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第11話 お出かけデート②
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やってきたのは大型ショッピングモールだ。
女の子は買い物好きというイメージがあったが、楓も例に漏れずウキウキしていた。今すぐにスキップでも始めそうだ。
「買い物は好きか?」
「そうですね。いろいろ見て回るのは楽しいですし、それに、その……」
恥ずかしげにうつむいた後、意を決したように顔を上げて、俺の耳に口を寄せて、
「ゆ、悠真君と一緒ですからっ」
「っ~!」
……おかしい。急に顔にだけめちゃくちゃ冷たい空気当たり始めたんだが。
相当勇気を振り絞ったのだろう。
こちらも真っ赤になっていた楓は、近くにあった服屋さんに飛び込んだ。
「おい、楓——」
慌てて追いかけると、楓は頬に赤色を残しつつもキラキラ輝いた瞳を陳列する服たちに送っていた。
どうやら彼女好みの品揃えみたいだな。やり返してやろうと思ってたが、また後にするか。
「何かお探しでしょうか?」
女性の店員さんが柔和な笑みを浮かべながら話しかけてきた。
「あっ、えっと、夏服を探しにきたんですけど……」
緊張しつつ応答する楓。可愛いなぁ。
「夏服ですね。どういったものをお求めでしょうか?」
「そうですね……」
楓は迷うそぶりを見せた後、こちらに視線を向けてきた。
「どうした?」
「いえ、その……悠真君はどういうのがお好みかと思って」
「くっ……!」
店員さんの手前、胸を抑えてしゃがみ込みたくなるのをなんとか堪える。
け、健気すぎるだろ……!
「あの、悠真君?」
楓がこてんと首をかしげた。だからなんだその可愛い仕草は……!
一瞬わざとかと思ったが、彼女はそんな器用なタイプではない。
俺はなんとか自分を落ち着かせて、
「そ、そうだな……楓ならなんでも似合うと思うが、俺は結構今日みたいな清楚系ファッションが好きだし、楓の雰囲気にも合ってると思う」
「清楚な雰囲気のものですね。かしこまりました」
その後、オススメされたものの中からトップスを二着、ボトムスを一着それぞれ購入した。
途中で昼食を食べ、午後はお互いの趣味がラノベなのもあって本屋に寄ったりしていると、気がつけば夕方になっていた。
ファミレスで夕食を済ませて楓の家に帰ってきたとき、時刻は午後八時を回ろうとしていた。
「今日はありがとうございましたっ。すごく楽しかったです!」
戦利品の整理だけを済ませた後、楓がぺこりと頭を下げた。
その言葉が嘘でないことが一目でわかる、幸せそうな笑みを浮かべていた。
「こっちこそありがとな。マジで楽しかった」
楓の華奢な体を抱きしめる。
彼女も俺の背中に腕を回してぎゅっとくっついてきてくれた。
腕の中から何かを期待するように見上げてくる楓の額にキスを落とせば、頬を緩めつつもほんのり不満そうな表情を浮かべた。
尖った唇に改めて口付けをすると、彼女はへにゃりと幸せそうに相好を崩した。
今度は楓から接近してくる。
それから攻守交代を幾度か繰り返した後、楓が噛みしめるように、
「……キスって、こんなにも幸せなものなんですね」
「俺も知らなかったよ」
「私とのキスがファーストキスだったんですか?」
「おう」
正確に言えば幼稚園とかそのころにしたかもしれないけど、ちゃんと女の子を女の子として認識するようになってからは初めてなので、ファーストキスということでいいだろう。
楓が嬉しそうにニマニマと笑った。
「そうでしたか……悠真君の良さがみんなに広まってなくてよかったです」
「それはこっちのセリフだよ。楓、マジでどんどん綺麗になってるからな」
「昔は汚かったと言いたいのですか?」
楓が拗ねたように言った。
「ちげえって。昔は牛丼だったけど、今はそこに卵とチーズがトッピングされたようなもんだってことだよ」
「なるほど。私がチー牛だと」
「待て待てっ、誤解だ!」
「ふふ、わかってますよ。もし本気で言っていたらAmazonで拘束具を頼んで一晩中寸止めプレイするところでした」
こんなふうな冗談もポンポンと口をついて出るようになっているのが、楓の精神状態が良好であることを示しているだろう。
……えっ、冗談だよな?
