24 / 34
(24)
しおりを挟むその言葉を投げかけた瞬間──アドニス侯爵の表情が変わったような気がした。
どこか悲しげに見える。
「……」
セーリーヌがだまっていると、アドニス侯爵は続けて問いかけた。
「ずっと考えていた。あなたと殿下は長く付き合った仲だ。何か良からぬことがあったかもしれない、と鬱々としていた。だが、やっと分かった。正直、あなたが殿下をどう思っているかなど、どうでもいい。ただ、ひとつだけ言えることがあるとすれば──」
そこで言葉を止めると、真っ直ぐにこちらを見つめた。
そして、再び口を開く──今度は真剣な眼差しを向けてくる。
その迫力に圧倒されそうになったが、なんとか耐えることができた。
「私が愛しているのは、あなただけだ」
その言葉を聞き──思わずドキッとしてしまうセーリーヌであった。
「わ、わたくしだって……アドニス様だけをお慕いしております」
セーリーヌがそう答えると、彼はほっとした表情を見せた。
その仕草を見ているうちに胸が高鳴る──。
もしかして、彼も自分と同じ気持ちなのだろうか……?
そんなことを考えているうちに鼓動が激しくなるのを感じる──。
緊張してきた。どうしよう? どう答えればいいのだろうか?
戸惑っていると、彼が口を開いた。
「セーリーヌ……」
名前を呼ばれ、ドキッとする。
鼓動はさらに激しさを増す──。
もはや爆発寸前だ。
このままではどうにかなりそうだと思ったとき、不意に彼の手が伸びてきて頬に触れた。
「!?」
突然の行動に驚くセーリーヌ。
彼女は反射的に後ずさった──。
だが、すぐに壁際まで追い詰められてしまう。
逃げ場はない──。
どうすることもできないまま呆然としていると、彼の顔がゆっくりと近づいてきて唇を重ねてきたのである。
「あんっ……」
突然のことに驚きつつも受け入れてしまうセーリーヌであった……。
彼はセーリーヌの乳房を優しく揉みしだく。
その動きに合わせて甘い声が出るのを抑えられない……。
(こんな場所ではいけませんわ……)
そう思いながらも抵抗することができない。
むしろ、もっとして欲しいと思っている自分がいることに驚いていた──。
それが伝わったのだろうか?
彼はさらに激しく責め立ててきたのである──。
「アドニス様……だ、だめです……」
セーリーヌは弱々しく拒絶するが、彼は聞く耳を持たずに行為を続ける──。
そして、とうとう耐えきれなくなったセーリーヌはそのまま果ててしまった。
力が抜けてぐったりとしてしまうが、それでもまだ終わらない。むしろ激しさを増していったのである。
61
お気に入りに追加
255
あなたにおすすめの小説

【完結】死の4番隊隊長の花嫁候補に選ばれました~鈍感女は溺愛になかなか気付かない~
白井ライス
恋愛
時は血で血を洗う戦乱の世の中。
国の戦闘部隊“黒炎の龍”に入隊が叶わなかった主人公アイリーン・シュバイツァー。
幼馴染みで喧嘩仲間でもあったショーン・マクレイリーがかの有名な特効部隊でもある4番隊隊長に就任したことを知る。
いよいよ、隣国との戦争が間近に迫ったある日、アイリーンはショーンから決闘を申し込まれる。
これは脳筋女と恋に不器用な魔術師が結ばれるお話。

【完結】溺愛される意味が分かりません!?
もわゆぬ
恋愛
正義感強め、口調も強め、見た目はクールな侯爵令嬢
ルルーシュア=メライーブス
王太子の婚約者でありながら、何故か何年も王太子には会えていない。
学園に通い、それが終われば王妃教育という淡々とした毎日。
趣味はといえば可愛らしい淑女を観察する事位だ。
有るきっかけと共に王太子が再び私の前に現れ、彼は私を「愛しいルルーシュア」と言う。
正直、意味が分からない。
さっぱり系令嬢と腹黒王太子は無事に結ばれる事が出来るのか?
☆カダール王国シリーズ 短編☆

メイドから家庭教師にジョブチェンジ~特殊能力持ち貧乏伯爵令嬢の話~
Na20
恋愛
ローガン公爵家でメイドとして働いているイリア。今日も洗濯物を干しに行こうと歩いていると茂みからこどもの泣き声が聞こえてきた。なんだかんだでほっとけないイリアによる秘密の特訓が始まるのだった。そしてそれが公爵様にバレてメイドをクビになりそうになったが…
※恋愛要素ほぼないです。続きが書ければ恋愛要素があるはずなので恋愛ジャンルになっています。
※設定はふんわり、ご都合主義です
小説家になろう様でも掲載しています

虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜
ボタニカルseven
恋愛
「今までお世話になりました」
あぁ、これでやっとこの人たちから解放されるんだ。
「セレス様、行きましょう」
「ありがとう、リリ」
私はセレス・バートレイ。四歳の頃に母親がなくなり父がしばらく家を留守にしたかと思えば愛人とその子供を連れてきた。私はそれから今までその愛人と子供に虐げられてきた。心が折れそうになった時だってあったが、いつも隣で見守ってきてくれた精霊たちが支えてくれた。
ある日精霊たちはいった。
「あの方が迎えに来る」
カクヨム/なろう様でも連載させていただいております

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

デブスの伯爵令嬢と冷酷将軍が両思いになるまで~痩せたら死ぬと刷り込まれてました~
バナナマヨネーズ
恋愛
伯爵令嬢のアンリエットは、死なないために必死だった。
幼い頃、姉のジェシカに言われたのだ。
「アンリエット、よく聞いて。あなたは、普通の人よりも体の中のマナが少ないの。このままでは、すぐマナが枯渇して……。死んでしまうわ」
その言葉を信じたアンリエットは、日々死なないために努力を重ねた。
そんなある日のことだった。アンリエットは、とあるパーティーで国の英雄である将軍の気を引く行動を取ったのだ。
これは、デブスの伯爵令嬢と冷酷将軍が両思いになるまでの物語。
全14話
※小説家になろう様にも掲載しています。

自己肯定感の低い令嬢が策士な騎士の溺愛に絡め取られるまで
嘉月
恋愛
平凡より少し劣る頭の出来と、ぱっとしない容姿。
誰にも望まれず、夜会ではいつも壁の花になる。
でもそんな事、気にしたこともなかった。だって、人と話すのも目立つのも好きではないのだもの。
このまま実家でのんびりと一生を生きていくのだと信じていた。
そんな拗らせ内気令嬢が策士な騎士の罠に掛かるまでの恋物語
執筆済みで完結確約です。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる