りになりました。

「エミリー、ありがとう。おかげで痛みも血もなくなったよ。すごいね。癒しの力ってどうやって使うの?」

 エミリーは照れくさそうに、アルベールに説明しました。

「アルベール、私もよくわからないんだ。神様から生まれつき癒しの力を持ってるみたい。人や動物や植物の傷とか治すことができる。心から相手を思うと、自然に力が出るの」

 アルベールはエミリーに感心しました。

「エミリー、それはすごいことだよ。神様から特別な力を授かったんだね。その力でたくさんの人々を助けることができるよね」

 エミリーは、アルベールに恥ずかしそうに笑いました。

「アルベール、そんなことないよ。私はただ、アルベールが幸せで元気でいてほしいから、癒してあげるだけ」

 互いに笑顔で見つめ合いました。

***

 その真夜中のことです。エミリーがベッドで寝ていると、姿見から魔王が出てきました。

 物音がして、エミリーは背中がぞくっとして目を覚ましました。足元に立っている魔王に目が釘付けになります。

 赤い目をしていて、黒い角が頭に生えていました。長い髪をなびかせて、黒いマントをまとっています。

 魔王はこう言いました。

「おい、少女。おまえは癒しの力を持っているようだな。その力を私にくれないか。その力で人間の世界を支配したいんだ。私のもとに来なさい。何でも与えてやる。愛さえもね」

 エミリーは魔王に恐れおののきました。

「いいえ、絶対に嫌。あなたのような悪い人に癒しの力を渡さない。だって癒しの力で、何でも治すことができるんです。あなたのもとになんか、行くわけないでしょ。大嫌いよ」

「ふん、生意気な少女だ。私の申し出を断るというのか。後悔するよ。おまえを見逃さない。癒しの力を奪うために、また来るよ」

 魔王はそう言って、姿を消しました。エミリーはほっとしましたが、同時に不安になりました。彼女は魔王が本当にまた来るのかと心配になりました。
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