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第9話 彼女のスタミナは底なしです
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行為が終わって少しダラダラした後、楓はお風呂に入ると言い出した。
「あっ、悠真君」
扉の前で、楓が振り返った。
「おっ?」
「気持ち良かったですよ」
「っ……!」
息を呑む俺を残して、楓はスタスタと歩いて行ってしまった。
(えっ、何今のっ……誘ってる?)
これはどっちだ? もし本当にただ感想を言ってくれただけなのだとしたら、勘違い男と引かれてしまうかもしれない。
……でも、無理だ。我慢できねえ。
「あんなことを言う楓が悪いんだからなっ……」
俺は少々手間取りつつ防具を装着し、脱衣所の扉をノックした。
「はい?」
「は、入っていい?」
「どうぞ——どうしました?」
「おわっ⁉︎」
突然ガチャっと扉が開き、髪を濡らした楓が顔を覗かせた。
驚きで固まる俺を、正確には俺の下腹部を見てニヤリと笑った。
「悠真君。それはどうしたんですか?」
そのいらずらっぽい表情を見れば、彼女が確信犯であることは明らかだった。
「わ、わりぃ……もう一回いいか?」
「はは、いいですよ。私から誘ったようなものですしね」
楓が浴室の扉を大きく開けた。
——そして、俺らはもう一度交わった。
「どうせなら悠真君も一緒に入っちゃいましょう」
終わった後、楓が誘ってくれた。
俺は緊張しつつもお言葉に甘えることにした。
「あっ、そんなゴシゴシ洗わないほうがいいぞ」
俺が忠告をすると、洗顔中だった楓が「そうなんですか?」と首を傾げた。
「おう。意外と撫でるようにするだけで汚れって落ちるし、擦っちゃうと逆に肌荒れの原因になるらしい」
「なるほど。よく知ってますね」
「まあ、一応気をつけてはいるからな」
主に楓にはよく見られたいと思っていたから、清潔感にはある程度気を遣っている。
楓が先程までとは打って変わって優しい手つきで顔を洗いながら、
「こんな感じでしょうか?」
「そうそう。いい感じ。楓、今でも可愛いから今よりさらに綺麗になったら絶対他の人の見る目変わると思うぞ。男子からも人気になるだろうし……楓?」
楓がピタリと洗顔をやめた。
彼女は不満そうに唇を尖らせ、
「じゃあ、綺麗にならなくていいです」
「えっ?」
お、俺なんかまずいこと言っちゃったか?
「悠真君を始めとした、以前から私に普通に接してくれていた人たち以外には好かれたくもありませんし、そもそも好きでいてくれるのは悠真君だけで充分ですから」
「っ……!」
俺は呆然としたまま固まっていた。
楓は照れたような笑みで頭を掻いた。
「すみません。重かったですよね。不快にさせたなら——」
楓が息を詰まらせた。
気がつけば、俺はそのほっそりとした体を抱きしめていた。
「ゆ、悠真君?」
「いや、あの、めちゃくちゃ嬉しいんだけど」
「本当ですか? 重い女は嫌われると聞きましたけど……」
楓が腕の中で不安そうな表情を浮かべる。
俺はますます彼女のことを抱きしめて、
「けど、一途ってことだろ? 他のやつらの趣味は知らないけど俺はめちゃくちゃ嬉しいし……俺だって似たようなものだからさ」
「どういうことですか?」
楓がコテンと首を傾げた。
可愛いな、ちくしょうっ。
「楓が綺麗になってめちゃくちゃモテ出したら嫌だなとか、他の男に取られたらどうしようとか考えてたんだよ。口では励ましつつもさ」
「なるほど。それでちょっと浮かない顔だったのですね」
楓が柔らかい笑みを浮かべて、猫のように俺の胸に頬を擦りつけてきた。
「安心してください。他の人になびくことは一切ありませんから」
「でも、俺よりかっこいいやつなんて他にも——んむっ⁉︎」
気がつけば、楓に口をふさがれていた。
「か、楓?」
「馬鹿言わないでください。悠真君より格好いい人なんているはずないでしょう。怒りますよ」
冗談ではなく、楓の瞳は据わっていた。
「い、いや、普通に俺よりイケメンはめっちゃいるだろ」
「イケメンはいても、格好いい人はいません。だって悠真君は私のま、まいっ……」
