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スピンオフ 反撃のダンデリオン
第二十二話 修行の合間の出来事
しおりを挟む荷物整理をした後、あれっくすは宿屋の出口にいるメルと共にお酒が飲めそうなお店へと足を運んでいた。
店内では他の隊員がちらほらと飲んでいたが、メルが店内に入ると談笑していた隊員達が黙り込み、あれっくすは改めてメルの強さを感ていた。
あれっくす:メルさん相当怖がられてるんですね。
メル:ふん。そんな事はない。こっちだ。
メルがカウンターに座るとバーテンダーに酒を頼むとあれっくすは他の隊員達の目を少し気にしながら横に座った。
バーテンダーはお酒を二人の前に置くと気を利かせて離れて座ってるカウンターの客と雑談を始めた。
メル:まずは修行お疲れ様。
あれっくす:ありがとう。
二人はグラスを少し掲げると無言でしばらく酒の味を楽しんでいた。
グラスが空になったタイミングであれっくすが話を切り出した。
あれっくす:メルさん誘ったのはお酒飲む為だけじゃないでしょ。
メル:相変わらず察しが良いな。
あれっくす:修行に入ってから何があったかも聞きたかったし、地球の方は無事なのかも知りたいから助かるけど。
メルは『地球』という言葉を聞いて少し躊躇うかのように視線を落とした。
あれっくす:地球でも何かあったんだね・・・みんな無事だと良いんだけど。
メル:少し話が長くなるが飲みながら聞いてくれ。
メルはあれっくすが修行に入ってから出て来る今日までの事をお酒をちびちび飲みながら話した。
あれっくす:色々あったんですね・・・グレイって方を最初見た時に誰かに似てるなぁ?と思ってたらそういう事だったんですね。
メル:目の色と髪の色が違うだけだからな、私も言われないと分からなかったよ今の今まで・・・。
あれっくす:それと相手の戦力も分からないってのも困りますね。これからどうする予定なんです?
メル:明日会議をするからあれっくすも来ると良い。ツバキから報告もある予定だ。
あれっくす:会議か、聞きに行こうかな・・・晴さんの事を一兄から任されてる身だし。そういえば、テルは本当見違えるような姿になって驚いたよ。
メル:ふっ。テルか・・・あんなに小さくて泣き虫だったのにな。そういえば、あれっくすはアキラの隊に配属らしい。
あれっくす:アキラさんってどんな人なんです?
メル:春嶽は全ての武器を網羅してるジョブマスターだ。ほぼ趣味に近いらしいがな。いつも修行してるイメージだ。シエンをあっという間に倒すくらいだから相当強い。今度稽古して貰うと良い。
あれっくす:あははは、楽しみだなあ。
アキラの話を聞いたあれっくすは乾いた笑いを潤すかのようにグラスに残っていた酒をぐいっと飲み干した。
その頃、晴は荷物整理した後、修行してる間に何があったのか話を聞くべくサクラの部屋に来ていた。
まずはサクラはお茶を入れると今までの事をゆっくりと話し始めた。
話が進むにつれ晴の顔は青ざめていった。
晴:ギア子さんがグレイって人に誘拐されて、日本では石化する人々が蔓延して、それに地球と連絡も取れずに行く事も出来ないなんて・・・。
サクラ:私もそれを聞いた時は愕然としたわ・・・ギア子の事も心配だけど、地球自体がどんな事が起きてるのか想像つかない。
晴:でも、私達が門をくぐった後の話を聞くとサクラさんも大変だったのでは・・・すぐに私達を探しに来てくれたミミとマサさんにも改めてお礼を言わなくちゃ。
サクラ:マサさんは頼電の面倒をずっと見てくれてるわ、ミミはずっと私の世話をしてくれてるし。明日の朝食の時に会えると思うわ。
晴:じゃその時に。それにしても修行が終わっても戦えるのか不安です。明日ニコラさんの隊に配属される予定なんですけど。
サクラ:晴さんが最前線で戦う事はないって言ってたわ。もしもの時に自己防衛出来ればとトーマさんも言ってたし。
晴:そうなら良いんですけど。修行の練習と実践は違いますもんね・・。
サクラ:晴さんが羨ましい。私みたいにずっと部屋で待ってるよりはマシだと思うわ。
晴:サクラさんはトーマさんの花嫁になる方ですから身を危険に晒すわけにいかないです。
サクラ:うん、分かってるんだけど。
晴:それに私がもし最前線で戦うなんて言ったら、あれさんが反対して部屋に閉じ込められそうですけど。
サクラ:ねえ、差し出がましいようだけどさっきメルさんとあれっくすさんが一緒に出かけるのを気にしてたけど何かあったの?
晴がそれを聞いて「実は・・・」と修行に入る前に告白して玉砕した事をサクラに話した。
サクラ:そうだったのね、ごめんなさいそんな事があったとは知らずに。でも晴さんなら若いし素敵な人が見つかるわ。その前に地球に帰れないとだけど・・・。
晴:ありがとうございます。今夜はこれで失礼します。お話を色々とありがとうございました。
晴はサクラの部屋を後にし、自分の部屋に戻ってベッドに潜りこんだものの直ぐに地球に戻れない事に一抹の不安を感じるのであった。
つづく
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