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第四章
第七十四話 皐月の作戦
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佐々木と皐月が臨時で設置された司令部に入ると、その場がざわついた。
「お嬢様っ? なぜここに——」
「それは後で。今は会議を始めましょう」
佐々木は優作を遮った。わかりました、と彼はすぐに引き下がった。
司令室には優作を始めとする護衛隊の重要人物が集まっていた。
その中には沙希やヒナ、さらには吉田追跡隊に加わっている江坂や清宮と同様に小隊を持っている下平や寺内といった面々もいる。
「それでは状況を説明してくれ」
優作が言った。護衛隊に関する会議は、隊長である彼が司会をすることが多い。
はい、と早馬で駆けてきた安田和人——沙希とヒナを除けば護衛隊最年少隊員——が立ち上がり、壁に貼られた地図を手で示した。
「キース森で突然魔物たちが一斉に暴走し、横幅二十メートルほどの大群を形成してアーク街に向かって進み始めました。森の奥からもどんどん新たな魔物が湧き出ており、キース森やその近辺で依頼を受けていた冒険者たちやアーク街の南東側を警備していたウチの護衛隊、同じくアーク街の南西側の警備にあたっていた国防軍第五隊などが対処していますが、数が多すぎてすでに街への侵入を許しています」
その場の空気が一段と重くなった。
アーク街は九条家のある、キース森に一番近い街だ。
キース森から見て北西にあるその街の北側に九条家は位置しており、その屋敷から半径二キロメートルほどの円内に収まるアーク街は全て九条家の領地だ。
アーク街よりさらに南側の地域はほとんど人が住んでいない廃墟となっており、どこの領地にも属していない。
これは、多くの魔物が住み着いているキース森の近くに住むことを人々が避けた結果だ。
だから、キース森で魔物が暴走しても市民にはほとんど影響が出ることはなかったのだが、アーク街にまで侵入されてしまえば当然、話は別だ。
なお、と和人は続けた。
「これは信じ難いことなのですが……人間を見たら無条件で襲いかかるはずの魔物が人間に見向きもせず、一目散に北西、つまり九条家に向かってきているようです」
「具体的な対処方法はどうなっておりますかな?」
佐々木は和人に尋ねた。
「防衛線を張っていますが、第五隊が他との協力を拒否しており、足並みが揃っていません。そのため攻撃は散発的なものとなっており、あまり足止めできていないのが現状です」
司令室がざわめいた。当然というべきか、その多くは第五隊に対する不満や非難の声だ。
「第五隊は何をやっているんだ?」
「謎にプライドだけは高い上に、第五隊は玲良様と対立しているからな。余計だろう」
優作が手を叩いた。
それだけでその場は静まり返った。
「避難状況はどうなっている?」
優作が和人に問いかけた。
「南東の地域はほとんど完了していますが、南西は遅れが出ていました」
「ふむ……」
優作が顎に手を当てた。
「ヒナ、現在も状況は変わっていないか?」
「はい」
ヒナが厳しい表情で頷いた。
「人的被害は少ないようですが、現在も魔物はこちらに確実に迫ってきています。ここから二キロ以内の地点に魔物の気配があるので、すでに市民の居住区に侵入されていると見て良いでしょう。市民の皆さんの避難についても、南西の地域は未だ完了していないようです」
「わかった。では、今後の方針を説明する」
優作が地図に手を伸ばした。皆が身を乗り出す。
「今ここには、休暇やすでに戦闘に出ている者たち、そして美穂様や非戦闘員とともに『砦』にいる者たちを除いて約百十名の隊員がいる。そのうち八十名を三つに分け、俺と下平、寺内の下につけて魔物のハザードに対処する。南西の地域に戦力を多めに割くつもりだが、それは現場の状況次第だ。残りの三十名のうち二十名は逃げ遅れている市民の避難の応援を、十名は屋敷周辺の警戒を頼む——屋敷組の指揮は、佐々木さんにお任せしてよろしいですか?」
「引き受けました」
的確な作戦だ、と思いつつ、佐々木は頷いた。
「ありがとうございます。それではまず——」
優作がテキパキと隊員の役割分担をしていった。
そして、全ての隊員に指示が行き渡り、いよいよ行動を起こすとなったとき、
「一つ、よろしいですか?」
凛とした声が、その場に響いた。
「何でしょう? ——お嬢様」
