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第13話 羽翼種の村にて
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羽翼種の村で一泊して、翌朝早朝になった。
この体になってからは、寝る前に睡眠時間を思い浮かべておけば、必ずその時間に目が覚めるようになっていた。この能力が、前の自分にあればなぁ、と思う。
起きたのは早朝五時だ。窓の外は薄っすらと明るくなっていた。
朝起きて、リーシャたちに見つからないように、そっと布団を整えて、窓を開けて外へ出た。
羽翼種の村は朝も早いようだ。もうこの時間なのに空を飛んでいる人達が沢山いる。
いや、運搬が業務と言っていたから、おそらく他種族の荷物を運びに出かける人達だろう。
もしかすると、一日中ローテーションを組んで働いているのかもしれない。
街をひたすら歩いて行くが、飛んでいる人達の視線を感じる。
着物姿で刀を持っているなんてのは僕しかない。かなり珍しいはずだ。
おそらく、昨日出会った三人の男は保安官のような役割を果たしているのだろうが、その人達から、羽翼種に対して、僕が滞在していることは伝えられているはずだ。だから、僕を誰も咎めないのだろう。ただ、不信感は持っているのだろうが。
そして、誰もいない森の中へ僕は入って行った。
昨夜、ベゼルに言われた通りのことしなければいけない……。
******************
リーシャはいつも通りの時間に目が覚めた。午前六時だ。
昨日は色々なことがあった。
まさか、モンスタープラントがあの森にいるとは思わなかったし、そこから助け出してくれる人がいて、その人が人族の国へ行きたがっているとは思わなかった。
今になって思うと、助けてもらったのにすぐにお礼を言わなかったのは、本当に申し訳なかったと思う。
ただ、自分にとってはあの場で警戒しなければいけないのも事実だった。
服は破れてしまっていたし……。
マサキには自分の目的と本心を話したつもりだが、マサキは自分を置いて人族の国へ向かいたいようだ。
昨夜、お婆さんに魔族の話をされて、すぐに人族の国へ行くのを諦めると言ったが、あれは事実ではないだろう。
きっと、自分に諦めさせるためにあの発言をしたのだと思う。
お婆ちゃんはどう思っただろう?
自分は、どうしても人族の国へ行きたいと思う。
今の生活に不満があるわけじゃない。だけど、満足感があるわけでもなかった。
それに、人族の知識があれば、自分の両親は病気で死ななかったと思う。
それを思うと、今後の羽翼種のためにも人族の国を訪れて、交流を持つべきだと思った。
ずっとその方法を考えていたが、人族の国は遠い。自分一人でなんとかなるような距離ではなかった。
そんな時にマサキに出会った。
最初は警戒したが、ただ、人族の国に興味を持っていると言われて、動揺してしまった。
あの場で、羽が損傷しているとマサキに伝えたが、飛べない程、羽が傷んでいたわけじゃなかった。あの場で、すぐにマサキから逃げようと思えば、逃げられたかもしれない。
だけど、自分にとって、人族の国というのは甘い蜜の言葉だった。
そして、しばらくマサキを監視することになった。
結果的に、マサキは無実だった。
マサキには申し訳ないことをしてしまったと思う。
本人の言動を見ていると気にしていないようだが、助けた人に疑われていたと思われたら、不愉快に決まっているはずだ。また、後で謝らなければいけない。
それに――どうしてもマサキと一緒に人族の国を目指したい。マサキは強い。
