満月に吼える狼

パピコ吉田

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第六章 いでよ!太古の剣!

第十三話 閉じ込められたギア子

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 跪いたトーマを見てグレイは更に高らかに笑った。
 
グレイ:無様だな。トーマよ。はははは。
 
メル:・・どこまで卑怯者な奴なんだ。

ギア:姉さんを離しなさいよ!
 
グレイ:ふっ。良いだろう。もうセラは必要ない!

 グレイは扉を開け放つと同時にセラをエマの方へと勢いよく突き飛ばした。

グレイ:出でよ太古の剣よ!さあ!さあ!我に力を!!

 開け放った扉の前でグレイは興奮が抑えきれない表情で大きく腕を広げた。
 
ニコラ:ばっかじゃないの!伝説の剣が出て来る訳ないじゃん!
 
グレイ:お前ら知らないのか・・・。
 
ルチカ:全ての力が手に入るって剣の話・・聞いた事ある・・・。
 
メル:伝説ではなく本当の事だったのか?!

ギア子:お前にそんな力を手に入れさせない!ー

 ギア子の左手の甲に紋様が浮かび上がると体が徐々に光を帯び背中に白い羽が生えトルキエの弓が一回り大きくなった。
 
グレイ:お、お前・・まさか本当のダンデリオンの継承者なのか・・。

 ギア子は大きく弓を引くと矢が現れ矢尻に光がどんどん集まり出した。

ギア子:お前を絶対に許さない!!!!

 グレイは慌ててギア子の方に振り向き持っているダガーを全て投げて来た。

 だがそのダガーはギア子にはまったく歯が立たず床に虚しくカランカランと落ちていった。
 
グレイ:何故だ・・何故だ。

ギア子:いけええ!!!

 ギア子は渾身の力と言わんばかりに矢を放つとグレイの胴体に命中し、その勢いのままに矢と一緒に扉の外にある漆黒の宇宙の中へと放り出された。
 
 その時、グレイは何かに縋るかのように手を伸ばしながら叫んだ。

グレイ:いやだ・・・こんな最期・・・いやだ、いやだ、いやだあぁぁ。

 グレイの叫びは徐々にかき消され門が閉じる頃には何も聞こえなくなりルーチェの間は静まりかえった。

 ギア子は相当の体力を消費したせいで立っていられなくなり床に崩れ落ちた。

メガ:ギア子大丈夫か!!!

 メガ男は慌ててギア子が倒れる前に抱きとめた。

エマ:ギア子様を宮殿で休ませましょう。

メル:分かりました。私が運びます。
 
サクラ:私、付き添います。

トーマ:これでやっと全てが終わったな。
 
セラ:ドッと疲れが・・出た。
 
ニコラ:セラ様もゆっくり休まれて下さい。
 
アキラ:ギア子様がユウトとノクトとツバキの仇を討ってくれてスカッとしたぜ。

ルチカ:うん・・。
 
晴:これで気兼ねなく地球に帰れるね。
 
あれっくす:そうだね。
 
テル:えぇ・・地球に帰っちゃうのかよう。
 
メル:テルは寂しがり屋だからな。晴、もう少しこっちに滞在してやってくれ。
 
晴:しょうがないわねっ。ちょっとだけよ?
 
ギア:もう笑わせないで晴さんメルさん。体があちこち痛いんだから。
 
 みんなお互いの顔を見て全て終わったと思うと自然と笑顔になった。

タカ:まだ終わってない・・・。

 タカールが天体の前で呟いた。

 トーマはタカールの言った言葉を聞き逃さなかった。

トーマ:・・・タカール様、終わってないとはどういう意味ですか?

 宮殿に移動しようとしていた全員がその言葉を聞いて出口前で振りるとルーチェの間が真っ暗になった。

サクラ:どうしたの急に真っ暗に・・・。

ニコラ:出口がなくなってる!!!!

セラ:扉も消えてます・・・。

 ギア子達はルーチェの間に閉じ込められるのであった。

つづく
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