26 / 30
突然の来訪者
しおりを挟む
突然、空に浮遊物体が現れた。そしてそれは、ふわふわと旋回をしながら、徐々に地上へ近づいてるように見受けられた。
「た、大変だ」
それを見ていた群集の中から、一人がそう叫んだ。それはそうだ、正体不明の浮遊物体が現れて、地球に着陸しようとしているのだから。
この前代未聞の事態に、警察はもちろん、軍隊までもが出撃し、国をあげてその物体を出迎えようとしていた。
「もし、地球を侵略しにきたエイリアンだったらどうしよう」
「いや、もしかしたら、地球と親交を深めようと、送りこまれた使者が乗っているかもしれない」
という声が囁かれたが、すべては、あの物体が着陸しない限り、わからないということだ。
その物体は、長方形の四角い箱のようだった。全長は約五メートルほどで、うっすらと光を放ちながら、ゆっくりと旋回をしており、それは、降り立つ場所を探しているようにも見えた。
そこで地球人は、ヘリコプターを飛ばし、その物体を空港の方へ誘導しようと試みた。すると、ヘリコプターの先導に気付いたのか、その物体は、導かれるままに空港へと降り立つことに成功した。
着陸をすると、その物体は、光を放つのを止めた。駆け付けた軍隊は機関銃を構え、その後ろでは、人々は遠巻きに集まり、これから起こる世紀の瞬間を、固唾を飲んで見守っていた。
やがて、その物体の側面から、扉のようなものが現れ、ゆっくりと開いた。中から登場するのは、やはり宇宙人だろうと、誰もが高をくくっていたその時、ついにそいつは姿を現した。
しかし、現れたそいつを見た人々は、拍子抜けをしていた。なぜなら、そいつは人間のようだったからだ。地球に住む人類のように、ちゃんと手足と頭もあり、集まっていた人々と、なんら変わりのない姿をしていた。
「お、お前は誰だ」
機関銃を構える軍隊の中から、隊長らしき人物が問い掛けた。
「驚かしてすみません。私はあなたがたと同じ人間ですよ」
なんと、乗っていたのは、エイリアンでも宇宙人でもなく、人間だったのだ。性別は男性のようで、地球人と同じ言葉を流暢にしゃべっていた。
「人間だという証拠はあるのか」
しかし、警戒体制は崩さなかった。もしかしたら、宇宙人が地球人を騙そうと、人間になりすましているだけなのかもしれないからだ。
「私は、百年後の未来からきた人間です。そしてこの乗り物は、タイムマシーン」
「そんなことが信じられるものか」
「それならば、どうぞ私を捕らえて、お調べになってください。私は抵抗しませんから」
その男がそう言うと、軍隊はじわじわとにじり寄り、未来からやってきたという男を捕らえた。男は言った通り、抵抗はしなかった。
捕らえられた男は、病院で徹底的に調べられた。レントゲンにCT検査。そして、血液検査に尿検査を終え、ようやく人間だと認められた。
もちろん、男がタイムマシーンと呼ぶ乗り物も、科学者により調べられた。たしかに、仕組みは、現代において創造しうる代物ではなかったが、部品やその他もろもろに使われている金属は、地球で採掘できる資源で作られてることがわかった。
しかし、スイッチ入れても始動はしない。でも、壊れてはいないようだ。どうやら、一回のタイムトラベルしかできないらしい。
こうして、この乗り物がタイムマシーンで、男が未来からやってきた使者てあることが証明されたのだ。
当然のことながら、そのことは世界中に知れ渡った。未来から、タイムマシーンに乗って現れた使者の言葉を聞こうと、記者会見場が設けられ、ありとあらゆる国々から、記者が詰めかけた。
「今日は、私のためにお集まりいただき、ありがとうございます」
男は、記者会見場に現れると、数えきれないほどのフラッシュを浴びながら、席についた。
この模様は、全世界へと生放送で中継された。仕事を休んでテレビに見入る者や、深夜に寝るのを惜しんでテレビに見入る者。そう、世界中のすべての人々が、男の言葉に耳を傾けていた。
「では、質問です。あなたはなぜ、未来からやってきたのですか」
やはり、最初の質問はこれだった。わざわざ、百年後の未来からやってきた理由。一回のタイムトラベルしかできないタイムマシーンで、この男はやってきたのだから、よほどの理由があるに違いない。
人々は、男が言葉を発するのを、今か今かと待ちわびた。そしてついに、男が口を開き、その理由を述べたのである。
「地球は、百年後の未来に滅亡します。だから私は、タイムマシーンで過去に逃げてきたんです」
その後、世界中の科学者が集結し、タイムマシーンの制作が計画された。
「た、大変だ」