まあそんな感じで以前よりも明るい雰囲気をまとうようになった楓には、嬉しいことに徐々に友達もでき始めた。
というより、これまでも好意的に接してくれていた人に自分から絡みに行けるようになったって感じだな。
お互いの交友関係もあるため、一緒に過ごす日を土日含めて週に三回程度に制限した。
二人とも帰宅部だからそうしようと思えば毎日でも一緒にいられるが、趣味が合うとはいえ適切な距離感でいたほうが会ったときにより楽しめるものだ。ただの雑談しかり、エッチしかり。
しかし、このシステムには問題があった。
お互いの用事などが重なって期間が空くと、楓が暴走気味になってしまうことが判明したのだ。
ある日の放課後のことだった。
俺と楓は図書室で隣に座って勉強していた。二人きりの空間では、雑談やらスキンシップやらで勉強どころではなくなってしまう。
他には誰もいなかった。
寝不足気味だった俺は、限界が来て仮眠をとることにした。
「楓、十五分後に起こしてくれねえか?」
「わかりました」
楓が親指を上に立てた。可愛かったので頭を一撫でしてから机に突っ伏した。
「っもう、すぐにそういうことをするんですから……」
不満げにつぶやいた後、仕返しとばかりに頭を撫でられる。
こそばゆかったが、それ以上に安心感があった。すぐに寝入った。
……ん?
下腹部に違和感を感じて、俺はうっすらと目を開けた。
回らない頭でそこに目を向け、
「……えっ? ちょ、か、楓っ⁉︎」
「図書室ではお静かに」
楓は人差し指を口元に持っていき、ふふ、と笑った。
もう片方の手で俺のモノを制服の上から揉みながら。
「おう、悪りぃ……じゃなくてっ、何してんだ⁉︎」
「起こしてほしいって言っていたので、親子ともども起こしてあげようかなと。ふふ、ムスコさんのほうが目覚めがいいようですね」
先のほうをにぎにぎされる。
「うっ……す、ストップストップっ。誰かに見られたらやばいって!」
俺は小さく鋭い声を出した。
しかし、楓はニヤニヤ笑うばかりだ。
「大丈夫です。今はちょうど誰もいませんし、扉は一つしかありません。誰かが入ってきたらわかりますよ」
「まあ、そうだけどよ……」
俺は言葉を詰まらせた。反論が思いつかなかった。
——というより、断続的に与えられる快感にすでに支配されかかっていた。
涼しげな楓の表情を崩してやりたくて、俺は彼女の股間に手を伸ばした。
「あっ……」
わずかに嬌声を漏らした楓は、抵抗せずにこりと笑った。
「っ……!」
普段はあまり見ることのない妖艶さをまとった笑みに、俺は言葉を失って固まった。
何? 体の一部はすでにカチコチだって? やかましいわ。
現実逃避を試みた俺の耳元で、楓が囁いた。
「悠真君。帰りませんか?」
「……帰るか。勉強は家でもできるもんな」
って、誰に言い訳してんだ俺は。
「はい。あっ、でも、このままで帰れるんですか?」
「男子舐めんなよ。こいつは悪い奴で授業の終わり際に限って何の刺激もないのに元気になりやがるから、対策はバッチリだ」
「えっ、じゃあ普通に授業後とか勃ってるときあるんですか?」
「ぶっちゃけ全然ある。楓に会いに行ってるときとかも」
「なるほど、そうなんですね……」
楓がニヤニヤ笑って考え込むそぶりを見せた。
「教室ではいじらないでくれよ?」
「さすがにそこの分別はついてますよ」
「分別ついてるやつは無人とはいえ図書室で恋人の性器触らねえだろ」
「悠真君だって触ってきたじゃないですか」
「俺は仕方ねえだろ。可愛い彼女に痴女られたらそういう気分にもなるっつーの」
「か、かわっ……!」
楓がサッと顔を赤くさせた。俺はその頭を撫でながら、
「可愛いなぁ」
「はぅ……!」
「はは、エロいことしてるときは余裕そうなくせに」
「う、うるさいですっ、悠真君のばか!」
真っ赤な顔で叫んだ後、楓はイタズラを思いついた子供のようにニヤリと笑った。
やべえ、嫌な予感がする。
「揶揄った罰として、今日は私が満足するまでとことん付き合ってもらいますからね」
「……ハイ」
普通は男のセリフだろうが、俺らの場合はこれで合ってる。
これまでの経験上、楓のほうが体力も性欲も豊富なのは明白だった。
彼女が満足するまでとなると、俺は冗談抜きで疲れ果ててしまう。
でも、その要望を拒んだことはない。
えっ、何でかって?
