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第12話 彼女からの相談
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楓の家に到着しても、もちろん宿題など行うわけがなかった。
軽いスキンシップの後に立て続けに一回戦、二回戦と行い、俺は疲労感を感じてベッドでゴロゴロしていた。
しかし、鬼畜な恋人には休憩という概念がないらしい。
「悠真君、今日は私が満足するまで付き合ってもらうって言いましたよね?」
「ま、待って、もう少し休ませてくれ」
「まったく。男のくせにだらしないですよ?」
「楓が逞しすぎるんだよ……」
「人をビッチみたいに言わないでください」
「えっ」
思わず声が漏れてしまった。
楓がジトっとした視線を向けてくる。
「なんですか?」
「いや、これまでの楓の数々の行動を振り返ると……なかなかだなと思って」
野外でブラを見せてきたりイチモツを握ってきたり誘ってきたりしたのは、いじめが原因だから何を言うつもりもない。
しかし、これまでのエッチの多くは楓から誘ってきたものであり、今日は図書室で痴女ってきた。
ビッチかビッチじゃないかの二択で問われたら、間違いなく前者だろう。
「それは、だって、その……」
楓が急に赤面してしおらしくなり、消え入りそうな声で、
「ゆ、悠真君が好きだから、そうしたくなっちゃうだけですもん」
「——楓っ」
「わっ⁉︎」
俺は気づいたときには楓を押し倒していた。
さっきまで感じていた疲労感は嘘のように消し飛び、彼女と愛し合いたいという思いだけが俺の中を支配していた。
——結局その後、いつの間にか楓に主導権を奪われた俺は、焦らされ続けた後に満を持してハットトリックを達成した。
幸福感と疲労感の絶頂を迎えてベッドに仰向けになっていた。まるでセックスの温冷浴だ。
……あれ、自分でも何言っているのかわかんなくなってきた。
「そういえば悠真君——」
お互いに寝転がったままハグやキスなどの軽いスキンシップを繰り返していると、楓がふと硬い表情になった。
「ちょっとご相談があるんですけど……」
「どうした?」
「私、部活に入りたいと思うんです」
「おっ、いいじゃん。何部?」
俺がポジティヴな反応を見せたからだろうか。楓の顔から強張りが取れた。
「卓球部です。元々体を動かすのは嫌いじゃないですし、陽奈ちゃんも入っているので……いいですか?」
陽奈とは、以前から楓に気さくに話しかけてくれていた彼女の一番の親友である東雲陽奈のことだろう。
みんなから好かれる裏表のない明るい性格だが、ラノベ好きという一面も持ち合わせていて、それで意気投合したようだ。
俺はおずおずと尋ねてくる楓の頭を撫でて、
「もちろん。めっちゃいいことだと思うし、応援するぞ。試合とかあったら観に行ってもいいか?」
「それは嬉しいですけど……私、今まで体育の授業以外ではやっていないので、大会とか出れないと思いますよ?」
「全然いいよ。試合に出てても出てなくても、楓が頑張ってる姿が見られればそれで十分だからな」
「す、すぐそういう恥ずかしいことを言う……!」
楓が顔を赤らめてポカポカと胸を叩いてくる。
俺は何も言い返さず、無言でその頭を撫で続けた。
不満そうに膨れさせていた楓の頬がだんだんと緩んでいく。
思わず笑みを漏らせば、彼女は二の腕に額を押し付けてぐりぐりしてきた。
「……悠真君のばか。女タラシ」
「楓限定でな」
「っ~!」
再び茹で上がった楓を横向きに抱きかかえ、あぐらをかいた足の間に座らせて背後から抱きしめた。
首筋に顔を埋めれば、ほんのり汗の混じった甘酸っぱい匂いが鼻をかすめた。
「ゆ、悠真君っ?」
「楓、好きだ」
「……!」
耳元で囁けば、彼女はわかりやすくビクッと震えた。
俺としてもこんなのは恥ずかしかったが、それ以上に溢れ出る想いを伝えたかった。
「楓は?」
「わ、わかってるくせにっ」
「楓の口から聞きたいんだ」
「うぅっ……す、好きに決まってるじゃないですか!」
「そっか、ありがとな」
髪の毛にキスを落とすと、楓は限界とばかりに俺の元から飛び出した。
「うぅ……!」
枕に顔を埋めてうなり声を上げている。
加虐心はまだまだ燃え盛っていたが、さすがにこれ以上はやめておくべきだろうな。
——こうして、楓の卓球部入部が決まった。
◇ ◇ ◇
「陽奈ちゃん、早く行きましょう」
「わかったわかった」
楓は早く早く、と陽奈を急かした。
苦笑する彼女とともに教室を出る。廊下で悠真とばったり遭遇した。
「あっ、悠真君」
「おう。今から部活か?」
「はい」
「そうか。頑張れよ、東雲さんも」
「頑張りますっ」
楓はグッと拳を握りしめた。
「くっ……! 一条、あんたは幸せ者よ」
「知ってる」
悠真が穏やかな表情を浮かべた。
(あぅ……!)
