満月に吼える狼

パピコ吉田

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スピンオフ 騎士団への道

第十七話 急成長

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 晴は失礼な事を言ってしまったと気がつき「すみません」とドルアに謝った。

ドルア:もう良い。とりあえず、私の子供達からお前が共にするパートナーを選ぶんだ。
 
 ドルアは気にしてないようで子供達に前に出るように足で合図をした。

 すると後ろからひょこひょこと小さくて可愛い白狼が三匹あらわれた。

 左側の子供はおとなしそうにちょこんと座り、真ん中の子供は眠いのか下を向いてうとうとしていた、右側の子供は尻尾を振って晴の事を見ていた。

晴:三匹とも可愛い・・えっと、どの子にしようかな。ん~、一番右の子にします。

ドルア:分かった。修行に入る前に子供に名前を付けよ。
 
 晴が選んだ白狼の子供の目は銀河のように渦を巻いてキラキラしてるように見えた。

晴:瞳がまるで銀河のようにキラキラしてる・・、この子の名前は銀河にします。

ドルア:銀河がこれからはお前のパートナーとなる。呼んでみよ。
 
晴:銀河おいで。

 銀河は呼ばれると晴の足元に駆け寄りじゃれてきた。

ドルア:二年間の修行が終わる頃には私くらいの大きさになる。もしも二年経っても大きくならない場合は再度パートナーを選び直し修行に入る事になる。分かったな?

晴:分かりました。必ず二年で終わらせて見せます‼︎ 銀河、一緒に頑張ろうね。

 晴は銀河と共に修行を耐え抜く事を心に誓ったのであった。
 
 そして二年の月日が流れ晴は何とか及第点を貰い試練の里を出る日がやって来た。

ドルア:晴よ、この二年間よく頑張った。これで修行は終わりだ。

晴:色々ありがとうございました。

 隣を見ると最初は子供だった銀河も大きくなり逞しい姿になっていた。

ドルア:この先にある水晶に触れば出れる。外界で活躍する事を願う。

晴:はい。大変お世話になりました。行こう銀河。

 晴はドルアに別れを告げ細い道の先にある水晶の前までやって来た。
 
 水晶に手を置く前に晴はふと思った。

  「修行は終わったけど外に出たらダマール兵しかいない世界だったらどうしよう・・・。」

 不安そうな顔をしている晴を見た銀河は「僕がいるから大丈夫」と言わんばかりに晴の手をペロペロ舐めて来た。

晴:心配してくれてありがとう銀河。ずっとここで考えても仕方ないよね。行くっきゃない。えい‼︎

 晴は水晶を触ると最初の場所に戻って来た。

あれっくす:晴さんおかえり。無事に終わったんだね。

 目の前には修行を終えたあれっくすと迎えに来ていたロンジがいた。
 
晴:ただいま。良かったあれさんとロンジさんがいて。外に出たらダマール兵しかいない世界だったらどうしようかと思ってた。
 
あれっくす:僕もそれは思ったよ。でも出て来たらロンジさんがいて安心したよ。

晴:あれさんも無事に修行終わったんですね。お疲れ様でした。それで・・情勢はどうなんですか?

ロンジ:あれからダンデリオン騎士団を徐々に集結させハッシュタルト城下町まで奪還した。後は宮殿を取り返すまでだ。

 晴はそれを聞いてホッとしていた。

晴:それなら良かったです。そういえばテルはまだなの?

 すると水晶の前に壮観な青年が現れた。

 ぱっと見、晴は誰か分からず他にも修行をしに来ていた人だと思っていた。

テル:どうしたみんな驚いた顔して。元気だったか?
 
晴:え? テルなの?

ロンジ:お前テルか。見違えたなこりゃ。

あれっくす:テルもお疲れ様。かなり身長伸びたんじゃない?

テル:この二年間で三十センチも伸びちゃった。これであれっくすとほぼ同じだ。

 テルはあれっくすの横に並ぶとほぼ同じくらいの身長まで伸びていた。

晴:き、急にでかくなりすぎ‼︎ 一瞬誰か分からなかった。

テル:ふっ。俺に惚れんなよ。

晴:はあぁ? 何言ってんの‼︎ 

 テルにそう言われてちょっとドキッとした晴だった。

ロンジ:そろそろ馬車のとこまで行くど。
 
テル:また、あの気味の悪い修道院を通るんかよ。
 
ロンジ:嫌なら置いて行くど。
 
あれっくす:ははは。ここでは二ヶ月しか経ってないのかもしれないけど、二年間修行したせいか何だか懐かしいなあ。
 
晴:ホント。なんか浦島太郎みたい。
 
ロンジ:誰だそれ。馬車のとこにはメルとミミとマサも来とる。待たせるわけにいかねえ。さっさと行くど。

テル:はーい。
 
 テルは身長は伸びたものの中身は変わってない事に晴はちょっと安心していた。
 
 そして二ヶ月前に来た道を戻る晴達だった。
 
 馬車の前に来るとメルとミミとマサが出迎えてくれた。

メル:二年間の修行ご苦労であった。だが、ここからが本番だ。お前たちにはダンデリオン騎士団と合流して貰う。テルが戦えるようになったからと言って最前線に出す訳にはいかないがな。

テル:なんでだよ!

メル:三人はあくまでも自衛の為に修行に入ったのだ。そこはちゃんと理解してくれ。

晴:分かりました。

あれっくす:騎士団のところに行くなんてちょっとドキドキだけどね。

テル:そんな事言われてもグレイが現れたら俺は戦う。じーちゃんと母さんの為に。それに父さんの汚名を濯ぐまで。

メル:あまり突っ走るなよ。お前はルーチェの証を持つ者なのだから。

 そう言いながらテルの成長をメルは感じ取っていた。

ロンジ:よし、みんな乗れ。ハッシュタルトまで一気に行くど。
 
 晴達は馬車に乗ると引き締まった気持ちでトーマ達と合流す為にハッシュタルトを目指すのであった。
 
おわり
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