【完結】伯爵令嬢はハンサム公爵の騎士団長に恋をする

朝日みらい

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 悩んでいる間にも店員は手際よく彼女の体に合うサイズを選んでくれて、試着室へと連れていってくれた。

 試着室の中に入ると、そこには様々な種類のドレスや靴が置かれている。

 どれもエドナの好みに合ったものだった。

 その中でも特に気に入ったものがあった。

 淡いピンクのドレスと白い靴である。

 シンプルでありながら上品なデザインであり、エドナの好みにも合っていた。

(これを着てみたい……!)

 そう思った彼女は、早速着替えることにした。

 まずはドレスを着てみることにする。

 スカート丈は短めだったが可愛らしいデザインだったので気に入っていた。

 次に靴を履き替えてみることにする。

 ヒールは少し高かったが履き心地は悪くなかった。

 鏡で自分の姿を映してみると、いつもよりも大人っぽく見えた。

(これが私なんだ……)

 鏡に映る自分を見て感動していた。

 今までは男勝りで目立たない地味な服だったのだが、今では違う。

 今の自分は自信に満ち溢れており堂々としているように感じる。

 エドナは嬉しくてたまらなかった。

「これから、オペラにでも見に行かないか?」

とウィリアムが言ってきた。

 エドナは喜んで了承する。

「はい、行きましょう」

と答える彼女の声は弾んでいた。

 馬車で都の中心地にあるオペラハウスには30分ほどで到着した。

 オペラハウスの中は大勢の人で賑わっていた。

 座席にはたくさんの人が座っている。

 エドナはウィリアムと隣同士に座り、舞台の幕が上がるのを待った。

(これからどんな物語が始まるのかしら?)

 そんな期待に胸を膨らませていた時だった。

 前列にアガーネン宰相が座っていた。

 まさかここで会うとは思っていなかったので驚いた。

 彼はこちらの視線に気づいたようでニヤリと笑ってきた。

 エドナは背筋が凍るような思いだった。

 オペラが終わった後、

「仲良くオペラ鑑賞ですか?」

と声をかけてきたのはアガーネン卿だった。

 彼はニコニコしながら近づいてくる。

 エドナは動揺しつつも、平静を装っていた。

「ええ」

と尋ねる彼女にアガーネン卿は耳元で言った。

「ところでエドナ嬢、例の話はご確認しましたか」と。

 その問いかけに一瞬戸惑ってしまう。

「エドナに何の話ですか」

 ウィリアムはすぐさまエドナを庇うように前に出た。
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