「まい?」
楓が赤面して言い淀んだ。
彼女は限界とばかりに俺から視線を逸らして、つぶやいた。
「……マイヒーローですから」
「——楓っ」
今度は俺からキスをした。
「ゆ……まくんっ……!」
何度も唇を押し当てていると、楓の瞳がとろんとしてきた。表情もすっかりふやけている。
俺とのキスでこんなになってくれるとか、最高かよ。
再び楓を抱きしめる。
「——好きだ、楓」
「わ、私も大好きですっ」
楓が恥ずかしげな表情で叫び、ギュウギュウ抱きついてくる。
勃ち上がっていた俺のモノが彼女のほっそりした白いお腹に押しつぶされる形となった。
「……って、またすっかり元気になってますね」
「い、いや、これは別にもう一回シたいとかじゃなくてっ、好きな人とキスとかしてたらそりゃこうなっちゃうって言うか——」
「シたくないんですか?」
楓がニヤニヤ笑いながら聞いてくる。
くそっ……確実に俺の答えをわかった上で聞いてきているな。
誘導に乗せられるのは悔しい。
でも、それ以上に欲が抑えきれなかった。
「……二択で言えば、それはシたいです」
「ふふ、悪い子ですね」
楓が俺のソレを正面から手のひらで覆った。
「うっ……か、楓、その触り方好きだよな」
「ふふ、ヘッドロックってやつですね。まあ人の頭じゃなくて亀の頭ですが……あっ、ビクってなりました」
「へ、ヘッドロックじゃなくてそれはただの鷲掴みだから!」
「そうなんですか? ヘッドロックってどんなのですか?」
楓が瞳を輝かせて尋ねてくる。
「腕を首に回してこう、ギュッて締めるんじゃね? 俺もよくわかってないけど」
「ふーん……こういうことですか?」
「あっ……!」
楓に脇でイチモツを挟まれ、情けない声が出てしまった。
「ふふ、可愛い声を出しますね。男の人はこういうのが結構好きって聞いたことがあるんですけど——」
楓が挟んだまま体を前後に揺らした。俺の顔を見て嬉しそうに笑った。
「——その様子では悠真君も好きなようですね」
そりゃそうだ。脇コキが好きじゃない男なんてこの世に存在しない。
結局その後、楓は俺が止めるよう懇願しても一向に緩めてくれず、そのまま脇でフィニッシュさせられた。
俺がぐったりとしていると、楓がお尻を突き出してきた。
「悠真君、私ももう一回……」
「っ……!」
体力的には限界が近づいていたが、彼女にそんなエッチな格好で誘われて断れるはずもなかった。
風呂上がり、俺はベッドで屍になっていた。
自家発電と共同作業ではまた異なるのだろうが、これまでは一日二回が最高だった。それも数時間のスパンを空けてだ。
こんな短期間で四発も出せば、いくら男子高校生でもバテてしまう。
「ふふ、すみません。さすがに無理をさせすぎましたね」
そう言って笑う楓はまだまだ余裕がありそうだ。
彼女も普通に三回シたというのに。
「楓、体力えぐすぎだろ……華奢な体のどこにそんなパワーあるんだ……」
「意外と体力あるんですよ? 私」
「それは知ってるけどさ」
「えっ、なんで知ってるんですか?」
楓がキョトンとした表情になった。
俺は視線を逸らして、
「……そりゃ、体育とかでも好きな人がいたらチラチラ見ちゃうだろ」
「っ……悠真君は結構なタラシさんだったんですね」
横目でちらっと確認すると、桜色に染まった楓の耳が見えた。
「いや、これに関しては楓が照れすぎなだけじゃ——いててっ!」
脇腹を思いきりつねられ、悲鳴をあげてしまった。本気で痛かった。
でも、好きな人とならそんなことですら楽しくなってしまう。
楓も同じ気持ちだったようで、俺たちは顔を見合わせてクスクス笑い合った。
それから、見えない糸に引き寄せられるかのようにキスを交わした。
「どうします? もう一回シます?」
「本気で走馬灯見えそうだから勘弁してくれ」
「仕方ないですね、明日まで我慢しましょう」
楓はニコニコ笑って、「そういえば宿題をやっていませんでした」とカバンをゴソゴソ漁り出した。
……俺、長生きできないかもしれない。
「あっ、悠真君」
扉の前で、楓が振り返った。
「おっ?」
「気持ち良かったですよ」
「っ……!」
息を呑む俺を残して、楓はスタスタと歩いて行ってしまった。
(えっ、何今のっ……誘ってる?)