慈愛の瞳で見つめられ、楓は真っ赤になってしまった。
「おーおー、お熱いねぇ。ただでさえ夏本番が近づいてきてるんだから少しは控えてよ」
「う、うるさいですっ! 悠真君、また後でっ」
「お、おう」
楓はズンズン大股で歩き出した。
背後から「いやぁ、青春だねぇ」というのどかな声が追いかけてきた。
隣に並んだ陽奈からプイッと顔を背けてみせるが、本気で怒っているわけではない。
むしろ、友達とこういうやり取りをできているというのがすごく嬉しかった。
恥ずかしくて陽菜には面と向かってお礼を言えていないが、楓が毎日を楽しく過ごしていられるのは彼女と悠真のおかげだ。
「そう言えばさ、なんだかんだでテスト二週間前切ったけど勉強してる?」
「うーん、してないことはないんですが……」
楓は言葉を濁した。
部活を始めた影響で、悠真と過ごす時間は少し減ってしまった。
一緒に登下校する頻度は変わっていない。
今日のように一緒に帰る日は、帰宅部の彼も卓球部が終わるまで教室や図書室で勉強したり友人である八雲や早乙女と過ごしたりして待っててくれている。
ただ、どうしても部活後は時間的にも体力的にも厳しいものがあった。
しっかりと二人きりの時間が取れるのは、部活がオフのときか休日に限られた。
悠真と付き合って自覚したことだが、楓は性欲が強い。
もちろん彼とただ一緒に過ごす時間も大好きだが、一定時間一緒にいてスキンシップを取ったりしていると、どうしてもそういう気分になってしまう。
楓が満足するためには、相応の回数と時間が求められる。
そのせいで、本来なら勉強に費やすべき時間をイチャイチャに使ってしまっているのが現状だ。
とはいえ一緒に勉強するのも楽しいので、これまでのレベルを維持はできていると思うが。
頬を染めて黙りこくる楓を見て、陽奈は「ははーん」と意味ありげに笑った。
「たしかに最近、楓おっぱいおっきくなってるもんね」
「どういうことですか?」
「あれ、知らない? 好きな人に揉まれると大きくなるっていう逸話」
「そ、そんな話が?」
楓は悠真にもっと揉んでもらおうか、と本気で考えた。
たしかに陽奈の言う通り、少しずつ膨らんできてはいるものの、まだスポブラでも全然——、
(……あれ?)
