【完結】リゾット同盟、始めました

朝日みらい

文字の大きさ
上 下
1 / 27
第1章 異動とミステリーサークル

第1話

しおりを挟む
「篠田 未知子さんが、 本日付で文書課の方に異動なります。ちょっと挨拶してもらえる?」

 朝礼で高田部長が未知子に手招きする。
 未知子は、無理に背筋を押し伸ばして中央に立った。

「三年間、短い間ではございましたが、お世話になりました」

  パラパラと拍手の音がした。
 形式的な拍手。
「ああにはなりたくないなぁ」という顔が浮かんでいる。

 私はめんどくさい人間ということになっているんだな。
 未知子は自席に戻った。 

 私物が入ったダンボールが置いてある。
 それが済んだら ダンボールを持って麹町にある文書課へ移動する。

 ここはジュエリーショップ「SONO」の 営業本部である。
 関東中心に 三十店舗ある。
 百貨店やショッピングモールなどに出店している。

 従業員も非正規やアルバイトを含めたら、三百人を超える。その八割は女性だ。

 そこの司令塔が、この新宿の高層ビル五階にある。

 一面ガラス貼りのオフィスは陽がよく当たる。

 未知子は大学を卒業後、販売を三年経験した後にこの営業部に配属された。

 部長の高田は五十を超えた 小太りの女性である。
 いつも 赤やピンクの派手な服装をしている。
 本人曰く、年を重ねるごとに派手な色の方が似合うとのこと。
 トレードマークの緑色の眼鏡のフレームが キラリと光る。

 一方の未知子はコンタクト入りの切れ長の瞳で、微笑んでいる。
 目元で横に一直線に切りそろえたショートカットをしている。
 過労からか、白髪が生え始めた髪を真っ黒に染めてある。
 それはまるで油絵具のようにべったりとした感じだ。
 背の低さを隠すために、無理やり高めのハイヒールを はいている。

 厚めのファンデーションで青白い肌を隠し、血の気のない 頬にチークで 温かみを添えている。
 痩せ細った体に、ダークグレーのスーツを着ていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

マキノのカフェで、ヒトヤスミ ~Café Le Repos~

Repos
ライト文芸
田舎の古民家を改装し、カフェを開いたマキノの奮闘記。 やさしい旦那様と綴る幸せな結婚生活。 試行錯誤しながら少しずつ充実していくお店。 カフェスタッフ達の喜怒哀楽の出来事。 自分自身も迷ったり戸惑ったりいろんなことがあるけれど、 ごはんをおいしく食べることが幸せの原点だとマキノは信じています。 お店の名前は 『Cafe Le Repos』 “Repos”るぽ とは フランス語で『ひとやすみ』という意味。 ここに訪れた人が、ホッと一息ついて、小さな元気の芽が出るように。 それがマキノの願いなのです。 - - - - - - - - - - - - このお話は、『Café Le Repos ~マキノのカフェ開業奮闘記~』の続きのお話です。 <なろうに投稿したものを、こちらでリライトしています。>

一夜の男

詩織
恋愛
ドラマとかの出来事かと思ってた。 まさか自分にもこんなことが起きるとは... そして相手の顔を見ることなく逃げたので、知ってる人かも全く知らない人かもわからない。

完璧であろうとする二人の光と闇

永江寧々
恋愛
セレナ・ヴァレンタインは完璧である。幼い頃から完璧を求める父親の教育に従い、そうあるよう努めてきた。婚約者は同じく完璧と名高い第二王子のエドモンド。容姿、学業、振る舞い、狩りの腕。全てを完璧にこなせるセレナの人生は順風満帆そのもの。 国一番のお嬢様学校であるローズソーンアカデミーの生徒会長を二度努め、素晴らしい栄光を手に卒業する、はずだった──… とある事件をキッカケに、幼い頃から一つずつ必死に組み立ててきたセレナの人生の歯車が狂い始めた…

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

処理中です...