これはどっちだ? もし本当にただ感想を言ってくれただけなのだとしたら、勘違い男と引かれてしまうかもしれない。
……でも、無理だ。我慢できねえ。
「あんなことを言う楓が悪いんだからなっ……」
俺は少々手間取りつつ防具を装着し、脱衣所の扉をノックした。
「はい?」
「は、入っていい?」
「どうぞ——どうしました?」
「おわっ⁉︎」
突然ガチャっと扉が開き、髪を濡らした楓が顔を覗かせた。
驚きで固まる俺を、正確には俺の下腹部を見てニヤリと笑った。
「悠真君。それはどうしたんですか?」
そのいらずらっぽい表情を見れば、彼女が確信犯であることは明らかだった。
「わ、わりぃ……もう一回いいか?」
「はは、いいですよ。私から誘ったようなものですしね」
楓が浴室の扉を大きく開けた。
——そして、俺らはもう一度交わった。
「どうせなら悠真君も一緒に入っちゃいましょう」
終わった後、楓が誘ってくれた。
俺は緊張しつつもお言葉に甘えることにした。
「あっ、そんなゴシゴシ洗わないほうがいいぞ」
俺が忠告をすると、洗顔中だった楓が「そうなんですか?」と首を傾げた。
「おう。意外と撫でるようにするだけで汚れって落ちるし、擦っちゃうと逆に肌荒れの原因になるらしい」
「なるほど。よく知ってますね」
「まあ、一応気をつけてはいるからな」
主に楓にはよく見られたいと思っていたから、清潔感にはある程度気を遣っている。
楓が先程までとは打って変わって優しい手つきで顔を洗いながら、
「こんな感じでしょうか?」
「そうそう。いい感じ。楓、今でも可愛いから今よりさらに綺麗になったら絶対他の人の見る目変わると思うぞ。男子からも人気になるだろうし……楓?」
楓がピタリと洗顔をやめた。
彼女は不満そうに唇を尖らせ、
「じゃあ、綺麗にならなくていいです」
「えっ?」
お、俺なんかまずいこと言っちゃったか?
「悠真君を始めとした、以前から私に普通に接してくれていた人たち以外には好かれたくもありませんし、そもそも好きでいてくれるのは悠真君だけで充分ですから」
「っ……!」
俺は呆然としたまま固まっていた。
楓は照れたような笑みで頭を掻いた。
「すみません。重かったですよね。不快にさせたなら——」
楓が息を詰まらせた。
気がつけば、俺はそのほっそりとした体を抱きしめていた。
「ゆ、悠真君?」
「いや、あの、めちゃくちゃ嬉しいんだけど」
「本当ですか? 重い女は嫌われると聞きましたけど……」
楓が腕の中で不安そうな表情を浮かべる。
俺はますます彼女のことを抱きしめて、
「けど、一途ってことだろ? 他のやつらの趣味は知らないけど俺はめちゃくちゃ嬉しいし……俺だって似たようなものだからさ」
「どういうことですか?」
楓がコテンと首を傾げた。
可愛いな、ちくしょうっ。
「楓が綺麗になってめちゃくちゃモテ出したら嫌だなとか、他の男に取られたらどうしようとか考えてたんだよ。口では励ましつつもさ」
「なるほど。それでちょっと浮かない顔だったのですね」
楓が柔らかい笑みを浮かべて、猫のように俺の胸に頬を擦りつけてきた。
「安心してください。他の人になびくことは一切ありませんから」
「でも、俺よりかっこいいやつなんて他にも——んむっ⁉︎」
気がつけば、楓に口をふさがれていた。
「か、楓?」
「馬鹿言わないでください。悠真君より格好いい人なんているはずないでしょう。怒りますよ」
冗談ではなく、楓の瞳は据わっていた。
「い、いや、普通に俺よりイケメンはめっちゃいるだろ」
「イケメンはいても、格好いい人はいません。だって悠真君は私のま、まいっ……」
「まい?」
楓が赤面して言い淀んだ。
彼女は限界とばかりに俺から視線を逸らして、つぶやいた。
「……マイヒーローですから」
「——楓っ」
今度は俺からキスをした。
「ゆ……まくんっ……!」
