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第六章 いでよ!太古の剣!
第十一話 消えた死体
しおりを挟む二人が地面に倒れ込むと周りにいたダマール兵達が霧のように消えて行き、サクラは真っ先にトーマの元へと駆け寄った。
地面に倒れ込んだトーマは肩や足に短剣が突き刺さりかなり出血していた。
一方グレイの方も白い羽が身体中に突き刺さっており全身から血を流し絶命してるかのようにピクリとも動かなかった。
トーマは寝転んだ状態で全く動かないグレイの姿を見て勝利を確信した。
トーマ:サクラさん・・・勝ったよ。
サクラ:どうしてこんな無茶を・・・。
だが、トーマも相当出血しており喋るのもやっとといった感じだった。
トーマ:グレイを倒すにはこれしか方法がなかった・・・んだ。
タカ:この傷は・・・セラでも治すのは無理かもしれない。
メル:とりあえず宮殿にお運びしましょう。
バレンタイン:その必要はない。
血まみれのバレンタインがトーマの体から飛び出すと咳き込みながらトーマの横に寝転んだ。
バレンタイン:サクラ・・・。最後にお前の力になれて・・良かった。ゲホゲホ。
サクラはバレンタインの上半身を抱き上げると涙が止まらなかった。
サクラ:お爺様・・最後だなんて言わないで。
バレンタイン:どのみち・・わしの寿命はあと僅か・・じゃ。トーマ様・・・わしの孫の事を頼みますぞ。
バレンタインが身代わりになったお陰でトーマはかすり傷ひとつなかった。
トーマ:バレンタイン様、この恩義、忘れませぬ。必ずサクラさんを幸せに致します。
トーマはバレンタインの前で誓うとばかりに跪いた。
バレンタイン:その言葉を・・聞いて、安心・・した。フローラ・・・迎えに来てくれた。
バレンタインが空虚を見つめ手を伸ばすと一筋の風が吹きパサリと服だけが地面に落ちた。
タカ:行ってしまわれたか・・・。
地面に落ちた服をサクラが拾い上げるとトーマが優しくサクラを抱きしめた。
アキラ:バレンタイン様のおかげでこの星は救われたな。
さすがのアキラも涙目になっていた。
テル:鬼の目にも涙だな。
晴:こらっ。
こんな時でもおちゃらけてるテルに晴は思っいっきりテルの腕をつねった。
あれっくす:さすがに女性に失礼だよテル。
さすがのあれっくすもテルの肩を強く掴んだ。
テル:ごめんなさい。
そんな中で一人だけ冷静な者がいた。
ルチカ:ごめん、今のみんなの気持ちを考えると水刺すようだけど・・。
ニコラ:・・バレンタイン様が・・えっぐえっぐ。そんな時にルチカよくそんな真顔で話せるな。
ニコラが自分の服の袖で止まらない涙を拭くと呆れた顔でルチカを見た。
メル:ルチカどうした?
ルチカ:死体がない・・。
その言葉に全員がさっきまで流れていた涙がピタッと止まった。
テル:なに?!グレイのやつがいない。
地面を見るとグレイが体を引きずりながらルーチェの間へと歩いていく跡が残っていた。
トーマ:マズイ・・ギア子がまだ回復してないかもしれない。
慌ててトーマを先頭にルーチェの間へと全員走り出すのであった。
つづく
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