声の主は、これまで一度も口を挟んでいなかった皐月だった。
佐々木はその毅然とした表情を見た。九条家次期当主は、どんな策を用意しているのだろうか。
「今の作戦で、魔物の侵攻を確実に食い止められるのですか?」
「……厳しい戦いにはなるでしょうね」
チラリとヒナに目を向けてから、優作は答えた。ですが、と彼は続けた。
「すでに九条家の領地に侵入されている現在の状況で、街をこれ以上壊されないためには、もうこれしか取れる策がないんです」
優作の言葉は的確に九条家の現状を示していた。
瑞樹の死を受けて第三隊の立場が怪しくなったことにより、現在は九条家に対する風当たりも強まっている。
体面や外面が重要になる貴族社会において、現在の九条家は人的被害はもちろん、建造物などの被害もなるべく抑えなければならないのだ。少しでも対処を誤れば、政敵は容赦なくそこを突いてくるだろう。
「ですが、この作戦ではどこかが崩れれば一気に崩壊する可能性がありますし、第五隊という不安要素がある以上、皆さんが危険すぎます」
「承知しています。しかし、今は他に手段がないんです」
「いいえ、あります」
皐月は断言した。
呆気に取られる優作を正面から見て、彼女は告げた。
「——カイス沼に、魔物たちを引き込むのです」
「なっ……⁉︎」
優作が目を見開き、驚愕をあらわにした。
佐々木も驚きはしたが、同時に納得もしていた。
なるほど確かに、その作戦は「佐々木や優作が思いつかない、思いついても口には出さない」類のものだろう。
なぜなら、九条家から見て南東に位置するカイス沼は、九条家の敷地のすぐ外、目と鼻の先にあるからだ。
そこに魔物を引き込むということは、自ずと九条家を危険に晒すということにもつながる。
「そ、それは危険すぎます!」
下平が叫ぶように言った。
「確かに沼に引きずり込めれば魔物の機動力を削ぐことができますが……万が一にも沼から抜け出されれば、一気にここに攻め込まれますっ。それに、カイス沼に引き込むまでに魔物が通る道の被害はどうするのですか⁉︎ 民家だってたくさん——」
「全て承知の上です。それでも、人的被害を少なくするならこの方法が一番なはずです」
皐月の目に迷いはなかった。
「沼にさえ引き込んでしまえば集中砲火で狙えますし、引き込むのも含めて時間も稼げます。時間を稼げば冒険者ギルドや王宮からの応援、さらには空也君たちが来てくれるかもしれません」
佐々木はヒナを見た。彼女は首を振った。まだ空也たちは彼女の【索敵】圏内、つまり半径六キロメートルほどの円内にはいないようだ。
そして、と皐月は続けた。
「この方法では、町の損害に対する非難の矛先を第五隊に向けることも可能です。なぜなら、彼らが最初から冒険者や私たちと足並みをそろえていれば、彼らのせいで避難が遅れているアーク街南西部を避けることを念頭に置いたこの作戦は実行されなかったのですから」
「っ——!」
佐々木は思わず息を呑んだ。
皐月の作戦はただ人的被害の最小化を念頭に置いたものだと思っていたが、彼女はその後のリスクまでもしっかり計算していたのだ。それも、九条家が贔屓している第三隊のライバルを蹴落とすという方法で。
なかなかにえげつない、と佐々木は思った。
「……ですが、引き込むと言っても具体的にどうするのですか? 人間に興味を示さない以上、囮作戦も使えませんが」
その優作の質問で、再び皐月に視線が集まった。その場にいる皆が彼女の作戦の有用性を認めた証拠だった。
「アーク街の南東側からカイス沼に向かって、障壁を緩やかにカーブさせるようにどんどん生成していき、壁沿いに走るよう誘導するのです。正面からのぶつかり合いでは押し負ける強度であっても、斜め、それも魔物の進行方向とほとんど水平と言っても良い角度なら、まず破られることはないでしょう」
「なるほど……」
皐月の口から淀みなく告げられたその方法は、とても魅力的なものだった。
正面から当たる必要がなく、誘導しつつ手の空いた隊員は好きなだけ魔物を狙うことができる。
しかし、やはり懸念されるのはカイス沼に引き込んだ後だ。
そしてそれは、優作も同様だったようだ。
「たしかにそれはとても理に適った作戦ですが、やはり引き込んだ後のリスクが——」
「あっ!」
突然、ヒナが大声を上げた。
「どうしたっ?」
「空也さんとミサさんが、こちらに向かってきています! 現在のペースなら、おそらくあと十分ほどでここに到着しますっ!」
その報告を聞いた優作の判断は早かった。
