満月に吼える狼

パピコ吉田

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第五章 衝撃!母との再会

第十話 電波ジャック

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 ギア子が故郷に戻っている頃、メガ男達は一先ず越褌の家で待機する事していた。

 意気消沈するメガ男をメガ子が懸命に慰めていた。
 
メガ子:きっとギア子は見つかるわ。エマ様にも連絡済みよ☆
 
メガ男:ありがとうメガ子、助かるよ。

朱美:あれから周辺のカメラをチェックしたのですが行方が分からずです。

ぺん:警視総監と繋がってるくらいだし何か他の力も動いてそうだすね!

 その時に瑳呂紋が部屋に戻ってきた。

越褌:沙來ちゃんの具合はどうだい?

瑳呂紋:とりあえず病院に連れて行くように善志と梳に頼みました。
 
越褌:そうかい。じゃとりあえず飯にでもするかい?
 
ぺん:んじゃ、わだすが腕によりかけて焼きそば作るだす。

 ぺんちゃんが腕捲りをしてキッチンに向かおうとした時だった、朱美の端末から着信が鳴り出した。
 
朱美:はい、朱美です。はい、はい。え?! 分かりました。

 電話に出ると慌てた様子でテーブルの上に置いてあったテレビのリモコンを掴んで電源をつけた。
 
ぺん:何かあっただすか?

朱美:どうやら電波ジャックされた模様で、どの局も同じ映像が映ってると澄玲先輩から連絡が来ました。

 テレビ画面にはグレイが椅子に座ってくつろいでる様子が映し出されていた。
 
越褌:おいおい、今度は何が始まるんだ。
 
 グレイは画面越しにこれから重大発表があると言うと自己紹介を始めた。

グレイ:日本の国民の皆様、御機嫌よう。私はダマール・クリエーションのグレイと申します。

 グレイは画面の中で悠々と喋り出した。

グレイ:ここからは首相へのメッセージとなります。私が質問しますのでイエスかノーでお答え下さい。

 グレイは手元の端末から誰かに電話をかけ始めたが、なかなか応答がないようだった。

グレイ:早目に電話に出る事をお勧めします。そうしないと・・・分かりますよね?

 長い着信音の後に秘書が出たようだがすぐさま首相らしき男性の声に変わった。

首相:もしもし?電波ジャックして君は何がしたいんだね?いたずらも大概にしたまえ。

 すると電話の音声も一緒にテレビ画面から流れ始めた。

グレイ:単刀直入に言います。私に首相の座を明け渡して貰いたい。

 グレイは画面に向かって嘲笑うように口の端をいやらしく上げて問いかけた。

首相:そんな事出来るわけないだろう。答えはノーだ!

グレイ:本当に良いんですね?
 
首相:当たり前だ。こんな事をしてタダで済むと思ってるのか。
 
 首相はイタズラか何かと思ったのか、その後には何も言わずに電話は途切れてしまった。

 その頃、対策本部を立ち上げた一兄達は澄玲と一部始終をテレビで見ていた。

一兄:まずい。またあの粉を撒かれたら・・・。

澄玲:ですが、まだそんなにあるのでしょうか?
 
一兄:分からないが念の為に外出禁止令は出すべきだ。
 
澄玲:わ、分かりました。
 
一兄:こいつ、何をやる気なんだ。

 画面越しのグレイは少し考え込んだような勿体ない素振りをしたかと思うとカメラ目線に戻った。

グレイ:首相の答えはノーという事なので国民の皆様には申し訳ないですが責任を負って貰うしかなさそうです。

 それを聞いた一兄と澄玲はすぐさま各所に屋外には出ずに室内に避難するように指示を出した。

 一方テレビ画面のグレイはニヤリと笑い両手を顎に置いた。

 すると画面は都心部の街中の映像に切り替わり、空からキラキラと粉が舞い散る様子が映っていた。

 人々は初めて見る光景に感動したかのように立ち止まってその様子を見ていた。

 だが数分後には体が動かなくなりすぐさま次々と画面に映っていた人々は石化していった。

兄:くっそ!間に合わなかった!首相が次に狙われるかもしれん。首相官邸に行くぞ。

澄玲:はい!すぐ車を回します。

 一兄達は次は首相が狙われると踏んで、澄玲が用意した車に乗り込むのであった。

 そして越褌の家でテレビを見ていたメガ子が硬い表情で身支度を始めた。

メガ男:メガ子どこに行く気なんだ。

メガ子:私行かなくちゃ!きっとこの為に地球に来たんだと思う。瑳呂紋!首相って人がいるところへ連れてって☆

瑳呂紋:分かった。ぺんちゃんは大家さんと待っててくれないか。

ぺん:分かっただす。

メガ男:俺はメガ子と一緒に行くよ。

メガ子:ありがとう心強いわ☆

越褌:みんな気をつけてな。ぺんちゃんと待ってるぞ。

瑳呂紋:大家さんありがとう。
 
朱美:私も行きます。

 瑳呂紋が運転するバンにメガ男達は乗り込むと首相官邸まで車を走らせた。

 到着した頃には首相官邸前にはかなりの野次馬が来ていて中の様子は見る事も出来なかった。

 そこへ一兄が乗った公用車が入って行くのを見て朱美はすかさず澄玲に連絡を取るのであった。

つづく
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