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第四十話 身代わりのメイ
しおりを挟むマツダは立ち上がるとメイにびす子の隣に立つように指示した。
メイ:兄様、何をするの?
二人が並ぶと美留來や荒正、ユイとカイが驚いていた。
びす子:ど、どうした?
美留來:びす子とメイちゃんって背格好がほぼ同じだ。
びす子は美留來の言葉にまさかと思いを横を向くとメイと目線がバッチリ合った。
メイ:本当だ!
メイの方は嬉しそうに微笑んだ。
びす子:マツダ・・何する気だ。
嫌な予感がしてマツダに聞いてみた。
マツダ:メイにびす子様の・・。
びす子:だめだ!メイにそんな事させれない!
言い終わる前にびす子はマツダの言葉を遮った。
メイ:兄様、どうしたの?
メイは今何が起きてるのか分からず無邪気に聞いて来た。
マツダは片膝をつきメイの手を握った。
マツダ:メイ、お話があるんだ。
メイ:なーに?
マツダ:前にメイが見たいって言っていた飛行機を一緒に見に行ってみないか?
メイ:本当?行く!
メイは無邪気に喜んでいた。
びす子:マツダ、本気なのか?
マツダはコクリと頷いた。
ユイ:私もマツダ様とメイ様と一緒に行きます。護衛が一人だと怪しまれると思いますし。
マツダ:ユイ、助かる。
カイ:では、私がびす子様をお城までお連れします。
びす子:本気で言ってんの?途中、何が起きるか分からないんだぞ?
マツダ:勿論分かっています。必ずや、びす子様が国王に会って私たちの無実を晴らしてくれると信じてますから。
マツダは真摯な顔でびす子に言うと、ユイとカイが大きく頷いた。
びす子:分かった。必ず爺ちゃんに会って本当の事を話す。
美留來:えっと、すみません。私はどうすれば?
荒正:俺もだけど。
びす子:二人には安全な場所を用意出来ないかな?
カイ:うーん・・・そうだ!この先の山奥に狩猟小屋があります。
テーブルに広げた地図にある山の箇所にカイが人差し指でトンと叩いた。
びす子:ここは?
カイ:パウエル様がよく狩猟で訪れた場所でこの館からすれば小さめですが、美留來様と荒正様のお二人なら快適に過ごせると思います。
美留來:そこに行けば良いのね。
美留來と荒正はお互い顔を見合わせてホッとした様子だった。
カイ:ただ・・。
荒正:ん?何?
カイが申し訳なさそうに続きを話し出した。
カイ:この山は傾斜が強くて登るのは結構大変なのです。普段でしたら馬に乗って行くのですが、馬を使いますと蹄の跡が残りますので徒歩で向かう事になります。
荒正:あちゃ・・。
美留來:登り切れるかな・・そもそも二人っきり?
カイ:いいえ。数名の使用人達も一緒に同行させます。小屋の近くに使用人が使う小屋も御座いますので。
びす子:それなら安心だね。
カイ:一先ずは。これはびす子様が国王に会えると想定しての行動です。もし、最悪の場合は助けが来ないままずっとその小屋で暮らす事に・・。
美留來:えぇ、やだぁ。この人とずっと暮らすとかありえないよ!
荒正:それはこっちのセリフだ!
びす子:大丈夫。必ず迎えに行くから!それと梅男おじさんも見つける!
美留來:うん。頼んだ!
びす子は皆の視線を受け「頑張る!」と言ってガッツポーズを取った。
その時、メイがびす子に抱きついてきた。
メイ:びす子様!お気をつけて。必ず無実を晴らして下さい!
きつく抱きしめてくるメイにびす子は優しく抱きしめ返した。
びす子:うん。メイも気をつけてね。
メイ:はい。
ユイ:美留來様と荒正様は必要な物をまとめて下さい。
美留來:分かりました。
荒正:了解。
カイ:私は使用人達に伝えて来ます。
マツダ:私は階下で警護の者に伝えて来る。
カイ:マツダ様、これが国全体の地図です。お使い下さい。
カイが周辺の地図と国全体の地図を丸め個々に筒に入れると、国全体の地図をマツダに渡した。
マツダ:カイ、ありがとう。びす子様、すみませんがお洋服を何点かメイにお貸し下さいますか?
びす子:分かった。メイおいで。
メイ:はい。
マツダ:メイ、着替えたらびす子様達と降りて来なさい。
メイは覚悟を決めたかのような表情で兄の言葉にコクリと頷いた。
びす子達は準備をする為にティールームから一斉に走り出した。
つづく
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