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第一章 少年期
第八話 「媾合」
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ロベルは、その仏頂面に反して人並みに好奇心が旺盛な少年である。
むしろ、年相応だった好奇心は留まる事を知らず、いつしか年不相応な程に膨れ上がっていた好奇心は、表の世界へと足を踏み入れるきっかけとなった。
だから、そういった事に興味が無い訳では無かった。
裏の世界では、強姦や死姦はありふれたものであったし、ロベルが目にする機会も数え切れない程あった。
実際に経験した事こそ無いものの、女体に触れる事等幾らでもあったし、好奇心が先行して一歩手前までいった事もあった。
これからする行為に恐れは無い──はずだった。
「はあぁん! 可愛いわあ! 良いわよ、出しなさい!」
「⋯⋯!」
「たっくさん出したわね⋯⋯でも、もっとよ。もっと出しなさい!」
「⋯⋯疲れた、少し休憩を」
「何をふざけた事を言っているの。坊やは子供なんだから、体力は有り余っているでしょう? うふふ⋯⋯」
「さあ、早く動かしなさい! 早く!」
「まだ出せるはずよ! こんなに溜まっているんですもの⋯⋯!」
最早性暴力と化したそれは、児童と言って差し支えない少年に対する行いとしてはあまりに酷く、無慈悲だった。
夫は長期間王都へ出向いており、溜まりに溜まった性欲は生来の少年好きと相まって、ロベル相手に爆発した。
今までも、夫が不在の間は度々冒険者組合に依頼を出し、好みの男が来れば相手をさせ、そうでない場合や女だった場合は適当に言葉を交わして返していた。
相手をさせた男には相応の金を握らせて黙らせた。そもそも、貴族の美女と事を成した時点で本来なら首が飛ぶ案件だったので、本人も口を開く気は無かった。
報酬に関しては事前に組合へと支払っているので問題は無かった。
ただ、今回現れた少年は彼女の性的嗜好に合致する所が多く、彼女自身、膨れ上がる性的欲求に慄いていた。
しかし抑えられなかった。背徳的劣情を催させられる少年を前に、行き場を失った性欲の矛が我を忘れて向いてしまったのである。
それ故の、惨劇であった。
「で、では、報酬は執事に用意させるわ⋯⋯! とっても気持ち良かったわよ、また呼ぶわ」
そう言って彼女は去っていった。
後には、皺がつき乱雑になった湿り気のあるシーツを乗せたベッドと、その上に倒れ込むロベルの姿だけがあった。
暫くすると、いつの間にか姿が消えていた老執事が現れ、豪奢な机の上に別報酬の入った金袋が用意された。
通常よりも多めに入れられた金は、果たしてカザミーナの好意の証か老執事が気を利かせたが故か。
老執事は、失礼しますと言葉を残して再び部屋を去った。
彼はヴィーゼル辺境伯家の執事長であると同時に、カザミーナのお付き執事である。しかし彼は、カザミーナが実家に居る頃から彼女に付き従ってきた執事だ。どちらを重く見ているか等、考えるまでも無い。
彼は執事長という立場にものを言わせて強権を振るい、今日もカザミーナの不貞行為を皆に黙殺させた。
◇◇
気絶状態から目覚めたロベルは、そそくさと帰り支度を進め、城館を去ろうとした。
貴人の私室を出る時、視界の端に上品さと下品さが入り交じったベッドが映った。
ふと、ドアノブに翳した手を見ると、鳥肌が立ち、僅かに震えているのが分かった。
両足は完全に硬直してしまっているのに、頭の中は煩悩とこの部屋から去る事でいっぱい。
相反する考えが思考を鈍らせる。
(せっかくだ。もう少し、ここを見てから帰るか)
先程まで一刻も早くこの城館を去りたかったのに、今では城館の見学をする方へ気が向いている。
はだけた上着を着直し、ロベルは歩き出した。
むしろ、年相応だった好奇心は留まる事を知らず、いつしか年不相応な程に膨れ上がっていた好奇心は、表の世界へと足を踏み入れるきっかけとなった。
だから、そういった事に興味が無い訳では無かった。
裏の世界では、強姦や死姦はありふれたものであったし、ロベルが目にする機会も数え切れない程あった。
実際に経験した事こそ無いものの、女体に触れる事等幾らでもあったし、好奇心が先行して一歩手前までいった事もあった。
これからする行為に恐れは無い──はずだった。
「はあぁん! 可愛いわあ! 良いわよ、出しなさい!」
「⋯⋯!」
「たっくさん出したわね⋯⋯でも、もっとよ。もっと出しなさい!」
「⋯⋯疲れた、少し休憩を」
「何をふざけた事を言っているの。坊やは子供なんだから、体力は有り余っているでしょう? うふふ⋯⋯」
「さあ、早く動かしなさい! 早く!」
「まだ出せるはずよ! こんなに溜まっているんですもの⋯⋯!」
最早性暴力と化したそれは、児童と言って差し支えない少年に対する行いとしてはあまりに酷く、無慈悲だった。
夫は長期間王都へ出向いており、溜まりに溜まった性欲は生来の少年好きと相まって、ロベル相手に爆発した。
今までも、夫が不在の間は度々冒険者組合に依頼を出し、好みの男が来れば相手をさせ、そうでない場合や女だった場合は適当に言葉を交わして返していた。
相手をさせた男には相応の金を握らせて黙らせた。そもそも、貴族の美女と事を成した時点で本来なら首が飛ぶ案件だったので、本人も口を開く気は無かった。
報酬に関しては事前に組合へと支払っているので問題は無かった。
ただ、今回現れた少年は彼女の性的嗜好に合致する所が多く、彼女自身、膨れ上がる性的欲求に慄いていた。
しかし抑えられなかった。背徳的劣情を催させられる少年を前に、行き場を失った性欲の矛が我を忘れて向いてしまったのである。
それ故の、惨劇であった。
「で、では、報酬は執事に用意させるわ⋯⋯! とっても気持ち良かったわよ、また呼ぶわ」
そう言って彼女は去っていった。
後には、皺がつき乱雑になった湿り気のあるシーツを乗せたベッドと、その上に倒れ込むロベルの姿だけがあった。
暫くすると、いつの間にか姿が消えていた老執事が現れ、豪奢な机の上に別報酬の入った金袋が用意された。
通常よりも多めに入れられた金は、果たしてカザミーナの好意の証か老執事が気を利かせたが故か。
老執事は、失礼しますと言葉を残して再び部屋を去った。
彼はヴィーゼル辺境伯家の執事長であると同時に、カザミーナのお付き執事である。しかし彼は、カザミーナが実家に居る頃から彼女に付き従ってきた執事だ。どちらを重く見ているか等、考えるまでも無い。
彼は執事長という立場にものを言わせて強権を振るい、今日もカザミーナの不貞行為を皆に黙殺させた。
◇◇
気絶状態から目覚めたロベルは、そそくさと帰り支度を進め、城館を去ろうとした。
貴人の私室を出る時、視界の端に上品さと下品さが入り交じったベッドが映った。
ふと、ドアノブに翳した手を見ると、鳥肌が立ち、僅かに震えているのが分かった。
両足は完全に硬直してしまっているのに、頭の中は煩悩とこの部屋から去る事でいっぱい。
相反する考えが思考を鈍らせる。
(せっかくだ。もう少し、ここを見てから帰るか)
先程まで一刻も早くこの城館を去りたかったのに、今では城館の見学をする方へ気が向いている。
はだけた上着を着直し、ロベルは歩き出した。
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