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第三章 現る!過去の亡霊
第七話 王のブレスレット
しおりを挟む跪くトーマ達を見てギア子達は何が何だかちんぷんかんぷんだった。
タカ:頭を上げよ。私も記憶がなくなっていたから致し方ない。
セラ:でも何故記憶が。それにどうして地球に。
タカ:何故なのかそれはお前達の父、ヴェルフ王が王妃を亡くしたところから話せばなるまい。
トーマ:私達の父に関係が?
タカ:うむ。
ぺん:その話はわだす達にも関係あるんすか?
メガ:その前にちょっと待って。ここから出れなくなってる。
メガ男は扉を開くとそこは漆黒の闇だった。
タカ:今はここはどこでもない時間も関係ない空間になっている。
ギア:それで私の父親の話って何?
タカ:これから皆に説明するから聞いてほしい。
ぺん:しょうがない、聞いてやるだす。
ここは大人しく話を聞くしかないとギア子達はその場に座り込んだ。
そしてタカールはみんなが分かるように壁に映像を浮かび上がらせ語りかけてきた。
タカ:まだ私が生まれ変わる前の話だ。
ヴェルフ王はトーマ達の母であるトワイライト王妃が亡くなり嘆く日々が続いていた。
そんな王の姿を見てタカールは気晴らしに外に出てはどうかと提案した。
宮殿内で仕えてる者も王の姿を見て心配しているようだった。
宮廷の者やタカールに心配かけてばかりなのも王は気が咎めていた。
ある朝に気分良く起きた王はタカールに薦められた地球に遊びにいこうとルーチェの間の門の前に立っていた。
タカ:ようやく外に出る気になったか。
王:ちょっとだけなら気分転換になるだろうし、みんなにいつまでも迷惑かけてはいられないからな。
タカ:私もついて行こうか?
王:いや、すぐ戻って来るから問題ない。
タカ:わかった。
すると横にいた宮廷魔術師が持っている本が光り出し王の服装は地球人に合わせたように変化した。
タカールはネックレスに付いてるペンダントトップを門に当てると門が開きそこには無数の星が並んでいた。
宮廷魔術師:お気をつけて。
タカ:楽しんでくるが良い。
王:ありがとう。
二人の声を背に受け白い翼を広げ門をくぐった王だった。
王は地球の誰もいない場所に着陸し翼をしまった。
王:ふう、バレずに降りるのも大変だな。
王は賑やかな場所を探し歩き出した。
どうやら宮廷魔術師は地球人と体の作りも似せたようで歩いて行くうちにお腹が空いてきた。
街中に入るとお昼時のせいかあちらこちらから良い匂いが漂ってきた。
王:地球人の食事も試してみるか。
王は手取り早く近くのお店の暖簾をくぐった。
女性:いらっしゃいませ。お一人様ですか?こちらにどうぞ。
王は女性に促されテーブル席に着いた。
お店の中は活気がありテーブルに運ばれた料理はどれもこれも美味しそうに思えた。
女性:あらお客さん初めてだね。何にする?
王はどれを選ぶべきか分からずにいたので「おすすめを」と言った。
女性:キンメの煮付け定食だね。注文入りました!
運ばれて来た定食は初めて食べる味で王にとっては新鮮でとても美味しいものであった。
王は全て綺麗に食べ終わり席を立とうとしたその時だった。
女性:お客さんお帰りですか? お会計はこちらですよ。
それを聞いた王は「そうか、食べさせて貰ったから何か支払わなければならないのか」と察した。
特に気にせずに地球に来ていたので手ぶらであった。
王:申し訳ない今日は持ち合わせがない。
女性:そういうのは無銭飲食って言うんだよ。
女性定員は王の周りを下から上までじっくり見始めた。
女性:でも見たところ悪い人のようには見えないし次回お金持ってくる代わりに何かを置いてってくれない?
王:何かと言われても。
自分の体を見回し何か渡せる物がないかポケットを探ってみたが何も入っていなかった。
女性:ねえ、そのブレスレット高そうじゃない?それ預かっておくから次回来た時にお代持ってきてね。
女性はそう言ってブレスレットを無理やり剥ぎ取り、指先でくるくる回しながら厨房へと戻っていった。
またここに来るしかなさそうだと王は諦め、その日はすぐさま星に戻ると事の次第をタカールに話したのであった。
つづく
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