それを見ていた群集の中から、一人がそう叫んだ。それはそうだ、正体不明の浮遊物体が現れて、地球に着陸しようとしているのだから。
この前代未聞の事態に、警察はもちろん、軍隊までもが出撃し、国をあげてその物体を出迎えようとしていた。
「もし、地球を侵略しにきたエイリアンだったらどうしよう」
「いや、もしかしたら、地球と親交を深めようと、送りこまれた使者が乗っているかもしれない」
という声が囁かれたが、すべては、あの物体が着陸しない限り、わからないということだ。
その物体は、長方形の四角い箱のようだった。全長は約五メートルほどで、うっすらと光を放ちながら、ゆっくりと旋回をしており、それは、降り立つ場所を探しているようにも見えた。
そこで地球人は、ヘリコプターを飛ばし、その物体を空港の方へ誘導しようと試みた。すると、ヘリコプターの先導に気付いたのか、その物体は、導かれるままに空港へと降り立つことに成功した。
着陸をすると、その物体は、光を放つのを止めた。駆け付けた軍隊は機関銃を構え、その後ろでは、人々は遠巻きに集まり、これから起こる世紀の瞬間を、固唾を飲んで見守っていた。
やがて、その物体の側面から、扉のようなものが現れ、ゆっくりと開いた。中から登場するのは、やはり宇宙人だろうと、誰もが高をくくっていたその時、ついにそいつは姿を現した。
しかし、現れたそいつを見た人々は、拍子抜けをしていた。なぜなら、そいつは人間のようだったからだ。地球に住む人類のように、ちゃんと手足と頭もあり、集まっていた人々と、なんら変わりのない姿をしていた。
「お、お前は誰だ」
機関銃を構える軍隊の中から、隊長らしき人物が問い掛けた。
「驚かしてすみません。私はあなたがたと同じ人間ですよ」
なんと、乗っていたのは、エイリアンでも宇宙人でもなく、人間だったのだ。性別は男性のようで、地球人と同じ言葉を流暢にしゃべっていた。
「人間だという証拠はあるのか」
しかし、警戒体制は崩さなかった。もしかしたら、宇宙人が地球人を騙そうと、人間になりすましているだけなのかもしれないからだ。
「私は、百年後の未来からきた人間です。そしてこの乗り物は、タイムマシーン」
「そんなことが信じられるものか」
「それならば、どうぞ私を捕らえて、お調べになってください。私は抵抗しませんから」
その男がそう言うと、軍隊はじわじわとにじり寄り、未来からやってきたという男を捕らえた。男は言った通り、抵抗はしなかった。
捕らえられた男は、病院で徹底的に調べられた。レントゲンにCT検査。そして、血液検査に尿検査を終え、ようやく人間だと認められた。
もちろん、男がタイムマシーンと呼ぶ乗り物も、科学者により調べられた。たしかに、仕組みは、現代において創造しうる代物ではなかったが、部品やその他もろもろに使われている金属は、地球で採掘できる資源で作られてることがわかった。
しかし、スイッチ入れても始動はしない。でも、壊れてはいないようだ。どうやら、一回のタイムトラベルしかできないらしい。
こうして、この乗り物がタイムマシーンで、男が未来からやってきた使者てあることが証明されたのだ。
当然のことながら、そのことは世界中に知れ渡った。未来から、タイムマシーンに乗って現れた使者の言葉を聞こうと、記者会見場が設けられ、ありとあらゆる国々から、記者が詰めかけた。
「今日は、私のためにお集まりいただき、ありがとうございます」
男は、記者会見場に現れると、数えきれないほどのフラッシュを浴びながら、席についた。
この模様は、全世界へと生放送で中継された。仕事を休んでテレビに見入る者や、深夜に寝るのを惜しんでテレビに見入る者。そう、世界中のすべての人々が、男の言葉に耳を傾けていた。
「では、質問です。あなたはなぜ、未来からやってきたのですか」
やはり、最初の質問はこれだった。わざわざ、百年後の未来からやってきた理由。一回のタイムトラベルしかできないタイムマシーンで、この男はやってきたのだから、よほどの理由があるに違いない。
人々は、男が言葉を発するのを、今か今かと待ちわびた。そしてついに、男が口を開き、その理由を述べたのである。
「地球は、百年後の未来に滅亡します。だから私は、タイムマシーンで過去に逃げてきたんです」
その後、世界中の科学者が集結し、タイムマシーンの制作が計画された。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話
赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる