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番外編 晴のパン屋さん
その二
しおりを挟むあれっくすは翌日にアルバイトの人を連れて来たが連れて来たがそれは高校生二人だった。
一人はモデルかと思うくらい身長も高く顔立ちも整った女子高生。
もう一人はまだ小学生ではないかと思うほど身長が低いものの女子高生と同じ制服を着ていたお陰で同じ高校に通っているのだとわかるレベルだった。
確かにすぐに人手は欲しいとは言ったものの、凸凹コンビを見た晴とゆきは少し不安になった。
あれっくす:こちらが僕が教えてる野球部の子でテルくん、こちらが野球部のマネージャーでメルさん。二人とも高校一年生だよ。
あれっくすは料理教室をする傍ら、地元の高校の野球部のコーチもしていた。
開店した翌日に早速あれっくすが野球部の練習が終わった後、パン屋のアルバイトを募集すると体験したいとトリエステ国の留学生の二人が名乗り出たという。
メル:はじめまして。アルバイト始めてですがよろしくお願いします。
テル:おう、俺もよろしくな!
丁寧に挨拶したメルとは対照的にテルは横柄な態度で本当にアルバイトをやる気があるのかと疑うレベルだった。
メル:ちょっと!もっとマシな挨拶出来ないの?!ホント嫌!同じ国の人間って思われるのが!!
テル:うるせえデカ女!!!
メル:むかつくううう!このチビ野郎!
目の前で小競り合いが始まると晴とゆきは『この二人で大丈夫?』とあれっくすの方をチラリと見た。
あれっくす:二人とも同じ国の出身で仲が良いんだよ。じゃぁよろしくね。
晴とゆきの視線には気がつかないのか、あれっくすは手を振ってメルとテルを置いて帰ってしまった。
ゆき:あれっくすさんはああは言ってましたが大丈夫なんですかね・・。
晴:さ、さあ?まあそれにきちんと仕事して貰えるなら大丈夫、うん!
だが、晴とゆきの不安は的中しバイト中に二人の喧嘩が絶えずにいた。
なるべく同じ作業はさせないようにはしてるものの、些細な事ですぐに喧嘩に発展して逆に効率が悪くなっていた。
さすがの晴も目に余ると思い何度も注意したがそれでも一向に聞く気配がないのであれっくすに相談した。
あれっくす:あれほど言ったのになあ・・・注意しとくよ。明日からちゃんとさせるから安心して。
そんな簡単に言う事を聞くのかと思ったが翌日から二人は大人しく仕事を黙々とこなしていた。
ゆき:あれっくすさんの一言でこんなに変わるんですね。そんなに怖い人なんですか?
晴:怖いと思った事ないけど・・・。
晴は小さい頃から知っているが一度も怒られた事もなく、喧嘩してるのも見た事は無かった。
その日の閉店前にあれっくすがやって来て二人の仕事ぶりを見て「うんうん」と満足気に頷いていた。
晴:あれさんどうやってこの二人を手懐けたの?
晴は気になってあれっくすに聞いてみたがニコニコ笑っているだけで答えてはくれなかった。
それからメルとテルは留学期間が終了する日まで晴のお店で真面目にバイトを続けていた。
そして帰国する前日に二人は閉店前に挨拶に来ていた。
晴:二人とも一年間ありがとうございました。
メル:こちらこそ貴重な体験をさせて貰いました。ありがとうございました。
テル:帰りに売れ残ったパンが貰えて最高だったぜ。
ゆき:一年とは言えお二人がいなくなるなんて寂しいですね・・。
あれっくす:二人ともよく頑張った。お疲れ様。
メル:コーチ。バイト始める時に言った約束、忘れないでよ!
晴:約束って何?
メル:大学生になったらデートしてくれるって約束したんです!
晴:へ、へえ・・。
チラリとあれっくすを見ると何を考えているのか表情は読めなかった。
テル:俺は一年間スタメンで野球が出来たから楽しかったぜ。コーチありがとうな。
あれっくす:実力があったから監督にスタメンに入れるように進言したまでだよ。
晴:それで急に真面目になったのね。早く教えてくれれば良かったのに。
晴はあれっくすの脇腹に軽くパンチするとニッコリと笑い返すだけだった。
そしてメルとテルがいなくなってから一年が過ぎた。
つづく
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