「——皐月様の作戦で行くぞ!」
「了解!」
優作の指示を受け、全員が一斉に立ち上がった。
「お嬢様っ? なぜここに——」
「それは後で。今は会議を始めましょう」
佐々木は優作を遮った。わかりました、と彼はすぐに引き下がった。
司令室には優作を始めとする護衛隊の重要人物が集まっていた。
その中には沙希やヒナ、さらには吉田追跡隊に加わっている江坂や清宮と同様に小隊を持っている下平や寺内といった面々もいる。
「それでは状況を説明してくれ」
優作が言った。護衛隊に関する会議は、隊長である彼が司会をすることが多い。
はい、と早馬で駆けてきた安田和人——沙希とヒナを除けば護衛隊最年少隊員——が立ち上がり、壁に貼られた地図を手で示した。
「キース森で突然魔物たちが一斉に暴走し、横幅二十メートルほどの大群を形成してアーク街に向かって進み始めました。森の奥からもどんどん新たな魔物が湧き出ており、キース森やその近辺で依頼を受けていた冒険者たちやアーク街の南東側を警備していたウチの護衛隊、同じくアーク街の南西側の警備にあたっていた国防軍第五隊などが対処していますが、数が多すぎてすでに街への侵入を許しています」
その場の空気が一段と重くなった。
アーク街は九条家のある、キース森に一番近い街だ。
キース森から見て北西にあるその街の北側に九条家は位置しており、その屋敷から半径二キロメートルほどの円内に収まるアーク街は全て九条家の領地だ。
アーク街よりさらに南側の地域はほとんど人が住んでいない廃墟となっており、どこの領地にも属していない。
これは、多くの魔物が住み着いているキース森の近くに住むことを人々が避けた結果だ。
だから、キース森で魔物が暴走しても市民にはほとんど影響が出ることはなかったのだが、アーク街にまで侵入されてしまえば当然、話は別だ。
なお、と和人は続けた。
「これは信じ難いことなのですが……人間を見たら無条件で襲いかかるはずの魔物が人間に見向きもせず、一目散に北西、つまり九条家に向かってきているようです」
「具体的な対処方法はどうなっておりますかな?」
佐々木は和人に尋ねた。
「防衛線を張っていますが、第五隊が他との協力を拒否しており、足並みが揃っていません。そのため攻撃は散発的なものとなっており、あまり足止めできていないのが現状です」
司令室がざわめいた。当然というべきか、その多くは第五隊に対する不満や非難の声だ。
「第五隊は何をやっているんだ?」
「謎にプライドだけは高い上に、第五隊は玲良様と対立しているからな。余計だろう」
優作が手を叩いた。
それだけでその場は静まり返った。
「避難状況はどうなっている?」
優作が和人に問いかけた。
「南東の地域はほとんど完了していますが、南西は遅れが出ていました」
「ふむ……」
優作が顎に手を当てた。
「ヒナ、現在も状況は変わっていないか?」
「はい」
ヒナが厳しい表情で頷いた。
「人的被害は少ないようですが、現在も魔物はこちらに確実に迫ってきています。ここから二キロ以内の地点に魔物の気配があるので、すでに市民の居住区に侵入されていると見て良いでしょう。市民の皆さんの避難についても、南西の地域は未だ完了していないようです」
「わかった。では、今後の方針を説明する」
優作が地図に手を伸ばした。皆が身を乗り出す。
「今ここには、休暇やすでに戦闘に出ている者たち、そして美穂様や非戦闘員とともに『砦』にいる者たちを除いて約百十名の隊員がいる。そのうち八十名を三つに分け、俺と下平、寺内の下につけて魔物のハザードに対処する。南西の地域に戦力を多めに割くつもりだが、それは現場の状況次第だ。残りの三十名のうち二十名は逃げ遅れている市民の避難の応援を、十名は屋敷周辺の警戒を頼む——屋敷組の指揮は、佐々木さんにお任せしてよろしいですか?」
「引き受けました」
的確な作戦だ、と思いつつ、佐々木は頷いた。
「ありがとうございます。それではまず——」
優作がテキパキと隊員の役割分担をしていった。
そして、全ての隊員に指示が行き渡り、いよいよ行動を起こすとなったとき、
「一つ、よろしいですか?」
凛とした声が、その場に響いた。
「何でしょう? ——お嬢様」
声の主は、これまで一度も口を挟んでいなかった皐月だった。
佐々木はその毅然とした表情を見た。九条家次期当主は、どんな策を用意しているのだろうか。
「今の作戦で、魔物の侵攻を確実に食い止められるのですか?」
