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朝食を食べ終えた後、エドナは中庭に出てぼんやりと考え事をしていた。
するとそこへウィリアムがやってきた。
「エドナ」
彼はにこやかに微笑んでいる。
その笑顔を見るだけでエドナの鼓動は高鳴った。
(ああ……やっぱり好き!)
しかし、その気持ちを上手く伝えることができずに戸惑ってしまう。
どうしたらいいのかわからない。
エドナは自分の気持ちを悟られないように平静を装っていたが、それでも心臓の鼓動が激しくなっていたことは隠しようがない。
「昨夜はごめんなさい。ご迷惑をおかけして」
「そんなことはない。俺こそ、強引だった。体調はどうだ?」
ウィリアムが聞いてきたので、エドナはにっこり微笑んで見せた。
「なら、よかった」
「あの、訓練はどうなさったのです?」
「ああ、今日は副隊長に任せて、休みにしたんだ」
ウィリアムはそう言うと、エドナの隣に座った。
彼の重みでベンチが沈む感覚が伝わってくる。
それは心地よい重さだった。
エドナは幸せを噛み締めるように目を閉じた。
「あの……」
エドナは思い切って口を開いた。
すると彼はこちらを向いてくれたので、思い切って言葉を発することにする。
「私のこと……どう思われますか?」
するとウィリアムは少し驚いたような表情を浮かべた後、困ったように笑った。
そして頭を掻くと、ため息をついた。
その仕草を見て、
(あ、困らせてしまったわ)
とエドナは思った。
しかし同時に仕方ないことだとも思った。
「エドナ…」
そして少し間を置いてから言った。
「俺にとって君は大切な存在だ。婚約してほしい」
と、それだけ言うと黙り込んでしまった。
それ以上は何も言うつもりはない様子だったので、エドナはそれ以上何も言えなかった。
だが、それでもよかった。その言葉だけで十分だった。
ふいに涙がこぼれそうになったので、エドナは背を向けた。
「エドナ、俺ではだめだったのか?」
とウィリアムが声をかけてきたが、振り向くことができない。
(ウィリアム様……)
エドナの目からは涙があふれ出ていた。
ウィリアムの言葉を思い出していた。
その言葉は何よりも嬉しかったし、幸せだった。
だが同時に不安でもあった。
するとそこへウィリアムがやってきた。
「エドナ」
彼はにこやかに微笑んでいる。
その笑顔を見るだけでエドナの鼓動は高鳴った。
(ああ……やっぱり好き!)
しかし、その気持ちを上手く伝えることができずに戸惑ってしまう。
どうしたらいいのかわからない。
エドナは自分の気持ちを悟られないように平静を装っていたが、それでも心臓の鼓動が激しくなっていたことは隠しようがない。
「昨夜はごめんなさい。ご迷惑をおかけして」
「そんなことはない。俺こそ、強引だった。体調はどうだ?」
ウィリアムが聞いてきたので、エドナはにっこり微笑んで見せた。
「なら、よかった」
「あの、訓練はどうなさったのです?」
「ああ、今日は副隊長に任せて、休みにしたんだ」
ウィリアムはそう言うと、エドナの隣に座った。
彼の重みでベンチが沈む感覚が伝わってくる。
それは心地よい重さだった。
エドナは幸せを噛み締めるように目を閉じた。
「あの……」
エドナは思い切って口を開いた。
すると彼はこちらを向いてくれたので、思い切って言葉を発することにする。
「私のこと……どう思われますか?」
するとウィリアムは少し驚いたような表情を浮かべた後、困ったように笑った。
そして頭を掻くと、ため息をついた。
その仕草を見て、
(あ、困らせてしまったわ)
とエドナは思った。
しかし同時に仕方ないことだとも思った。
「エドナ…」
そして少し間を置いてから言った。
「俺にとって君は大切な存在だ。婚約してほしい」
と、それだけ言うと黙り込んでしまった。
それ以上は何も言うつもりはない様子だったので、エドナはそれ以上何も言えなかった。
だが、それでもよかった。その言葉だけで十分だった。
ふいに涙がこぼれそうになったので、エドナは背を向けた。
「エドナ、俺ではだめだったのか?」
とウィリアムが声をかけてきたが、振り向くことができない。
(ウィリアム様……)
エドナの目からは涙があふれ出ていた。
ウィリアムの言葉を思い出していた。
その言葉は何よりも嬉しかったし、幸せだった。
だが同時に不安でもあった。
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