満月に吼える狼

パピコ吉田

文字の大きさ
上 下
114 / 182
スピンオフ 反撃のダンデリオン

第四話 不安なサクラ

しおりを挟む

 各部隊が出て行くとダイナムが小走りでトーマとタカールの元へとやって来た。

ダイナム:至急宿にお戻り下さい。ビーナスから連絡が入ったようです。

トーマ:分かった。

 宿に戻ると一階のロビーにエマが待っていた。

タカ:エマもう起きて大丈夫なのか。

エマ:はい。少しは体を動かさないと鈍ってしまいます。先ほどビーナスから連絡が入りグレイが地球に来ていると。

トーマ:ルーチェの門を使う為に宮殿を制圧したってわけか。これでグレイがルーチェの証を持ってる可能性が出て来たってわけか・・。

タカ:だが何の用があって地球に。

エマ:わかりません・・・それと後、少し気になる事が。

 階下が騒がしいのが気になりサクラが部屋から出て階段を降りて来ていた。

サクラ:すみません、地球って聞こえた気がしたのですが何かあったんですか?

エマ:サクラ様・・・・。
 
 エマはこのまま地球の話をして良いものかトーマに目配せをした。
 
トーマ:構わない。サクラさんも聞きたいだろうし。
 
サクラ:はい。地球の事でしたら一緒に聞かせて下さい。

 エマは戸惑いながらもビーナスから聞いた話を話をするのであった。


 グレイが地球に現れた事はトーマ達はさほど驚きはしなかったが、それよりもギア子の母親がグレイと一緒にいる話を聞き耳を疑っていた。

タカ:壱乃は生きていたのか・・・。

エマ:壱乃様とハッキリ確認した訳ではないらしく、また分かり次第ビーナスから連絡が来ると思います。

サクラ:こんな時にギア子の側にいられないなんて・・・。私はここに残るべきじゃなかったのかしら。

トーマ:メガ男くんがついてるからきっと大丈夫だよ。それにサクラさんがいる事で頼電も心強いと思う。
 
サクラ:それじゃ私は頼電の様子を見て来ます。失礼します。
 
 サクラは自分がいると周りの人が気を使うと分かると、二階にいる頼電の様子を見に階段を登って行った。
 
 サクラがいなくなるのを見計らい地球での話の続きを再開したトーマだった。
 
トーマ:・・地球で問題が起きると対応がしきれんな。

ダイナム:ですがグレイ様は地球へ何しに・・・まったく行動が読めません。

トーマ:という事はこっちの星にはグレイがいないのか・・・。

エマ:そうなります。

タカ:かといって、他の街や村を放置で宮殿に行っても囲まれるだけだ。

トーマ:くっ・・・。

ダイナム:まだこの戦いは始まったばかりです。焦らないで行きましょう。

タカ:そうだな。あまり根を詰めると良くない。少しはサクラさんとゆっくり休むと良い。

トーマ:分かりました。

 トーマは二階を見上げサクラが待つ部屋へと向かうのであった。

 数日後、晴とあれっくすと合流したメルから連絡が入った。

セラ:メル様から連絡が来ました。このままこちらに合流するより晴さんとあれっくすさんと村長の孫を試練の里に入れてはどうかと言ってきてます。

トーマ:晴さんとあれっくすさんは修行に耐えれるのか・・。それと村長の孫は何という名なのだ?
 
セラ:テルと言っていました。

タカ:そういえば、テルの父はサイズの使い手だったな。ダイナムの父とは同じ任務につく事が多かったと聞くが。

ダイナム:はい。最後の任務も一緒だったと父から聞きました。

タカ:・・・二人が亡き今、その息子達がこんな運命を辿るとは思ってなかっただろう。

ダイナム:・・・そうですね。

 トーマはタカールとダイナムの言葉に少し引っかかったが、今は晴とあれっくすとテルを優先すべきと考えていた。

トーマ:テルが来る事によりここが集中的に狙われるかもしれない。ハッシュタルトを制圧するまで試練の里に入っていて貰うのもありかもな。

タカ:そうだな。ここはバリアは貼ってあるが集中的に来れられると破られる可能性がある。

セラ:メル様に本人達の確認の旨という事で連絡しておきます。

 トーマは他の部隊の状況も確認するようにとセラに頼むのであった。

つづく
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

処理中です...