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 なんで止めるの?  そんなことを考えていたら、今度はゆっくりと動き始めた。

 さっきより遅いけど、それでも十分すぎるほど気持ちいい。

「先生……愛して……?」

 もう頭が蕩けてしまって、何も考えられない。

 ただイキたくて仕方がなかった。

 そんな彼女の耳元でフェリックスは囁く。

「アネット、勘違いしないで。私のことを好きになってはいけない。あくまで治療なのだからね」

 ああもう! そんな話はさっきも聞いたじゃない!

「わたしを治してください!」

 もう何も考えられなかったけれど、それだけは言ったと思う。

 そしてまた激しくなる。

 もう限界だ……イクッ!  そう思った瞬間だった。

 また動きが遅くなったのだ。躊躇しているのだろうか。

 なんで? なんでなの? 先生、お願いっ! イカせてぇ…。

 アネットは必死に心の中で懇願したけれど、フェリックスは動かない。

 ああもうだめぇっ…。我慢できないっ!

「お願いしますっ! なんでもいいですから!」

 もう恥も外聞もなかった。

 もう何でもいいからイカせてほしいと思った。

 すると彼はニヤリと笑い言ったのだ。

「では同意と認めるのですね。本当は嫌ではないのですね」

 そう言うと同時に再び激しい抽送が始まった。

 ああ……すごいっ! 気持ちいいよぉ!

「ああっ! すごすぎますっ!」

 あまりの快感に意識を失いそうになったが、それより先に絶頂を迎えてしまった。

 しかしそれでも彼は止まらない。

 もう何も考えられなかったけど幸せだった。

「アネット、あなたの健康は私にとって大切なことです。明日、わたしの別荘にお連れしましょう。必要なら、何度でも処置しますから」

 フェリックスは安心させるように頬笑んだ。




 湖畔の別荘は、静寂と自然に囲まれた癒しの場所だった。

 湖のほとりに佇むその別荘は、まるで時間が止まったかのような静けさに包まれていた。

 木々のささやきと水面をそっと撫でる風の音だけが、穏やかに空間を満たしていた。

 朝露に濡れた草花が、陽の光を浴びてきらきらと輝き、空気は清々しく、心地よい森の香りが漂っていた。

 窓一面に広がる湖の景色は、絵画のように美しく、水面に映る山々のシルエットが、日々の喧騒を忘れさせてくれる。

 フェリックスはアネットをそこに招待し、心身のケアを提供することにした。

 フェリックスとアネットが別荘に到着すると、ベンとオルガの夫妻が温かい笑顔で出迎えてくれた。

 ベンは頑丈な手で大きな門を開け、オルガは手を振りながら近づいてきた。

「お帰りなさい、フェリックスさま! お隣は患者様のアネット様ですね」

「二人とも、お茶でもいかが?」

 フェリックスとアネットはベンとオルガに感謝の言葉を述べた。
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