楓は違和感を覚えた。
「というか、なんで陽奈ちゃんが私のおっぱい事情知ってるんですか」
「そりゃ、一緒に着替えてるんだからわかるよ。観察日記つけてるし」
「えっ」
「冗談だよ」
陽奈が「ういやつめ~」と頭を撫でてくる。
楓は日頃の悔しさも込めてビンタをしておいた。陽菜の制服がはち切れんばかりの果実を。
「いったぁ⁉︎」
「おおっ……」
自分の体からは感じたことのないずっしりした重量を感じて、楓は思わず感動の声を漏らしてしまった。
余計に悔しさが増した。
「普通に痛いんですけど⁉︎」
「それだけのものを持っているのですから当然の報いです」
「理不尽っ!」
陽奈が涙目になって憤慨した。
楓はブフッと吹き出した。
途中入部なこともあって最初は不安でいっぱいだったが、部活は楽しかった。
単純に卓球が面白いし、先輩も同級生も後輩も暖かく迎え入れてくれた。
しかし、何一つ不満がないわけではなかった。
「——楓」
練習後、帰り支度をしていると名前を呼ばれた。楓は眉をひそめてしまった。
軽薄そうな笑いを浮かべて近づいてきたのは、同じ二年生で男子卓球部エースの宮村光一だった。
軽いスキンシップの後に立て続けに一回戦、二回戦と行い、俺は疲労感を感じてベッドでゴロゴロしていた。
しかし、鬼畜な恋人には休憩という概念がないらしい。
「悠真君、今日は私が満足するまで付き合ってもらうって言いましたよね?」
「ま、待って、もう少し休ませてくれ」
「まったく。男のくせにだらしないですよ?」
「楓が逞しすぎるんだよ……」
「人をビッチみたいに言わないでください」
「えっ」
思わず声が漏れてしまった。
楓がジトっとした視線を向けてくる。
「なんですか?」
「いや、これまでの楓の数々の行動を振り返ると……なかなかだなと思って」
野外でブラを見せてきたりイチモツを握ってきたり誘ってきたりしたのは、いじめが原因だから何を言うつもりもない。
しかし、これまでのエッチの多くは楓から誘ってきたものであり、今日は図書室で痴女ってきた。
ビッチかビッチじゃないかの二択で問われたら、間違いなく前者だろう。
「それは、だって、その……」
楓が急に赤面してしおらしくなり、消え入りそうな声で、
「ゆ、悠真君が好きだから、そうしたくなっちゃうだけですもん」
「——楓っ」
「わっ⁉︎」
俺は気づいたときには楓を押し倒していた。
さっきまで感じていた疲労感は嘘のように消し飛び、彼女と愛し合いたいという思いだけが俺の中を支配していた。
——結局その後、いつの間にか楓に主導権を奪われた俺は、焦らされ続けた後に満を持してハットトリックを達成した。
幸福感と疲労感の絶頂を迎えてベッドに仰向けになっていた。まるでセックスの温冷浴だ。
……あれ、自分でも何言っているのかわかんなくなってきた。
「そういえば悠真君——」
お互いに寝転がったままハグやキスなどの軽いスキンシップを繰り返していると、楓がふと硬い表情になった。
「ちょっとご相談があるんですけど……」
「どうした?」
「私、部活に入りたいと思うんです」
「おっ、いいじゃん。何部?」
俺がポジティヴな反応を見せたからだろうか。楓の顔から強張りが取れた。
「卓球部です。元々体を動かすのは嫌いじゃないですし、陽奈ちゃんも入っているので……いいですか?」
陽奈とは、以前から楓に気さくに話しかけてくれていた彼女の一番の親友である東雲陽奈のことだろう。
みんなから好かれる裏表のない明るい性格だが、ラノベ好きという一面も持ち合わせていて、それで意気投合したようだ。
俺はおずおずと尋ねてくる楓の頭を撫でて、
「もちろん。めっちゃいいことだと思うし、応援するぞ。試合とかあったら観に行ってもいいか?」
「それは嬉しいですけど……私、今まで体育の授業以外ではやっていないので、大会とか出れないと思いますよ?」
「全然いいよ。試合に出てても出てなくても、楓が頑張ってる姿が見られればそれで十分だからな」
「す、すぐそういう恥ずかしいことを言う……!」
楓が顔を赤らめてポカポカと胸を叩いてくる。
俺は何も言い返さず、無言でその頭を撫で続けた。
不満そうに膨れさせていた楓の頬がだんだんと緩んでいく。
思わず笑みを漏らせば、彼女は二の腕に額を押し付けてぐりぐりしてきた。
「……悠真君のばか。女タラシ」
「楓限定でな」
「っ~!」
再び茹で上がった楓を横向きに抱きかかえ、あぐらをかいた足の間に座らせて背後から抱きしめた。
首筋に顔を埋めれば、ほんのり汗の混じった甘酸っぱい匂いが鼻をかすめた。
「ゆ、悠真君っ?」
「楓、好きだ」
「……!」
耳元で囁けば、彼女はわかりやすくビクッと震えた。
俺としてもこんなのは恥ずかしかったが、それ以上に溢れ出る想いを伝えたかった。
「楓は?」
「わ、わかってるくせにっ」
「楓の口から聞きたいんだ」
「うぅっ……す、好きに決まってるじゃないですか!」
「そっか、ありがとな」
髪の毛にキスを落とすと、楓は限界とばかりに俺の元から飛び出した。
「うぅ……!」
枕に顔を埋めてうなり声を上げている。
加虐心はまだまだ燃え盛っていたが、さすがにこれ以上はやめておくべきだろうな。
——こうして、楓の卓球部入部が決まった。
◇ ◇ ◇
「陽奈ちゃん、早く行きましょう」
「わかったわかった」
楓は早く早く、と陽奈を急かした。
苦笑する彼女とともに教室を出る。廊下で悠真とばったり遭遇した。
「あっ、悠真君」
「おう。今から部活か?」
「はい」
「そうか。頑張れよ、東雲さんも」
「頑張りますっ」
楓はグッと拳を握りしめた。
「くっ……! 一条、あんたは幸せ者よ」
「知ってる」
悠真が穏やかな表情を浮かべた。
(あぅ……!)
