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第4章 モンスターのようなもの
第15話
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「どういう意味よ」
「息詰まるのよ。お姉ちゃんといると。親に気に入られるいい立場にいて。私はいつも惨めだった」
未知子は何も返せず押し黙った。
「子供の部屋って二人で使ってたじゃん。大学受験の時さ。ずっとお姉ちゃん夜勉強してて。
私は寝てると、いびきがうるさいから息するなって言ったよね」
未知子は ただびっくりして目を見開いていた。
「お姉ちゃんはいつも自分の居場所ばっかり考えてるから。お父さんやお母さんから信頼をもらって 。愛情独占して 。就職先も いいところをすぐ見つけてさ。みじめな経験したことないから。だから平気で他人を苦しめられるんじゃないの? お姉ちゃんはきっと平気で人を殺せるね」
未知子は静かに熱くなる目頭を押さえた。
真知子はちょっと 驚いたようだった。
「お姉ちゃん 泣いてる? え、どうしちゃったの?」
未知子は絞り出すような口調で言った。
「私は。私は大切な人を 殺しちゃった。だから、幸せになっちゃいけないの」
ぽつりぽつりと美帆の話を始めた。
真知子は熱心に耳を傾けていた。
そしてしばしば 上を見上げて、 まぶたを押さえていた。
「お姉ちゃんが幸せになっちゃいけないなんて。そんな悲しいこと言わないでよ」
真知子は 一口グラスを傾けてから言った。
「人の苦しみを知ってたから、お姉ちゃんは変わったんだよ。自分だけの檻で苦しまないで」
そして真知子は 目を細めた。
「 私今ね、舞台で主演を務めることになってるの。一度きりの人生なんだから。やっぱり 人生主役でいたいじゃない? ほらほら、チケットあげるから、観に来てよ」
妹はか弱い存在だと思っていた。
けれども、はるかに妹が強い人間になっていることに驚かされた。
私こそ弱い人間だ。
弾かれることを恐れる人間だ。
それに比べて妹は強い。
常に弾かれて生きてきたから。
真知子は自分の居場所を 見つけつつある。
帰り道、真知子からもらったチケットを 外灯にかざしてみた。
なんだか夜空の星のように輝いているような気がした。
「息詰まるのよ。お姉ちゃんといると。親に気に入られるいい立場にいて。私はいつも惨めだった」
未知子は何も返せず押し黙った。
「子供の部屋って二人で使ってたじゃん。大学受験の時さ。ずっとお姉ちゃん夜勉強してて。
私は寝てると、いびきがうるさいから息するなって言ったよね」
未知子は ただびっくりして目を見開いていた。
「お姉ちゃんはいつも自分の居場所ばっかり考えてるから。お父さんやお母さんから信頼をもらって 。愛情独占して 。就職先も いいところをすぐ見つけてさ。みじめな経験したことないから。だから平気で他人を苦しめられるんじゃないの? お姉ちゃんはきっと平気で人を殺せるね」
未知子は静かに熱くなる目頭を押さえた。
真知子はちょっと 驚いたようだった。
「お姉ちゃん 泣いてる? え、どうしちゃったの?」
未知子は絞り出すような口調で言った。
「私は。私は大切な人を 殺しちゃった。だから、幸せになっちゃいけないの」
ぽつりぽつりと美帆の話を始めた。
真知子は熱心に耳を傾けていた。
そしてしばしば 上を見上げて、 まぶたを押さえていた。
「お姉ちゃんが幸せになっちゃいけないなんて。そんな悲しいこと言わないでよ」
真知子は 一口グラスを傾けてから言った。
「人の苦しみを知ってたから、お姉ちゃんは変わったんだよ。自分だけの檻で苦しまないで」
そして真知子は 目を細めた。
「 私今ね、舞台で主演を務めることになってるの。一度きりの人生なんだから。やっぱり 人生主役でいたいじゃない? ほらほら、チケットあげるから、観に来てよ」
妹はか弱い存在だと思っていた。
けれども、はるかに妹が強い人間になっていることに驚かされた。
私こそ弱い人間だ。
弾かれることを恐れる人間だ。
それに比べて妹は強い。
常に弾かれて生きてきたから。
真知子は自分の居場所を 見つけつつある。
帰り道、真知子からもらったチケットを 外灯にかざしてみた。
なんだか夜空の星のように輝いているような気がした。
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