満月に吼える狼

パピコ吉田

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スピンオフ 反撃のダンデリオン

第十九話 アキラの切り札

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 悠然と構えるシエンに二人は技を繰り出した。

ニコラ: 白き牙狼の咆哮!

ルチカ: ダンデリオンの吐息。

 二人の息の合った攻撃は混ざり合い物凄い熱量となりシエンにヒットした。

 地面からは黒い煙が立ち上がり周りから見ていた全員が仕留めたと確信していた。

ニコラ:どんなもんだい!私とルチカのコンビネーション攻撃に勝るもんはないよ!

 棍棒を携えたニコラが勝ち誇ったようにポーズを取った。

 その時だった、緑色に光る風が巻き起こり黒煙が綺麗に吹き飛ぶと無傷のシエンが立っていた。

シエン:サモナーとシャドウって大した事ないですね。その美貌と勇敢さを称賛して至極の苦痛を与えてあげましょう。

 するとシエンの周りに風が巻き起こり手元のダマール剣が白く輝き出した。

シエン:ダマール白霧の風。

 ニコラとルチカはシエンの圧倒的な力を目の当たりにして金縛りにあったように棒立ちになっていた。

メル:二人とも何をしてる!動け!ダンデリオンの加護!!

 メルは二人の前に大きな盾を地面に突き刺しシエンの攻撃を全て跳ね返した。

メル:二人とも目を覚ませ!死にたいのか!

 ニコラとルチカはその言葉で我に返り慌てて構え直した。

シエン:おや?メル様も参戦ですか。三人相手でも構いませんよ私は。

ツバキ:いや、私もだ。

シエン:四対一ですか。悪くない。隠れ里の時の私と同じだと思わないで下さい。

 シエンは笑みを浮かべながらダマール剣を撫でると黒く光り始めた。

メル:黒く光るとは・・本物のダマール剣だったか。
 
シエン:偽物な訳がないでしょう。グレイ様より直々にいただいたのですから。

 シエンを囲んだ四人はダマール剣を見て額に汗を滲ませるのであった。

ニコラ:やるっきゃない。

ツバキ:うむ。

ルチカ:この身を犠牲にしても倒す。

メル:行くぞ!

 メル達が一歩踏み出そうとした時だった。

???:待て。こいつを倒すのは私の役目だよ。

 声をする方を見るとメル達を見下ろすように近くの建物の屋根に女性が立っていた。

ツバキ:はっ!もしかしてその姿は・・・ユウトとノクトの姉のアキラでは。

アキラ:ツバキ、久しぶりだな。試練の里で修行をしてる最中に色々起きてたようだな。隠れ里でトーマ様から話は聞いたよ。ユウトの仇はこの私が討つ!

 そう言うとシエンの前に飛び降り相当力が有り余ってるのか地面に何度も拳を勢いよく叩きつけた。

シエン:ダンデリオン騎士団長のアキラ。かなりのやり手とお見受けしますが誰か来ようと同じ事。良いでしょうお相手します。

アキラ:よっしゃ!!!

 アキラは軽装な格好でファイティングポーズを取ると準備運動するかのようにその場で小刻みにステップを踏み右手でシエンに先に攻撃するように挑発していた。

シエン:では、お言葉に甘えて私から・・ダマールの怒り!ミストスラッシュ!

 一気に片を付ける気なのか高く飛んだシエンがアキラめがけて避け切れるとは思えないほどの数の短剣を飛ばしまくった。

 アキラは避けるでもなく逆にシエンへと小刻みにジャンプしながら全ての短剣を弾き飛ばしながら懐へと飛び込んだ。

アキラ:うおおおおお!トルキエの猛攻!!!

 シエンが予想していたよりもアキラの動きが素早く避け切れないのか、空中で必死に受け身を取るしかないように見えた、

アキラ:これでどうだ!ダンデリオン撃龍波!!!

 シエンに膝蹴りを入れ自分の体重を乗せそのまま地面へと叩き込んだ。

シエン:・・・これがダンデリオン騎士団長の力か・・・。  
 
アキラ:丸腰だと思っていただろうが切り札は最後まで取っとくものなのだよ。
 
 シエンが動けずに地面で仰向けになっているところに背中に隠しておいたグラディウスを力の限りアキラは突き刺した。

 シエンは自分の腹にめり込んでいるグラディウスを見て悶絶していた。

アキラ:私は全ての武器を網羅している。お前如きにやれるわけがないだろう。

 アキラはシエンを見下ろすとグラディウスの柄を足の裏に当てると捩じ込むように更に踏み込んだ。

つづく
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