そりゃ、彼女が積極的に動いてくれるんだせ? そんな肉体的にも精神的にも快楽の絶頂を感じられる時間、拒めるわけがねえっつーの。
女の子は買い物好きというイメージがあったが、楓も例に漏れずウキウキしていた。今すぐにスキップでも始めそうだ。
「買い物は好きか?」
「そうですね。いろいろ見て回るのは楽しいですし、それに、その……」
恥ずかしげにうつむいた後、意を決したように顔を上げて、俺の耳に口を寄せて、
「ゆ、悠真君と一緒ですからっ」
「っ~!」
……おかしい。急に顔にだけめちゃくちゃ冷たい空気当たり始めたんだが。
相当勇気を振り絞ったのだろう。
こちらも真っ赤になっていた楓は、近くにあった服屋さんに飛び込んだ。
「おい、楓——」
慌てて追いかけると、楓は頬に赤色を残しつつもキラキラ輝いた瞳を陳列する服たちに送っていた。
どうやら彼女好みの品揃えみたいだな。やり返してやろうと思ってたが、また後にするか。
「何かお探しでしょうか?」
女性の店員さんが柔和な笑みを浮かべながら話しかけてきた。
「あっ、えっと、夏服を探しにきたんですけど……」
緊張しつつ応答する楓。可愛いなぁ。
「夏服ですね。どういったものをお求めでしょうか?」
「そうですね……」
楓は迷うそぶりを見せた後、こちらに視線を向けてきた。
「どうした?」
「いえ、その……悠真君はどういうのがお好みかと思って」
「くっ……!」
店員さんの手前、胸を抑えてしゃがみ込みたくなるのをなんとか堪える。
け、健気すぎるだろ……!
「あの、悠真君?」
楓がこてんと首をかしげた。だからなんだその可愛い仕草は……!
一瞬わざとかと思ったが、彼女はそんな器用なタイプではない。
俺はなんとか自分を落ち着かせて、
「そ、そうだな……楓ならなんでも似合うと思うが、俺は結構今日みたいな清楚系ファッションが好きだし、楓の雰囲気にも合ってると思う」
「清楚な雰囲気のものですね。かしこまりました」
その後、オススメされたものの中からトップスを二着、ボトムスを一着それぞれ購入した。
途中で昼食を食べ、午後はお互いの趣味がラノベなのもあって本屋に寄ったりしていると、気がつけば夕方になっていた。
ファミレスで夕食を済ませて楓の家に帰ってきたとき、時刻は午後八時を回ろうとしていた。
「今日はありがとうございましたっ。すごく楽しかったです!」
戦利品の整理だけを済ませた後、楓がぺこりと頭を下げた。
その言葉が嘘でないことが一目でわかる、幸せそうな笑みを浮かべていた。
「こっちこそありがとな。マジで楽しかった」
楓の華奢な体を抱きしめる。
彼女も俺の背中に腕を回してぎゅっとくっついてきてくれた。
腕の中から何かを期待するように見上げてくる楓の額にキスを落とせば、頬を緩めつつもほんのり不満そうな表情を浮かべた。
尖った唇に改めて口付けをすると、彼女はへにゃりと幸せそうに相好を崩した。
今度は楓から接近してくる。
それから攻守交代を幾度か繰り返した後、楓が噛みしめるように、
「……キスって、こんなにも幸せなものなんですね」
「俺も知らなかったよ」
「私とのキスがファーストキスだったんですか?」
「おう」
正確に言えば幼稚園とかそのころにしたかもしれないけど、ちゃんと女の子を女の子として認識するようになってからは初めてなので、ファーストキスということでいいだろう。
楓が嬉しそうにニマニマと笑った。
「そうでしたか……悠真君の良さがみんなに広まってなくてよかったです」
「それはこっちのセリフだよ。楓、マジでどんどん綺麗になってるからな」
「昔は汚かったと言いたいのですか?」
楓が拗ねたように言った。
「ちげえって。昔は牛丼だったけど、今はそこに卵とチーズがトッピングされたようなもんだってことだよ」
「なるほど。私がチー牛だと」
「待て待てっ、誤解だ!」
「ふふ、わかってますよ。もし本気で言っていたらAmazonで拘束具を頼んで一晩中寸止めプレイするところでした」
こんなふうな冗談もポンポンと口をついて出るようになっているのが、楓の精神状態が良好であることを示しているだろう。
……えっ、冗談だよな?
