【完結】公爵令嬢は聖女になって身を引いたのに、殿下の愛は止まらない。

朝日みらい

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 中央広場に設けられた処刑場は、皇太子殿下の処刑というイベントに都中の群衆たちが、うねるように集まっている。

 まるで、大きな催し物のように、見世物を楽しみにしているのだ。

 馬車で処刑場所に連れてこられたアーマンドは、控える処刑人や兵士、セラフィーとともに中央広場に現れた。

 最上階の観覧席には、苦渋の表情なエルドラン皇帝と対照に満面の笑みを浮かべているルドルフ将軍が座している。

 アーマンドは、静かな覚悟を持って舞台に上がった。

 彼は跪いて、首を垂れた。処刑執行人は彼の傍らに歩み寄るが、躊躇しながら鞘から剣を収めたままだ。

 セラフィーは処刑場所から少し離れた床に両膝をついていた。

 彼女は目を閉じ、深くゆっくり呼吸をしながら心を整える。

 すると、次第にセラフィーが膝の上で合わせた掌から眩い光が放たれた。

 微かな光は指先から天空へと舞い上がり、優しい輝きで満ちていく。

 光はやがて、虹色の幻想的な光に変わり、上空に神秘的で美しい光景が広がっていく。

 そして、セラフィーの眼が開かれると同時に、周囲の空気が静かに揺れたかと思った瞬間だった。

 上空に光の輪が現れたのだ。

(ルドルフ将軍の記憶にある真実よ、私に語りかけてください)

 セラフィーは、心の中で静かに祈った。

 上空に漂う光の輪が一層輝きを増し、その中に巨大な鏡が映し出されてゆく。

 その瞬間、宰相を陥れた罪の証拠や真実が、光の輪の鏡に映像として浮かび上がった。
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