【完結】公爵令嬢は聖女になって身を引いたのに、殿下の愛は止まらない。

(21)

　ア―マンドは目を丸くした。

　そしてすぐに眼光に怒りを宿しながら、皇帝に反論した。

「父上、それは無理です。私は将軍の娘など愛していません。ずっとセラフィーを愛しています。結婚したいのです。それが私の揺るがない決意です」

　ア―マンドは、皇帝に堂々と言った。

　エルドラン皇帝は、ア―マンドを睨みつけた。

「ア―マンド、それは許されない。お前は王子としての責務を果たさなければならないのだ。ルドルフ将軍の権力は絶大だ。私情は捨てて、将軍の娘と結婚しろ。それがこの国、民のためなのだ」

　エルドラン皇帝は、ア―マンドに命令した。

　ア―マンドは、首を横に振った。

「父上、それはできません。私はセラフィーを愛しています。これはすべて、ルドルフ将軍が仕組んだ罠なんです。将軍は有力貴族に金をばら撒き腐敗させ、娘を皇族に嫁がせる。ついには帝国を乗っ取る気です。お父上は誤解なさっていますが、そもそもセラフィーの御父上だって、冤罪なのですよ」

　ア―マンドは、皇帝に宣言した。

　エルドラン皇帝は立腹しで立ち上がり、ア―マンドの肩を掴んだ。

「ア―マンド、それは皇国への反逆だぞ」

「父上、それでも構いません。私はセラフィーと一緒になりたいのです。彼女と結婚するために、将軍に宣戦布告します」

　アーマンドは、忠実な騎士たちを率いて将軍に立ち向かった。

　だが、ルドルフ将軍の軍事力は、すでにアーマンドの予想を超える勢力まで膨れ上がっていたのだ。

　戦いもなく、アーマンドと部下の騎士たちが捕らえられた。

　待っていたかのように、ルドルフ将軍はアーマンドを反逆者として投獄する決断を下した。

　アーマンドはルドルフ将軍により、自分が反乱をすることも見越していたことを悟ったが、もはや手遅れだった。

「将軍の罠にはまってしまったか…」

　アーマンドは絶望の表情を浮かべ、将軍の兵に囲まれたまま、身動きが取れなかった。

　そのまま監獄に収監され、ろくな審議もされないまま国家反逆罪として、武力蜂起を謀ったかどで処刑されることが決まったのだった。