かなり強いと思った。
モンスタープラント自体は時間を掛ければ、羽翼種の男性が二人もいれば、倒せないわけではない。
ただ、風魔法で徐々に遠くから切り刻んでいくのに時間が掛かる。
ところが、マサキはあっという間に触手を避けて、幹まで到達し、ダメージを与えていた。
動きを見ていたが、多分、マサキは一度もモンスタープラントと闘ったことはないはずだ。
にもかかわらず、全く苦戦することもなく、倒してしまった。
ヤギのモンスターの名前はヘルズシープというが、あれはかなり厄介なモンスターだ。
なんであんなモンスターがあの地域にいたのか分からないが、多分、地震のせいでモンスタープラントと同じように移動をしていたのだろう。
それとマサキは戦ったことになる。
あのモンスターは結界魔法を使うが、そうそうダメージを与えられるようなものじゃない。
しかも、氷魔法をメインとして、各種魔法を並行して使ってくる。
おまけに移動速度も速い。
普通の獣族があれを退治する場合は、数十人でパーティを組んで、うまく連携を取って討伐するのが一般的だ。
もっと少ない人数でも倒せなくはないだろうが、死者が出る。
にもかかわらず、マサキはあれを倒したようだ。
なんとかマサキを説得しなければいけない。
そう思って、着替えを済ませてから、一階へ下りていく
マサキはまだ寝ているはずだ。
ここで、ふと思った。
いや、マサキはもう部屋を抜け出しているかもしれない。
そうだ。部屋を抜け出して、私以外の羽翼種に〝下まで下ろしてくれ〟と懇願しているかもしれない。
慌てて、二回へ駆け上がって、マサキの部屋を目指す。
ノックを二回したが、返答はない。
どうしようかと思ったが、扉を開けてみることにした。
ベッドが綺麗に整えられていて、見た瞬間にマサキがいないのが分かった……。
************
昨夜、僕はベゼルに命令をされていた。
今後、毎日刀を振る練習をしろ、と。
普段の積み重ねが実戦で役に立つ、とのことだった。
基本的な型も教えてくれるらしい。
だから、朝稽古ということで羽翼種の街はずれで、刀を振る練習をすることにした。
ベゼルに教えられた通りに、刀を振っていく。結構凄い音がする。
ヒュン、という風に空気を切るような感じの音もするが、ボン、というような炸裂音がすることもある。これの違いだが、前者は刀に魔力を纏わずに振った場合、後者は刀に魔力を纏わせた場合に違いが出る感じだ。
前者は高速でスパッと相手を切る時に使えるし、後者は相手を叩き潰す場合に使えそうだ。
ベゼルに上段、中断、下段も教わっていく。
ただ、不思議なことに一度刀を振ると、何故か全て理解できるような感じがした。
どうもベゼルとこの体は繋がっているようだ。だからかもしれないが、刀の基礎は分かっているような感じだった。久しぶりに自転車に乗る、と言う感じだろうか。昔から自分が知っていた知識を再確認するだけのような気がした。
それに、どうも自分の筋力が上がっているのを感じる。
理由は分からないが、単に毎日寝るだけでも強くなる気がする。
この体に馴染めば馴染むほど強くなるのかもしれない。
というか、ベゼルが魔族の上位種以上というのが本当なら、あのお婆さんの話からすると相当強いことになる。
獣族の上位種とやらがどれくらい強いのか知らないけど、ベゼルが高位種とやらなら、おそらく瞬殺レベルなのだろう。
その力を自分が受け継いでいるとすれば、そりゃ強くなるわけだ。
刀をバッコンバッコン、振りまくっていると、誰かがこちらへ走って近づいてくるのを感じた。
リーシャだ。なんか悲壮な顔をしている。何かあったのだろうか?