慈愛の瞳で見つめられ、楓は真っ赤になってしまった。
「おーおー、お熱いねぇ。ただでさえ夏本番が近づいてきてるんだから少しは控えてよ」
「う、うるさいですっ! 悠真君、また後でっ」
「お、おう」
楓はズンズン大股で歩き出した。
背後から「いやぁ、青春だねぇ」というのどかな声が追いかけてきた。
隣に並んだ陽奈からプイッと顔を背けてみせるが、本気で怒っているわけではない。
むしろ、友達とこういうやり取りをできているというのがすごく嬉しかった。
恥ずかしくて陽菜には面と向かってお礼を言えていないが、楓が毎日を楽しく過ごしていられるのは彼女と悠真のおかげだ。
「そう言えばさ、なんだかんだでテスト二週間前切ったけど勉強してる?」
「うーん、してないことはないんですが……」
楓は言葉を濁した。
部活を始めた影響で、悠真と過ごす時間は少し減ってしまった。
一緒に登下校する頻度は変わっていない。
今日のように一緒に帰る日は、帰宅部の彼も卓球部が終わるまで教室や図書室で勉強したり友人である八雲や早乙女と過ごしたりして待っててくれている。
ただ、どうしても部活後は時間的にも体力的にも厳しいものがあった。
しっかりと二人きりの時間が取れるのは、部活がオフのときか休日に限られた。
悠真と付き合って自覚したことだが、楓は性欲が強い。
もちろん彼とただ一緒に過ごす時間も大好きだが、一定時間一緒にいてスキンシップを取ったりしていると、どうしてもそういう気分になってしまう。
楓が満足するためには、相応の回数と時間が求められる。
そのせいで、本来なら勉強に費やすべき時間をイチャイチャに使ってしまっているのが現状だ。
とはいえ一緒に勉強するのも楽しいので、これまでのレベルを維持はできていると思うが。
頬を染めて黙りこくる楓を見て、陽奈は「ははーん」と意味ありげに笑った。
「たしかに最近、楓おっぱいおっきくなってるもんね」
「どういうことですか?」
「あれ、知らない? 好きな人に揉まれると大きくなるっていう逸話」
「そ、そんな話が?」
楓は悠真にもっと揉んでもらおうか、と本気で考えた。
たしかに陽奈の言う通り、少しずつ膨らんできてはいるものの、まだスポブラでも全然——、
(……あれ?)
楓は違和感を覚えた。
「というか、なんで陽奈ちゃんが私のおっぱい事情知ってるんですか」
「そりゃ、一緒に着替えてるんだからわかるよ。観察日記つけてるし」
「えっ」
「冗談だよ」
陽奈が「ういやつめ~」と頭を撫でてくる。
楓は日頃の悔しさも込めてビンタをしておいた。陽菜の制服がはち切れんばかりの果実を。
「いったぁ⁉︎」
「おおっ……」
自分の体からは感じたことのないずっしりした重量を感じて、楓は思わず感動の声を漏らしてしまった。
余計に悔しさが増した。
「普通に痛いんですけど⁉︎」
「それだけのものを持っているのですから当然の報いです」
「理不尽っ!」
陽奈が涙目になって憤慨した。
楓はブフッと吹き出した。
途中入部なこともあって最初は不安でいっぱいだったが、部活は楽しかった。
単純に卓球が面白いし、先輩も同級生も後輩も暖かく迎え入れてくれた。
しかし、何一つ不満がないわけではなかった。
「——楓」
練習後、帰り支度をしていると名前を呼ばれた。楓は眉をひそめてしまった。
軽薄そうな笑いを浮かべて近づいてきたのは、同じ二年生で男子卓球部エースの宮村光一だった。
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