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突然何を言い出すのかと思いきや、まさかのお誘いだった。
「わたしでよろしければ喜んで……」
すると彼はほっとしたように微笑んだ。
(ああ……なんて素敵な笑顔なのかしら)
エドナはそれだけで幸せな気持ちになった。
「でしたら、本番前に社交の場に慣れていただくのはいかがですか…?」
エドナが頬をほのかに赤く染めながら尋ねると、彼はこくりと頷いた。
「そうしてもらうと助かる」
「よかった。明後日、わたしの屋敷にお招きいたします。そこで夕食とダンスの練習をいたしましょう」
「ありがたい。では、明後日の18時に行く」
「お待ちしております。ではわたし、さっそく準備で失礼しますね!」
「もう行くのか?」
「はい! 善は急げ、です!」
エドナは慌てて屋敷へ戻った。
両親にその話をすると、ウィリアムを屋敷へ招待することを歓迎してくれた。
「騎士団長のウィリアム・オルスタイン公爵をお招きできるとはな。我が家として大変光栄なことだ。ぜひお招きしなさい」
父親は上機嫌だった。
建前は騎士団長の歓迎会だ。だが実はエドナの両親も使用人たちも、彼女が初めて紹介する殿方のことが気になって仕方なかった。
☆☆☆
そして夕食会の当日になった。
(ああ……緊張する……!)
なぜか胸がドキドキしてきた。
(どうしよう……こんな姿をお見せしてしまったら幻滅されてしまうのではないかしら……?)
鏡の前で何度も自分の姿を確認するが、自信が持てなかった。
エドナの顔はとても整っていて美しい。
髪の色は銀糸のように細く美しい金髪で、瞳はアメジストのような紫色をしている。
肌も白く、まるで人形のように整った顔立ちをしている。
「まあ、お嬢様! 本当にお綺麗ですよ!」
侍女のリリーが声をかけてきた。
エドナのイブニングドレスは薄紫色で、スカートの丈は短く、肩と胸元が大きく開いているデザインになっている。
さらに首飾りやイヤリングといったアクセサリーを身に着けていた。
「さあ行きましょう、お嬢様!」
リリーに促されて覚悟を決めると、部屋を出てエントランスへ向かった。
馬のひずめの音がして、白馬に跨るウィリアムの姿が見えた。
さっそうと彼は馬から降り立つと、エドナのもとに歩み寄る。
「お招きありがとう」
(どうしよう……何を話せばいいのか忘れてしまったわ……)
ウィリアムは軍人の盛装で、胸には勲章が輝いている。
エドナは、ウィリアムに手を差し伸べた。
ウィリアムの姿を見ると胸が高鳴るのを感じた。
(大丈夫かしら……わたし。ちゃんと淑女らしくできるかしら……?)
不安に思いながらも、平静を装って挨拶をすることにした。
「こちらこそ。さあ、お入りください。両親が待っていますわ!」
「わたしでよろしければ喜んで……」
すると彼はほっとしたように微笑んだ。
(ああ……なんて素敵な笑顔なのかしら)
エドナはそれだけで幸せな気持ちになった。
「でしたら、本番前に社交の場に慣れていただくのはいかがですか…?」
エドナが頬をほのかに赤く染めながら尋ねると、彼はこくりと頷いた。
「そうしてもらうと助かる」
「よかった。明後日、わたしの屋敷にお招きいたします。そこで夕食とダンスの練習をいたしましょう」
「ありがたい。では、明後日の18時に行く」
「お待ちしております。ではわたし、さっそく準備で失礼しますね!」
「もう行くのか?」
「はい! 善は急げ、です!」
エドナは慌てて屋敷へ戻った。
両親にその話をすると、ウィリアムを屋敷へ招待することを歓迎してくれた。
「騎士団長のウィリアム・オルスタイン公爵をお招きできるとはな。我が家として大変光栄なことだ。ぜひお招きしなさい」
父親は上機嫌だった。
建前は騎士団長の歓迎会だ。だが実はエドナの両親も使用人たちも、彼女が初めて紹介する殿方のことが気になって仕方なかった。
☆☆☆
そして夕食会の当日になった。
(ああ……緊張する……!)
なぜか胸がドキドキしてきた。
(どうしよう……こんな姿をお見せしてしまったら幻滅されてしまうのではないかしら……?)
鏡の前で何度も自分の姿を確認するが、自信が持てなかった。
エドナの顔はとても整っていて美しい。
髪の色は銀糸のように細く美しい金髪で、瞳はアメジストのような紫色をしている。
肌も白く、まるで人形のように整った顔立ちをしている。
「まあ、お嬢様! 本当にお綺麗ですよ!」
侍女のリリーが声をかけてきた。
エドナのイブニングドレスは薄紫色で、スカートの丈は短く、肩と胸元が大きく開いているデザインになっている。
さらに首飾りやイヤリングといったアクセサリーを身に着けていた。
「さあ行きましょう、お嬢様!」
リリーに促されて覚悟を決めると、部屋を出てエントランスへ向かった。
馬のひずめの音がして、白馬に跨るウィリアムの姿が見えた。
さっそうと彼は馬から降り立つと、エドナのもとに歩み寄る。
「お招きありがとう」
(どうしよう……何を話せばいいのか忘れてしまったわ……)
ウィリアムは軍人の盛装で、胸には勲章が輝いている。
エドナは、ウィリアムに手を差し伸べた。
ウィリアムの姿を見ると胸が高鳴るのを感じた。
(大丈夫かしら……わたし。ちゃんと淑女らしくできるかしら……?)
不安に思いながらも、平静を装って挨拶をすることにした。
「こちらこそ。さあ、お入りください。両親が待っていますわ!」
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