リーシャが目の前で立ち止まって、呼吸を整えている。
「どうしたんですか? 何かあったんですか?」
「……いえ、マサキさんが下界へ下りてしまったのではないかと心配になりまして……」
ああ、そうか。こっちとしては寝ている人の迷惑にならないつもりだったのが、リーシャからすれば、そうは思わないか。何か置き手紙でもすべきだったか。
にしても、彼女がここへ追いかけてきたということは、彼女は人族の国へ行くことをまだ諦めていないようだ。僕はあのお婆さんと一対一で話をしなければいけないのかもしれない。
「マサキさんは何をしているのですか?」
「朝稽古ですよ。刀の練習をしておかないといざという時に、判断が鈍ってしまうかもしれませんので」
そう言って、軽くリーシャに笑顔を見せる。彼女の不安を和らげてあげたい。
リーシャは表情を変え、やや笑った。
「心配しました。もう居なくなってしまったのかと」
「まぁ、最初はすぐに出ていこうと思っていたんですが、今は少し気が変わっていまして」
「じゃあ、一緒に連れて行ってもらえるんですか?」
彼女は嬉しそうな表情をする。
「いやー、まぁ、何というか。ちょっとこちらにも色々事情がありまして」
この会話はベゼルも聞いているから、ここで断るわけにもいかない。
リーシャは、よく分からないといった顔をしている。
ここで刀を振り続けると、おそらくリーシャはそれを見続けるだろう。
流石にそれは悪い気がしたので、ここで朝稽古を終えることにした。
二人で街を眺めながら歩いて行く。
「どうして、リーシャさんは飛んでこなかったんですか?」
「私たちの街では、仕事以外で飛ぶのは禁止されているのです。羽翼種の飛行速度はそれなりに速いですが、お互いぶつかってしまうとケガをしてしまいます。今飛んでいる人は、これから仕事へ向かう人達ですね。一般人は飛行を禁止されています」
「僕があそこにいると、どうして分かったのですか?」
「警護署に行ったら、すぐに教えてもらえました。マサキさんは久しぶりに下界からいらした方なので、皆興味あるというか……」
彼女はここで言葉を濁したが、要は僕を警戒している面がまだあるということなのだろう。
この国にいる時は下手なことはしない方がいいのかもしれない。
羽翼種の街というのは僕からすると結構近代的なイメージだ。
もっと中世の古風な感じの街並みかと思ったが、そうでもない。
家は石造りだが、多分これは土魔法で作っただろうもので、デザインが洗練されている。
それにリーシャから色々と街の様子を聞いてみたが、僕が元の世界にいた頃とそれほど変わらない気がする。テレビも電話もある感じだ。ないのはネットくらいか。
二人で話をしながら家に帰ると、家の玄関では、お婆ちゃんが仁王立ちして待っていた。
この体になってからは、寝る前に睡眠時間を思い浮かべておけば、必ずその時間に目が覚めるようになっていた。この能力が、前の自分にあればなぁ、と思う。
起きたのは早朝五時だ。窓の外は薄っすらと明るくなっていた。
朝起きて、リーシャたちに見つからないように、そっと布団を整えて、窓を開けて外へ出た。
羽翼種の村は朝も早いようだ。もうこの時間なのに空を飛んでいる人達が沢山いる。
いや、運搬が業務と言っていたから、おそらく他種族の荷物を運びに出かける人達だろう。
もしかすると、一日中ローテーションを組んで働いているのかもしれない。
街をひたすら歩いて行くが、飛んでいる人達の視線を感じる。
着物姿で刀を持っているなんてのは僕しかない。かなり珍しいはずだ。
おそらく、昨日出会った三人の男は保安官のような役割を果たしているのだろうが、その人達から、羽翼種に対して、僕が滞在していることは伝えられているはずだ。だから、僕を誰も咎めないのだろう。ただ、不信感は持っているのだろうが。
そして、誰もいない森の中へ僕は入って行った。
昨夜、ベゼルに言われた通りのことしなければいけない……。
******************
リーシャはいつも通りの時間に目が覚めた。午前六時だ。
昨日は色々なことがあった。
まさか、モンスタープラントがあの森にいるとは思わなかったし、そこから助け出してくれる人がいて、その人が人族の国へ行きたがっているとは思わなかった。
今になって思うと、助けてもらったのにすぐにお礼を言わなかったのは、本当に申し訳なかったと思う。
ただ、自分にとってはあの場で警戒しなければいけないのも事実だった。
服は破れてしまっていたし……。
マサキには自分の目的と本心を話したつもりだが、マサキは自分を置いて人族の国へ向かいたいようだ。
昨夜、お婆さんに魔族の話をされて、すぐに人族の国へ行くのを諦めると言ったが、あれは事実ではないだろう。
きっと、自分に諦めさせるためにあの発言をしたのだと思う。
お婆ちゃんはどう思っただろう?
