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スピンオフ 反撃のダンデリオン
第十三話 サツキの猛攻撃
しおりを挟むメルの動きを嗅ぎ取ったサツキはスッと目を細めた。
サツキ:メル、槍をしまって見ててくださる?ふふふ。
メル:・・・。
サツキに行動を読まれたメルは言われた通り槍を背中に戻し盾を床に下ろした。
サツキ:このおじさん頼んだわよ!
サツキの指示を聞いた扉の前にいた石造のダマール兵が動き出しバレンタインの元へやって来た。
すると壇上に上がり横に置いてあった剣でバレンタインの顔の前にこれ見よがしに刃を向けた。
サツキ:ここじゃ狭いから外に出ましょ。広いところで戦った方が楽しいよね?ね、姉さん。
ツバキ:望むところだ。サツキは私に任せてバレンタイン様の事を頼みます。
サツキ:そんなのダメよ。ほらほら、みんな外に出て。村人も一箇所に集めてるからね。言う事を聞かないと村人が炎に巻き込まれちゃうわよ、ふふふ。
タカ:なんて卑劣な。
サツキ:うるさい!タカールお前もついでに殺してやろうか!・・・っと。まだ殺しちゃだめだったんだ。抑えないと・・・ふふふ。
自問自答してるサツキを見てトーマはサツキの精神が崩壊してるようにしか見えなかった。
ダマール兵を先頭に館から出て広場まで来るとサツキが刀を構えた。
サツキ:姉さん決着つけましょ。どっちが強いか。ふふふ。他の奴らは手出しすんじゃないよ!
ツバキ:良いだろう。姉妹で戦う日が来るとはな。グレイを愛したが為に妹がこんな事になるとは。
サツキ:グレイ様は私を愛してくれてるのよ?本当の私を・・・ふふふ。グレイ様の悪口言ったら許さないよ!!
キレたサツキは背中にあるもう一つの刀を取ると、ツバキも同じように刀を取り同じように構えた。
ツバキ:メル、もしも私に何かあればトーマ様とタカール様を頼む。そして妹の事も・・・。
メル:分かった。その時はサツキをお前の元へと送ってやろう、約束する。
サツキ:いつもいつも皆そうやって私を見下して!いい加減うんざり!でも・・・・グレイ様は私の心を分かってくださってる・・・だから大丈夫・・ふふふ。
独り言をぶつぶつ言う妹を見てツバキは覚悟を決めたかのように一つ深呼吸をした。
ツバキ:かかってこい。
ツバキの余裕な言葉にカッとしたサツキが砂埃を上げながら突進して来た。
サツキ:三日月烈風!!
サツキの猛攻撃にツバキは押され始め徐々に後退し始めた。
サツキ:あはははははは。これでどうよ!
サツキは有利な態勢となると更に手数を増やし技を繰り出しまくっていた。
タカ:ツバキはだいぶ押されてるな・・・。
トーマ:私にはツバキは力を温存してるように見えます。
メル:実の妹ですから少し手加減してるかもしれません。
サツキ:姉さんいつまで防御してられるかしら?・・・ふふふ、これでどうだ!!下弦の猛攻!!
サツキは姉のツバキに渾身の一撃を打ち込んだ。
サツキの一撃をツバキは既(すんで)の所で避けたかと思うと一気に刀を振り始め花の嵐を巻き起こし始めた。
ツバキ:・・・雪月下花嵐。
形勢逆転とばかりにツバキが華麗に舞を踊るようにサツキへと幾重も刀を振り続けた。
サツキ:ひいいい。
サツキはツバキの圧倒的な剣圧に避けきれずに体中を切り刻まれ最後には立っている事も出来ずに動きが止まってしまった。
サツキ:いつのまにその技を・・・。ちくしょう!まだ死ねない・・・グレイ様の為にも・・・。
サツキは刀を地面に突き刺し立とうとしたが体が言う事を聞かないのか前のめりに倒れた。
ツバキ:今ならまだ戻れる。サツキ、考え直すんだ。
サツキ:今更・・,ダンデリオン一族の方につくわけないでしょ。私にはグレイ様のところしか帰るとこがないのよ・・ふふふ。
そしてサツキは最後の力を振り絞り立ち上がった。
サツキ:これで終わりだ!!!!ああああ!!!
サツキはなりふり構わず両手に持った刀で喚きながら攻撃して来た。
ツバキ:妹よ・・・安らかに。満月花吹雪。
ツバキは満月のように円を描きながら力強く刀を振るうと、その勢いで斬撃を受けたサツキの体は宙に浮くと勢いよく地面へと突き落とされた。
サツキ:ぐあぁ・・・姉さん・・・まだ・・・私は戦え・・る。
かなりの致命傷を受けたサツキだったが地面を這いつくばりながら諦めきれないのか最後の力を振り絞って刀に腕を伸ばしていた。
サツキ:ま、まだ死ねない・・グレイ様。
言葉が途切れるとサツキはガクリと体の力が抜け人形のように動かなくなってしまった。
ツバキは静かに刀を鞘に収めるとサツキの亡骸に背を向けるのであった。
つづく
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