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スピンオフ ダンデリオンの花嫁
第四話 縮んだ体
しおりを挟む頼電はグレイの横に座らされたものの居心地が悪く背を丸くして下を向いていた。
グレイ:頼電やっと会えたね。君はお婆さんの壱乃さんの面影があるよ。
頼電:僕のお婆ちゃんを知ってるの?
グレイ:知ってるとも。とても仲良しだったんだよ。今はどうしてるのかは知らないがね。では、ダンデリオン騎士団員の方々は宮殿の敷地から出て行って貰おうか。
アキラ:頼電様を置い行くわけにいかん。
グレイ:そう言うと思ったよ。アキラとニコラとルチカは宮殿の地下にある牢屋へ。人質も必要だからね。
人質のメンバーに入ってないツバキは頼電の代わりに人質になる事を申し出た。
ツバキ:私も人質になる!だから頼電様を解放して欲しい!
グレイ:ツバキ、君は他の隊員を宮殿の外へ誘導する役目だよ。頼電は血の繋がった大事な家族なんだ残って貰うよ。
ツバキがアキラの方を見るとその役目を頼むと言わんばかりに頷いた。
ツバキ:・・・分かった。
グレイ:おっとその前にアキラとニコラとルチカが暴れないように武器も一緒に持って行ってくれ。
アキラとニコラとルチカは渋々身につけてる武器をツバキに渡した。
ツバキ:ご無事で。必ず助けに参ります。
ニコラ:ツバキあたい達の隊員を頼んだよ!
ルチカ:ツバキ・・。
ツバキが武器を持って広間から出ようとすると扉が開きダマール兵がぞろぞろと列を成して入って来た。
ダマール兵はアキラとニコラとルチカのところまで来ると拘束の鎖をそれぞれ装着し始めた。
アキラ達は両手両足を鎖で繋がれ膝を付いた状態で広間の真ん中でグレイと対面する形で横に並ばされていた。
グレイ:では、次に我が花嫁となる者を紹介しよう。
するとサッとダマール兵が入り口の近くにいたサクラの両脇に立った。
サクラ:なんで私?!
グレイが座るテーブルの前にサクラは無理やりダマール兵に連れて来られた。
グレイ:何故自分がここにいるのか分かってないようだね・・・トーマの花嫁になるのが偶然だと思っていたのかい?これは必然なのだよ。
グレイの言葉にサクラ自身はピンと来なかった。
グレイ:エマ様・・・貴方ならサクラの本当の姿が分かるんじゃないですか?
それ聞いたエマは半信半疑で魔法書を開き本来の姿に戻るべき呪文を唱え始めた。
サクラがおどおどしてる間に徐々に天井が高くなり服はぶかぶかになり床に落ちそうになった服を両手で体に巻きつけるようにぎゅっと握り締めた。
サクラ:私の体に一体何が起きてるの・・・。
広間にいた人達はサクラの姿を見て驚いていた。
グレイ:サクラの前に鏡を。
ダマール兵は壁にかけてあった姿見を引き剥がしサクラの前に乱暴に立てかけた。
鏡に写った自分の姿を見ると身長は子供サイズになり、髪の毛の色は栗色になり腰まで伸びていた。
エマ:そのお姿はどこかで見た事あるような・・・。
サクラは自分が今まで地球人だと思っていたが鏡に写った姿を見るとどう見てもそうは見えなかった。
セラ:その尖った耳はエルフですよね・・・体はドワーフ。
アキラ:まさか・・・エルドラ村のバレンタインの娘のフローラか!
アキラはフローラとは何度か会った事がありサクラにその面影を見つけていた。
グレイ:察しが良いねアキラは。そう、私の父の許嫁だったフローラ。サクラはフローラの娘さ。
エマ:確かフローラ様は輿入に宮殿に向かう途中に盗賊に襲われ行方不明だったはず。てっきりお亡くなりになったかと・・・バレンタイン様にお知らせしなければ。
サクラ:そういえば母の名前は花だった・・・。
グレイ:私の母がフローラの事が邪魔で盗賊に襲わせて殺して貰ったんだ。だが、母は死んだフローラの姿を確認しなかったのだろう。可哀想に思った盗賊が地球に逃したようだな。それにしても運命とは皮肉なもんだ。
グレイは広間に響く大きな声で笑い出した。
グレイ:交わらないはずのギア子とサクラの運命が重なり合うとは。そこまでしてダンデリオンの花嫁になりたいのならば私の花嫁になれば良い。
グレイの高笑いを聞きながらサクラは自分の運命を呪うのであった。
つづく
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