まあそんな感じで以前よりも明るい雰囲気をまとうようになった楓には、嬉しいことに徐々に友達もでき始めた。
というより、これまでも好意的に接してくれていた人に自分から絡みに行けるようになったって感じだな。
お互いの交友関係もあるため、一緒に過ごす日を土日含めて週に三回程度に制限した。
二人とも帰宅部だからそうしようと思えば毎日でも一緒にいられるが、趣味が合うとはいえ適切な距離感でいたほうが会ったときにより楽しめるものだ。ただの雑談しかり、エッチしかり。
しかし、このシステムには問題があった。
お互いの用事などが重なって期間が空くと、楓が暴走気味になってしまうことが判明したのだ。
ある日の放課後のことだった。
俺と楓は図書室で隣に座って勉強していた。二人きりの空間では、雑談やらスキンシップやらで勉強どころではなくなってしまう。
他には誰もいなかった。
寝不足気味だった俺は、限界が来て仮眠をとることにした。
「楓、十五分後に起こしてくれねえか?」
「わかりました」
楓が親指を上に立てた。可愛かったので頭を一撫でしてから机に突っ伏した。
「っもう、すぐにそういうことをするんですから……」
不満げにつぶやいた後、仕返しとばかりに頭を撫でられる。
こそばゆかったが、それ以上に安心感があった。すぐに寝入った。
……ん?
下腹部に違和感を感じて、俺はうっすらと目を開けた。
回らない頭でそこに目を向け、
「……えっ? ちょ、か、楓っ⁉︎」
「図書室ではお静かに」
楓は人差し指を口元に持っていき、ふふ、と笑った。
もう片方の手で俺のモノを制服の上から揉みながら。
「おう、悪りぃ……じゃなくてっ、何してんだ⁉︎」
「起こしてほしいって言っていたので、親子ともども起こしてあげようかなと。ふふ、ムスコさんのほうが目覚めがいいようですね」
先のほうをにぎにぎされる。
「うっ……す、ストップストップっ。誰かに見られたらやばいって!」
俺は小さく鋭い声を出した。
しかし、楓はニヤニヤ笑うばかりだ。
「大丈夫です。今はちょうど誰もいませんし、扉は一つしかありません。誰かが入ってきたらわかりますよ」
「まあ、そうだけどよ……」
俺は言葉を詰まらせた。反論が思いつかなかった。
——というより、断続的に与えられる快感にすでに支配されかかっていた。
涼しげな楓の表情を崩してやりたくて、俺は彼女の股間に手を伸ばした。
「あっ……」
わずかに嬌声を漏らした楓は、抵抗せずにこりと笑った。
「っ……!」
普段はあまり見ることのない妖艶さをまとった笑みに、俺は言葉を失って固まった。
何? 体の一部はすでにカチコチだって? やかましいわ。
現実逃避を試みた俺の耳元で、楓が囁いた。
「悠真君。帰りませんか?」
「……帰るか。勉強は家でもできるもんな」
って、誰に言い訳してんだ俺は。
「はい。あっ、でも、このままで帰れるんですか?」
「男子舐めんなよ。こいつは悪い奴で授業の終わり際に限って何の刺激もないのに元気になりやがるから、対策はバッチリだ」
「えっ、じゃあ普通に授業後とか勃ってるときあるんですか?」
「ぶっちゃけ全然ある。楓に会いに行ってるときとかも」
「なるほど、そうなんですね……」
楓がニヤニヤ笑って考え込むそぶりを見せた。
「教室ではいじらないでくれよ?」
「さすがにそこの分別はついてますよ」
「分別ついてるやつは無人とはいえ図書室で恋人の性器触らねえだろ」
「悠真君だって触ってきたじゃないですか」
「俺は仕方ねえだろ。可愛い彼女に痴女られたらそういう気分にもなるっつーの」
「か、かわっ……!」
楓がサッと顔を赤くさせた。俺はその頭を撫でながら、
「可愛いなぁ」
「はぅ……!」
「はは、エロいことしてるときは余裕そうなくせに」
「う、うるさいですっ、悠真君のばか!」
真っ赤な顔で叫んだ後、楓はイタズラを思いついた子供のようにニヤリと笑った。
やべえ、嫌な予感がする。
「揶揄った罰として、今日は私が満足するまでとことん付き合ってもらいますからね」
「……ハイ」
普通は男のセリフだろうが、俺らの場合はこれで合ってる。
これまでの経験上、楓のほうが体力も性欲も豊富なのは明白だった。
彼女が満足するまでとなると、俺は冗談抜きで疲れ果ててしまう。
でも、その要望を拒んだことはない。
えっ、何でかって?
そりゃ、彼女が積極的に動いてくれるんだせ? そんな肉体的にも精神的にも快楽の絶頂を感じられる時間、拒めるわけがねえっつーの。
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