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スピンオフ 騎士団への道
第二話 トルマールのテル
しおりを挟む晴とあれっくすは朝食を終えるとダブリンに馬の捕まえ方のレクチャーを受けていた。
タブリン:では、こちらが馬の好物のポックルムックと縄と手綱と鞍です。やり方は先程教えた通りですので頑張ってみて下さい。
タブリンに言われた通りに町から出て左手の道へ進むと地球とは違ってカラフルな鳥などが飛び交い、花や木はそれぞれ変わった形で晴は景色を堪能していた。
晴:先週まで釣りばかりしてたから気がつかなかったけど、こう見ると景色が良くてこの星も悪くないですね。
あれっくす:本当だね。昨日まではどうなるかと思ったけど少しはこれで気が晴れるね。
二人はのんびりと歩きながら小川の近くまで来ると水を飲みに来てる馬が数頭見えた。
晴:教わった通りに出来るかな・・・。
あれ:とりあえず、やってみよ‼︎
晴が水の中にポックルムックを放つと馬が夢中で食らいつき、あれっくすが輪っかに作った縄を首に投げ込むと上手く命中した。
だが、馬を引き寄せるのに上手くいかず、暴れる馬の力強さに負け縄ごと馬は逃げて行ってしまった。
晴:惜しい‼︎ それにしても馬の力って凄い。
あれっくす:あのまま縄を離さずにいたら危なかったね。あと二匹いるから試してみよ。
晴:せめて一匹は捕まえないとね。
だが、馬の扱いに慣れていない晴とあれっくすは暴れまくる馬に手こずり二匹とも逃してしまうのだった。
そこへ後ろから大きな笑い声が聞こえてきた。
???:お前達下手すぎ‼︎ ぎゃはははは。
振り返ると小学生くらいの身長の男の子が腹を抱え木の上から晴達を嘲笑っていた。
晴:ちょっと‼︎ 人の失敗を笑うんじゃないわよ。
???:だって、縄かけた後はへっぴり腰だし思い出すだけで、はははははは。
あれっくす:君はきっと上手に捕まえる事が出来るんだね。良かったらお手本を見せてくれない?
???:しょうがねえなあ、俺が捕まえるからよく見とけよ‼︎
男の子は木の幹からジャンプすると再び水辺に集まって来た馬のとこへ行き慣れた手つきで縄で引き寄せサッと馬の背中へ乗ったのであった。
あれっすく:おおおお。凄いね。
???:当たり前だろ。教えてやったんだしお礼して貰わないとな。
晴:なんか上から目線でむかつくんですけど。
???そこのブス!トルマールに来る機会があったら何か持って来いよ。俺はテルって名前だから覚えとけ!じゃあな!
晴:ちょっと僕ちゃん、その馬を私たちにくれるんじゃないの?
テル:自分の分は自分で捕まえろよ!それに俺は僕ちゃんじゃねえ!これでも十六歳だ‼︎
晴: ええええ?
あれっくす:ま、まじか。
どこからどう見ても小学生の男の子にしか見えなかったのでテルの言葉を聞いて二人は驚いた。
テル:ったく驚きすぎだろ。
晴:悪かったわごめんなさい。でもそうだとしてもブスは余計よ。アリュバス星にブスって言葉があるのがびっくりだわ。
晴の言葉にテルはフンっと横を向くと無言でそのまま馬に乗ったまま走り去ってしまった。
テルがいなくなった後に晴達はなんとか馬を捕まえる事は出来たものの、そのころには日が暮れ始めていた。
ヘトヘトになりながら馬を引きながら歩いていた二人だったが家に向かう道すがら妙に物々しい雰囲気の兵士をあちらこちらで見かけるのであった。
晴:ただいま戻りました・・・。
家に着くとタブリンも丁度帰宅したところのようで荷台の商売道具を整理しているところだった。
タブリン:おかえりなさい。そのご様子だとお疲れでしょう。今からご飯の支度しますから入って休んでてください。
あれっくす:料理なら私も出来ますし、泊まらせて頂いてるお礼にお手伝いしますよ。あ、晴さんは休んでて。
晴も手伝いたいのは山々だったが料理はした事もなく、馬を追いかけるのに相当体力を消耗してしまったので今はベッドで休みたい一心だった。
晴:ごめんなさい。さすがに動けなさそう。暖炉の前で少し休ませて貰います。
タブリン:どうぞどうぞ。今温かい飲み物も用意しますね。
晴:ありがとうございます。
あれっくす:そういえば、ここに戻ってくる時に物々しい雰囲気だったけど何かあったんですか?
タブリン:その事なんですが・・・。あ、その前にお知らせする事が。使い鳥からの返事がまだ来てないんです。それに・・・宮殿はダマール一族が掌握したと噂が立ち始めています。
あれっくす:ダマール一族って?
タブリン:ダマール一族は、ここ最近では王位を狙っているとの噂で持ちきりだったんです。
晴:だとしたらトーマさん達は無事ななのかな・・・サクラさんや頼電くんも・・。
タブリンの話を聞いて愕然とする二人であった。
つづく
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