【完結】公爵令嬢は聖女になって身を引いたのに、殿下の愛は止まらない。

朝日みらい

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 聖なる教会の壁が、静かに陽光で映し出している。

 教会の一室で、セラフィーは謙遜な生活を営んでいた。

 彼女の寝所は質素で、小さな窓から差し込む光が控えめに部屋を照らしていた。

 教会内では静寂が支配し、質素な調度品の中で彼女は祈りと修行に励んでいた。

 日々の生活は規則正しい。

 早朝の祈りの時刻にセラフィーは教会内で起床し、厳格な修道院の規律に従いつつ、貧困と謙虚さを説く生活を営んできた。

 朝食は簡素な食事であり、食べ物も質素なものが並ぶのみだった。

 しかし、セラフィーはそのような質素な暮らしを、心から喜んでいるように見える。

 修道院の教会では、彼女が聖女として崇められ、信者たちから深い尊敬と信頼を寄せられていた。


 彼女の清らかな存在は、教会内外で多くの人々に慕われていた。

 信者たちは彼女の姿を見かけるたびに、お辞儀をし、手を合わせ、祝福を求める姿勢を見せるのだ。

 セラフィーは謙遜な姿勢で、信者たちに微笑みかけながら、彼らの祈りに応え、励ましの言葉をかける。

 彼女の心優しさと純潔な存在は、人々の心を温かく包み込むようであり、教会内外で彼女への信仰が篤く固まっていた。

 そのような祈りと施しの日々の中で、セラフィーは自らの使命に全力を捧げ、聖女としての役割を果たしていた。

 質素な暮らしの中での日々の祈りと信者たちとの交流は、セラフィーにとって心を静める場であり、純潔な魂は教会内外で輝き続けているのだった。

 神への祈りを捧げていくことで、聖女は傷を癒す力を得る。さらに一握りの聖女だけが奇蹟の力を発揮できる。

 それは他人の記憶を天空の鏡に映し出す能力だ。

 だが、代償として命がけの愛情が無ければならない。そして、その奇蹟を成し遂げたら聖女としての能力は消えてしまうのだ。

 聖女として6年のセラフィーには、まだこの能力を発揮できるかは実現できない、遥か遠い未来のように思えた。

 愛する人から身を退いたのだから……。
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