満月に吼える狼

パピコ吉田

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スピンオフ 騎士団への道

第十五話 三人の王

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 マントラの森に到着するとさすがにダマール兵の姿はなく平和そのものだった。
 
 ロンジの案内で先に修道院に行く前に守り神へ挨拶しに行く事になった。

守り神:お前がルーチェの証を託されし者か。よくぞ来た。

テル:守り神を見るのは初めてだぜえよろしくなじーさん。
 
守り神:じ、じーさんじゃとぉぉおおお。

 守り神はテルの無礼な言葉に手足となる枝を暴れさせた。

メル:守り神よ、テルの非礼は私が謝る。まだ子供なのだ許してやってくれ。

守り神:口の聞き方を直さぬと早死にするぞおおお。
 
 守り神はテルを脅すかのように枝を鋏のようにチョキチョキと動かした。

テル:やっべえ‼︎ 切られるうう。

 テルはさすがにやばいと思ったのか晴の背中に隠れるのであった。

晴:まったくもう。隠れるくらいならちゃんと挨拶すれば良いのに。初めまして晴です。ここはとても安らげます。守り神様がいるおかげなのですね。

守り神:ふむ。お前も数奇な運命を辿ってるようだな。

晴:わ、分かるんですか⁈

守り神:伊達に長生きはしとらんからの。バレンシア、ダマール、ダンデリオンの三人の王がいる時から生きとるからな。

 自慢気に語り出す守り神であった。

あれっくす:三人の王とは?
 
メル:この星の初代の王の話だろう。今は伝説となってるがな。私が聞いた話ではこうだ。

 その昔、三人の王がこの星を納めていた。
 
 三人の王が残りの寿命が短くなった頃、誰が王位を継ぐのかという話になった。
 
 最終的には王位継承権は優しきバレンシアの息子タカールになった。
 
 バレンシアの息子タカールは無欲な為に王位は他の二人に譲ると言った。

 ダマールには子供はおらず、妹のアレオに息子プラガがいた。
 
 そしてアレオの息子プラガもまた王位に興味がなく、結局はダンデリオンの娘のトルキエが跡を継ぐ事になった。

 だが、アレオは違った。
 
 自分の息子をどうにか王位につかせたいと色々と画策したが息子が継ぐ気がない事を知ると、タカールとトルキエを殺そうと魔女の力を借りた。

守り神:その魔女を倒す為にわしらが神器を三つ作ったのだ。
 
ミミ:それがトルキエの弓、ダンデリオンの杖、ダマールの短剣でございます。

守り神:うむ。

テル:へえ。俺達が知ってる話と全然違うなあ。
 
晴:なんかおとぎ話みたいで聞いてて面白いね。
 
メル:私もそこまでは知らなかったな。

あれっくす:話に出てくるタカール様が同じ人物ならタカール様は一体何才なんだろう?

晴:た、確かに‼︎

メル:タカール様の事は初耳だった。もし言い伝えが本当ならば何百年と生きてる事になる。

テル:って事は俺のじーちゃんは何故この証を持ってたんだろうなあ・・。

 テルは首にぶら下げている証を握りしめていた。

ロンジ:村長なき今はタカール様に聞くしかねえな。そろそろ時間だ。移動するぞ。
 
守り神:もう行くのか。
 
メル:すみません急いでますので。これにて失礼致します。
 
テル:修行が終わったらまた来てやんよ‼︎
 
守り神:待ってるぞおお。

 守り神達に見送られながら修道院に向かう一行だった。

 少し歩くと修道院に着いたが薄暗く不気味な雰囲気を醸し出していた。

テル:なんだよこの薄暗い場所は。気味が悪いぜ・・。
 
晴:なんかお化けが出そう。
 
あれっくす:試練の里はここを通らないとダメなんですか?
 
メル:この辺りは山脈に囲まれていて試練の里に行くにはこの修道院を抜けるしかない。
 
テル:まあ、通るだけなら大丈夫じゃねえの?
 
ロンジ:わしの後ろをちゃんとついてくれば大丈夫だ。はぐれるなよ。
 
メル:では、私が最後尾につこう。ミミ、先回りして何もないか見ておいてくれ。
 
ミミ:かしこまりました。

 暗い修道院の中を松明を持つロンジの後ろを恐る恐るついて行く晴達であった。

つづく
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