「……厳しい戦いにはなるでしょうね」
チラリとヒナに目を向けてから、優作は答えた。ですが、と彼は続けた。
「すでに九条家の領地に侵入されている現在の状況で、街をこれ以上壊されないためには、もうこれしか取れる策がないんです」
優作の言葉は的確に九条家の現状を示していた。
瑞樹の死を受けて第三隊の立場が怪しくなったことにより、現在は九条家に対する風当たりも強まっている。
体面や外面が重要になる貴族社会において、現在の九条家は人的被害はもちろん、建造物などの被害もなるべく抑えなければならないのだ。少しでも対処を誤れば、政敵は容赦なくそこを突いてくるだろう。
「ですが、この作戦ではどこかが崩れれば一気に崩壊する可能性がありますし、第五隊という不安要素がある以上、皆さんが危険すぎます」
「承知しています。しかし、今は他に手段がないんです」
「いいえ、あります」
皐月は断言した。
呆気に取られる優作を正面から見て、彼女は告げた。
「——カイス沼に、魔物たちを引き込むのです」
「なっ……⁉︎」
優作が目を見開き、驚愕をあらわにした。
佐々木も驚きはしたが、同時に納得もしていた。
なるほど確かに、その作戦は「佐々木や優作が思いつかない、思いついても口には出さない」類のものだろう。
なぜなら、九条家から見て南東に位置するカイス沼は、九条家の敷地のすぐ外、目と鼻の先にあるからだ。
そこに魔物を引き込むということは、自ずと九条家を危険に晒すということにもつながる。
「そ、それは危険すぎます!」
下平が叫ぶように言った。
「確かに沼に引きずり込めれば魔物の機動力を削ぐことができますが……万が一にも沼から抜け出されれば、一気にここに攻め込まれますっ。それに、カイス沼に引き込むまでに魔物が通る道の被害はどうするのですか⁉︎ 民家だってたくさん——」
「全て承知の上です。それでも、人的被害を少なくするならこの方法が一番なはずです」
皐月の目に迷いはなかった。
「沼にさえ引き込んでしまえば集中砲火で狙えますし、引き込むのも含めて時間も稼げます。時間を稼げば冒険者ギルドや王宮からの応援、さらには空也君たちが来てくれるかもしれません」
佐々木はヒナを見た。彼女は首を振った。まだ空也たちは彼女の【索敵】圏内、つまり半径六キロメートルほどの円内にはいないようだ。
そして、と皐月は続けた。
「この方法では、町の損害に対する非難の矛先を第五隊に向けることも可能です。なぜなら、彼らが最初から冒険者や私たちと足並みをそろえていれば、彼らのせいで避難が遅れているアーク街南西部を避けることを念頭に置いたこの作戦は実行されなかったのですから」
「っ——!」
佐々木は思わず息を呑んだ。
皐月の作戦はただ人的被害の最小化を念頭に置いたものだと思っていたが、彼女はその後のリスクまでもしっかり計算していたのだ。それも、九条家が贔屓している第三隊のライバルを蹴落とすという方法で。
なかなかにえげつない、と佐々木は思った。
「……ですが、引き込むと言っても具体的にどうするのですか? 人間に興味を示さない以上、囮作戦も使えませんが」
その優作の質問で、再び皐月に視線が集まった。その場にいる皆が彼女の作戦の有用性を認めた証拠だった。
「アーク街の南東側からカイス沼に向かって、障壁を緩やかにカーブさせるようにどんどん生成していき、壁沿いに走るよう誘導するのです。正面からのぶつかり合いでは押し負ける強度であっても、斜め、それも魔物の進行方向とほとんど水平と言っても良い角度なら、まず破られることはないでしょう」
「なるほど……」
皐月の口から淀みなく告げられたその方法は、とても魅力的なものだった。
正面から当たる必要がなく、誘導しつつ手の空いた隊員は好きなだけ魔物を狙うことができる。
しかし、やはり懸念されるのはカイス沼に引き込んだ後だ。
そしてそれは、優作も同様だったようだ。
「たしかにそれはとても理に適った作戦ですが、やはり引き込んだ後のリスクが——」
「あっ!」
突然、ヒナが大声を上げた。
「どうしたっ?」
「空也さんとミサさんが、こちらに向かってきています! 現在のペースなら、おそらくあと十分ほどでここに到着しますっ!」
その報告を聞いた優作の判断は早かった。
「——皐月様の作戦で行くぞ!」
「了解!」
優作の指示を受け、全員が一斉に立ち上がった。
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