自分は、どうしても人族の国へ行きたいと思う。
今の生活に不満があるわけじゃない。だけど、満足感があるわけでもなかった。
それに、人族の知識があれば、自分の両親は病気で死ななかったと思う。
それを思うと、今後の羽翼種のためにも人族の国を訪れて、交流を持つべきだと思った。
ずっとその方法を考えていたが、人族の国は遠い。自分一人でなんとかなるような距離ではなかった。
そんな時にマサキに出会った。
最初は警戒したが、ただ、人族の国に興味を持っていると言われて、動揺してしまった。
あの場で、羽が損傷しているとマサキに伝えたが、飛べない程、羽が傷んでいたわけじゃなかった。あの場で、すぐにマサキから逃げようと思えば、逃げられたかもしれない。
だけど、自分にとって、人族の国というのは甘い蜜の言葉だった。
そして、しばらくマサキを監視することになった。
結果的に、マサキは無実だった。
マサキには申し訳ないことをしてしまったと思う。
本人の言動を見ていると気にしていないようだが、助けた人に疑われていたと思われたら、不愉快に決まっているはずだ。また、後で謝らなければいけない。
それに――どうしてもマサキと一緒に人族の国を目指したい。マサキは強い。
かなり強いと思った。
モンスタープラント自体は時間を掛ければ、羽翼種の男性が二人もいれば、倒せないわけではない。
ただ、風魔法で徐々に遠くから切り刻んでいくのに時間が掛かる。
ところが、マサキはあっという間に触手を避けて、幹まで到達し、ダメージを与えていた。
動きを見ていたが、多分、マサキは一度もモンスタープラントと闘ったことはないはずだ。
にもかかわらず、全く苦戦することもなく、倒してしまった。
ヤギのモンスターの名前はヘルズシープというが、あれはかなり厄介なモンスターだ。
なんであんなモンスターがあの地域にいたのか分からないが、多分、地震のせいでモンスタープラントと同じように移動をしていたのだろう。
それとマサキは戦ったことになる。
あのモンスターは結界魔法を使うが、そうそうダメージを与えられるようなものじゃない。
しかも、氷魔法をメインとして、各種魔法を並行して使ってくる。
おまけに移動速度も速い。
普通の獣族があれを退治する場合は、数十人でパーティを組んで、うまく連携を取って討伐するのが一般的だ。
もっと少ない人数でも倒せなくはないだろうが、死者が出る。
にもかかわらず、マサキはあれを倒したようだ。
なんとかマサキを説得しなければいけない。
そう思って、着替えを済ませてから、一階へ下りていく
マサキはまだ寝ているはずだ。
ここで、ふと思った。
いや、マサキはもう部屋を抜け出しているかもしれない。
そうだ。部屋を抜け出して、私以外の羽翼種に〝下まで下ろしてくれ〟と懇願しているかもしれない。
慌てて、二回へ駆け上がって、マサキの部屋を目指す。
ノックを二回したが、返答はない。
どうしようかと思ったが、扉を開けてみることにした。
ベッドが綺麗に整えられていて、見た瞬間にマサキがいないのが分かった……。
************
昨夜、僕はベゼルに命令をされていた。
今後、毎日刀を振る練習をしろ、と。
普段の積み重ねが実戦で役に立つ、とのことだった。
基本的な型も教えてくれるらしい。
だから、朝稽古ということで羽翼種の街はずれで、刀を振る練習をすることにした。
ベゼルに教えられた通りに、刀を振っていく。結構凄い音がする。
ヒュン、という風に空気を切るような感じの音もするが、ボン、というような炸裂音がすることもある。これの違いだが、前者は刀に魔力を纏わずに振った場合、後者は刀に魔力を纏わせた場合に違いが出る感じだ。
前者は高速でスパッと相手を切る時に使えるし、後者は相手を叩き潰す場合に使えそうだ。
ベゼルに上段、中断、下段も教わっていく。
ただ、不思議なことに一度刀を振ると、何故か全て理解できるような感じがした。
どうもベゼルとこの体は繋がっているようだ。だからかもしれないが、刀の基礎は分かっているような感じだった。久しぶりに自転車に乗る、と言う感じだろうか。昔から自分が知っていた知識を再確認するだけのような気がした。
それに、どうも自分の筋力が上がっているのを感じる。
理由は分からないが、単に毎日寝るだけでも強くなる気がする。
この体に馴染めば馴染むほど強くなるのかもしれない。
というか、ベゼルが魔族の上位種以上というのが本当なら、あのお婆さんの話からすると相当強いことになる。
獣族の上位種とやらがどれくらい強いのか知らないけど、ベゼルが高位種とやらなら、おそらく瞬殺レベルなのだろう。
その力を自分が受け継いでいるとすれば、そりゃ強くなるわけだ。
刀をバッコンバッコン、振りまくっていると、誰かがこちらへ走って近づいてくるのを感じた。
リーシャだ。なんか悲壮な顔をしている。何かあったのだろうか?
