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そっと背後から、ウィリアムがエドナに腕を回してくる。
彼の温もりが伝わってくる。
それだけで幸せな気持ちになるのを感じた。
エドナは涙を拭くことすら忘れて、じっとウィリアムに身を預けた。
「俺の求める女性は、ただお淑やかな装飾品でない。君のように自分の気持ちに正直で、行動力のあるレディーなんだ。最初に出会った時から魅力的だった」
ウィリアムは優しい声で言った。
その声色だけでエドナは胸が締め付けられるような思いがした。
(ああ、やっぱり好き)と心の中で思った。
この気持ちを抑えることはできない。
エドナは覚悟を決めた。
たとえ自分の気持ちに蓋をしても、彼の傍に居たいという気持ちは変わらないから……それならばいっその事、自分の気持ちに正直に生きようと決めた。
(ウィリアム様……ありがとうございます)
エドナは心の中で呟いた後、振り返って、ウィリアムにキスをしたのだった。
「んっ……好きよ」
それは触れるだけの軽いものだったが、エドナの想いは十分に伝わったようだ。
ウィリアムは嬉しそうに笑ってくれた。
「ありがとう、エドナ」
と言ってくれた。
それだけで十分嬉しかったし、幸せだった。
(ああ……このまま時間が止まればいいのに……)
エドナは心の底からそう思った。
もし、この恋が実らなくても構わない。ウィリアムからもらった言葉と思い出だけで生きていくのも。
いつまでも彼と一緒にいたいという強い願いを抱いたままで……。
「君と婚約したいのだが、返事をくれないか?」
「お答えはもう、ご存じのはずよ!」
(ああ……私は幸せ者だわ……)
エドナはウィリアムの胸に顔を埋める。
彼の心臓の鼓動が聞こえてくるような気がした。
それがとても心地よく感じられる。
二人はしばらくの間、抱き合っていた。
お互いの温もりを感じながら、幸せな時間を過ごしていたのだった……。
彼の温もりが伝わってくる。
それだけで幸せな気持ちになるのを感じた。
エドナは涙を拭くことすら忘れて、じっとウィリアムに身を預けた。
「俺の求める女性は、ただお淑やかな装飾品でない。君のように自分の気持ちに正直で、行動力のあるレディーなんだ。最初に出会った時から魅力的だった」
ウィリアムは優しい声で言った。
その声色だけでエドナは胸が締め付けられるような思いがした。
(ああ、やっぱり好き)と心の中で思った。
この気持ちを抑えることはできない。
エドナは覚悟を決めた。
たとえ自分の気持ちに蓋をしても、彼の傍に居たいという気持ちは変わらないから……それならばいっその事、自分の気持ちに正直に生きようと決めた。
(ウィリアム様……ありがとうございます)
エドナは心の中で呟いた後、振り返って、ウィリアムにキスをしたのだった。
「んっ……好きよ」
それは触れるだけの軽いものだったが、エドナの想いは十分に伝わったようだ。
ウィリアムは嬉しそうに笑ってくれた。
「ありがとう、エドナ」
と言ってくれた。
それだけで十分嬉しかったし、幸せだった。
(ああ……このまま時間が止まればいいのに……)
エドナは心の底からそう思った。
もし、この恋が実らなくても構わない。ウィリアムからもらった言葉と思い出だけで生きていくのも。
いつまでも彼と一緒にいたいという強い願いを抱いたままで……。
「君と婚約したいのだが、返事をくれないか?」
「お答えはもう、ご存じのはずよ!」
(ああ……私は幸せ者だわ……)
エドナはウィリアムの胸に顔を埋める。
彼の心臓の鼓動が聞こえてくるような気がした。
それがとても心地よく感じられる。
二人はしばらくの間、抱き合っていた。
お互いの温もりを感じながら、幸せな時間を過ごしていたのだった……。
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