満月に吼える狼

パピコ吉田

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スピンオフ 反撃のダンデリオン

第五話 苛立ちのトーマ

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 トーマ達が各地へと部隊を派遣している頃、ダンデリオン宮殿の広間に兵士が一人の女性を連れて来た。

兵士:この者がグレイ様にご報告があると。

 グレイが女性の姿を見ると人払いするように右手を軽く払った。

グレイ:少し二人きりにして貰えないか。

兵士:はっ!

 兵士達が広間から出て行くと女性は頬を赤らめながらグレイへと近寄った。

???:グレイ様、会いたかったです・・・。

 それに呼応するようにグレイが女性を抱き寄せ耳元で囁いた。

グレイ:私もだ。それで良い知らせは持ってきたか?

???:町や村を解放する為に部隊が散らばりました。それと地球人とテルは試練の里に入るようです。

グレイ:二ヶ月後にに出て来るって事か・・・護衛はいるのか?

???:メル様が護衛するようです。

グレイ:メルか・・・懐かしいな。ちょっと挨拶に行くか。

???:ふふふ。きっとメル様もお喜びになりますわ。では私は任務に戻ります。

 女性はグレイの唇に軽くキスすると宮殿から姿を消すのであった。

 メルは晴とあれっくすとテルを試練の里へ送り届けトーマ達がいる宿屋に報告にやって来ていた。

メル:ヴァルキリー特攻隊長メル、只今戻りました。
 
トーマ:メルお疲れ様。

タカ:うむ。ご苦労であった。

メル:一つご報告が。里に行く途中ですがグレイに遭遇をしたのですが、グレイにも白い翼がありました。

トーマ:その事については先日タカール様から話を聞いて知っている。

 メルは詳細を知らないようなのでタカールが簡単に説明するのであった。

メル:そうでしたか。昔から異彩を放ってましたから何かあるとは思ってましたが・・・まさか王位継承者とは。

タカ:だが、グレイの父は王位継承権を退いた身だ。王位継承はトーマにある。

トーマ:もし、グレイに王位継承者があるとしてもこの状況では譲る訳にはいかない。

タカ:ダマールのやり方は昔から強引過ぎる。それに王位への執着が凄い。もしグレイが王になったらこの星だけではなく他の星にも影響が及ぶだろう。

メル:それは阻止せねば・・・。

トーマ:うむ。疲れているだろう。里にあるキャンプ地で休んでくれ。
 
メル:分かりました。また何かありましたらいつでもお呼び下さい。
 
 メルは報告を済ませると宿屋を出て行くのであった。

 それから数日後、ポリノド村まで解放したとユウトとノクトから連絡が入った。

セラ:徐々にダンデリオン騎士団がダマール兵を排除出来てるようね。二人の活躍は凄いです。
 
トーマ:うむ。とても心強いな。ただ、このままダマール兵を排除し続けれられれば良いのだが・・。
 
セラ:いつかはここにもダマール兵が来ると?
 
トーマ:その可能性は捨てきれん。
 
ダイナム:もし来たとしても、なかなかバリアを破るのは至難の業だとは思いますが。

タカ:その時、私に何かあった場合は頼電がルーチェの天体や門を操作出来るようにエマとダイナムに教育して貰わねば。

ダイナム:その役目を頼電様に背負わせるのはまだ荷が重いかと・・・。

トーマ:もしもの場合だ、案ずるなダイナム。

 そこへ会議室にいるトーマ達の元にエマが現れた。

エマ:会議中に失礼致します。またビーナスから連絡が御座いました。

セラ:地球からですか。

エマ:ええ。あの後ですが、壱乃様本人と確認出来たそうです。
 
タカ:壱乃・・グレイと何をする気なんだ。
 
エマ:それとグレイ様と壱乃様が現れた会場にマラダラの粉が撒かれ石化する地球人が続出とも。

タカ:地球人にあの粉を使うとは・・・スライドが越褌の一件をグレイに知らせたのか・・。

セラ:私達は抗体がありますから石化しませんが地球人が吸ったら。

トーマ:ギア子達が心配だが今は地球には行けない・・・くっそ!

 トーマはどうにも出来ない自分に苛立ちを隠せないでいた。

つづく
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