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第四章 いざ!第二の故郷へ
第四話 気持ちの整理
しおりを挟むトーマ:サクラさん部屋に戻る前にちょっと良いかな。
呼び止められたサクラは少し体をこわばらせてるように見えた。
サクラ:な、なんでしょう。
サクラはぎごちない返事をすると意図的に庭園の方を視線を変えた。
するとトーマも合わせて庭園の方を見つめると話の続きを始めた。
トーマ:サクラさん、私からこんな事言えた義理ではないのは重々承知です。でも、もし良かったら明日。
サクラ:ごめんなさい、今日は疲れたのでもう寝ます。おやすみなさい。
トーマの言葉を遮りお辞儀をするとサクラは足早に部屋へと戻って行ってしまった。
回廊を小走りするサクラを見ていたトーマは大きなため息をつくと庭園を眺めるしかなかった。
翌日の朝、疲れていたせいかメガ男とギア子は起きるのが遅くなってしまった。
ギア:メガたんもうこんな時間だよ。起きて!
メガ:うぉ。こんなにゆっくり寝たのいつぶりかな。おはようギア子。
メガ男はそう言ってギア子の頬にキスをした。
その瞬間にベッドの前にミミが現れ「朝食の準備が出来ております。食堂に起こし下さい。」と言うと忍者のようにスッといなくなった。
一瞬の事で二人は何が起きたのか分からなかった。
ギア:今・・誰かいなかった?
メガ:さ、さあ?
なんだかバツが悪くなった二人はそそくさと着替えて頼電を連れて食堂へと移動した。
食堂に入ると大きなテーブルが一つのみで、部屋の内装はこじんまりとしていて落ち着いた雰囲気だった。
ミミ:お待ちしておりました。こちらが朝食となります。頼電様は食事の間に私が面倒見ておりますのでごゆっくり。
地球の食事に合わせてトーストやサラダや目玉焼きなどシンプルな朝食が並んでいた。
メガ:ありがとう。いただきます。
ギア:ミミさん他の方達は?
ギア子達は起きてくるのが遅かった為か他の人の姿が見えなかった。
ミミ:他の方々は宮殿内を散策してるようです。サクラ様だけは自室でゆっくりすると言ってました。
ギア子はサクラが心配になり食べ終わったら様子を見に行こうと思ったのであった。
食後にメガ男は頼電と一緒に中庭に行く事になり、ギア子はサクラの部屋へと向かっていた。
「サクラ入るわよ」コンコンと叩いてドアを開けるとサクラは窓際のカウチで佇んでいた。
サクラ:ギア子どうしたの?
ギア子が現れた事で驚いたサクラは立ち上がった。
ギア:サクラが心配で来たのよ。何かあるなら相談に乗るわよ。
ギア子はサクラの側に来ると窓際のカウチに腰掛けた。
サクラは座り直すと一呼吸をしてからギア子に話し出した。
サクラ:ありがとう。実はあなたのお兄さんの事なの。
ギア:知ってるわ。兄さんはサクラの事が本当に好きみたい。恋愛対象としてよ?
サクラ:分かってる。でも、どうしてもあの日のトーマさんを思い出してしまうの。でも、きっと私が逆の立場だったら同じ事したと思うの。
ギア:気持ちは分かるわ。全ては誤解だった訳だし、兄さん達もお詫びも兼ねてこの星にみんなを呼んだのよ?
サクラ:そうよね。もうあの日のトーマさんじゃないのよね。
ギア:そうよ。始めてサクラに会った時の兄さんの気持ちは私とは関係ないって言ってたもの。
サクラ:それも分かってるつもり。でも、まだ気持ちの整理がつかないの。ギア子、私はどうすれば良いの?
サクラはギア子の方を向くと涙を浮かべながら唇を震わせていた。
ギア:今すぐ答えを急ぐ必要はないわ。兄さんもきっと待ってくれるはずよ。まだこの星に来たばかりだしだし一先ず楽しみましょ?
サクラ:うん、ありがとうギア子。
ギア子は安心させるように優しくサクラの手を握るのであった。
つづく
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