リーシャが目の前で立ち止まって、呼吸を整えている。
「どうしたんですか? 何かあったんですか?」
「……いえ、マサキさんが下界へ下りてしまったのではないかと心配になりまして……」
ああ、そうか。こっちとしては寝ている人の迷惑にならないつもりだったのが、リーシャからすれば、そうは思わないか。何か置き手紙でもすべきだったか。
にしても、彼女がここへ追いかけてきたということは、彼女は人族の国へ行くことをまだ諦めていないようだ。僕はあのお婆さんと一対一で話をしなければいけないのかもしれない。
「マサキさんは何をしているのですか?」
「朝稽古ですよ。刀の練習をしておかないといざという時に、判断が鈍ってしまうかもしれませんので」
そう言って、軽くリーシャに笑顔を見せる。彼女の不安を和らげてあげたい。
リーシャは表情を変え、やや笑った。
「心配しました。もう居なくなってしまったのかと」
「まぁ、最初はすぐに出ていこうと思っていたんですが、今は少し気が変わっていまして」
「じゃあ、一緒に連れて行ってもらえるんですか?」
彼女は嬉しそうな表情をする。
「いやー、まぁ、何というか。ちょっとこちらにも色々事情がありまして」
この会話はベゼルも聞いているから、ここで断るわけにもいかない。
リーシャは、よく分からないといった顔をしている。
ここで刀を振り続けると、おそらくリーシャはそれを見続けるだろう。
流石にそれは悪い気がしたので、ここで朝稽古を終えることにした。
二人で街を眺めながら歩いて行く。
「どうして、リーシャさんは飛んでこなかったんですか?」
「私たちの街では、仕事以外で飛ぶのは禁止されているのです。羽翼種の飛行速度はそれなりに速いですが、お互いぶつかってしまうとケガをしてしまいます。今飛んでいる人は、これから仕事へ向かう人達ですね。一般人は飛行を禁止されています」
「僕があそこにいると、どうして分かったのですか?」
「警護署に行ったら、すぐに教えてもらえました。マサキさんは久しぶりに下界からいらした方なので、皆興味あるというか……」
彼女はここで言葉を濁したが、要は僕を警戒している面がまだあるということなのだろう。
この国にいる時は下手なことはしない方がいいのかもしれない。
羽翼種の街というのは僕からすると結構近代的なイメージだ。
もっと中世の古風な感じの街並みかと思ったが、そうでもない。
家は石造りだが、多分これは土魔法で作っただろうもので、デザインが洗練されている。
それにリーシャから色々と街の様子を聞いてみたが、僕が元の世界にいた頃とそれほど変わらない気がする。テレビも電話もある感じだ。ないのはネットくらいか。
二人で話をしながら家に帰ると、家の玄関では、お婆ちゃんが仁王立ちして待っていた。
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