何度も唇を押し当てていると、楓の瞳がとろんとしてきた。表情もすっかりふやけている。
俺とのキスでこんなになってくれるとか、最高かよ。
再び楓を抱きしめる。
「——好きだ、楓」
「わ、私も大好きですっ」
楓が恥ずかしげな表情で叫び、ギュウギュウ抱きついてくる。
勃ち上がっていた俺のモノが彼女のほっそりした白いお腹に押しつぶされる形となった。
「……って、またすっかり元気になってますね」
「い、いや、これは別にもう一回シたいとかじゃなくてっ、好きな人とキスとかしてたらそりゃこうなっちゃうって言うか——」
「シたくないんですか?」
楓がニヤニヤ笑いながら聞いてくる。
くそっ……確実に俺の答えをわかった上で聞いてきているな。
誘導に乗せられるのは悔しい。
でも、それ以上に欲が抑えきれなかった。
「……二択で言えば、それはシたいです」
「ふふ、悪い子ですね」
楓が俺のソレを正面から手のひらで覆った。
「うっ……か、楓、その触り方好きだよな」
「ふふ、ヘッドロックってやつですね。まあ人の頭じゃなくて亀の頭ですが……あっ、ビクってなりました」
「へ、ヘッドロックじゃなくてそれはただの鷲掴みだから!」
「そうなんですか? ヘッドロックってどんなのですか?」
楓が瞳を輝かせて尋ねてくる。
「腕を首に回してこう、ギュッて締めるんじゃね? 俺もよくわかってないけど」
「ふーん……こういうことですか?」
「あっ……!」
楓に脇でイチモツを挟まれ、情けない声が出てしまった。
「ふふ、可愛い声を出しますね。男の人はこういうのが結構好きって聞いたことがあるんですけど——」
楓が挟んだまま体を前後に揺らした。俺の顔を見て嬉しそうに笑った。
「——その様子では悠真君も好きなようですね」
そりゃそうだ。脇コキが好きじゃない男なんてこの世に存在しない。
結局その後、楓は俺が止めるよう懇願しても一向に緩めてくれず、そのまま脇でフィニッシュさせられた。
俺がぐったりとしていると、楓がお尻を突き出してきた。
「悠真君、私ももう一回……」
「っ……!」
体力的には限界が近づいていたが、彼女にそんなエッチな格好で誘われて断れるはずもなかった。
風呂上がり、俺はベッドで屍になっていた。
自家発電と共同作業ではまた異なるのだろうが、これまでは一日二回が最高だった。それも数時間のスパンを空けてだ。
こんな短期間で四発も出せば、いくら男子高校生でもバテてしまう。
「ふふ、すみません。さすがに無理をさせすぎましたね」
そう言って笑う楓はまだまだ余裕がありそうだ。
彼女も普通に三回シたというのに。
「楓、体力えぐすぎだろ……華奢な体のどこにそんなパワーあるんだ……」
「意外と体力あるんですよ? 私」
「それは知ってるけどさ」
「えっ、なんで知ってるんですか?」
楓がキョトンとした表情になった。
俺は視線を逸らして、
「……そりゃ、体育とかでも好きな人がいたらチラチラ見ちゃうだろ」
「っ……悠真君は結構なタラシさんだったんですね」
横目でちらっと確認すると、桜色に染まった楓の耳が見えた。
「いや、これに関しては楓が照れすぎなだけじゃ——いててっ!」
脇腹を思いきりつねられ、悲鳴をあげてしまった。本気で痛かった。
でも、好きな人とならそんなことですら楽しくなってしまう。
楓も同じ気持ちだったようで、俺たちは顔を見合わせてクスクス笑い合った。
それから、見えない糸に引き寄せられるかのようにキスを交わした。
「どうします? もう一回シます?」
「本気で走馬灯見えそうだから勘弁してくれ」
「仕方ないですね、明日まで我慢しましょう」
楓はニコニコ笑って、「そういえば宿題をやっていませんでした」とカバンをゴソゴソ漁り出した。
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