満月に吼える狼

パピコ吉田

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第三章 現る!過去の亡霊

第五話 宮廷魔術師の力

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 サクラは一階に戻るように三人に言った。
 
サクラ:ここで何をしてるの? 早く一階に戻りなさい。

 サクラが言っても三人は入り口から動かなかった。

メラン:サクラさん、この先に何があるか知りたくないですか?

サクラ:ここは前に住んでいた人の遺品があるだけよ。

頼電:サクラおばさんはその遺品を見た事あるの?

サクラ:見た事はないけど・・・でも勝手に見るわけには。それに鍵をどこから。

小夏:わだすも前からここ気になってただす。それでおばさんに隠れて鍵を拝借しただす。ごめんなさい。

頼電:遺品しかないなら別に見てもよくない? 盗んだりしないよ。

 サクラは三人に懇願され断るにも断れない状況になり、彼らも遺品を見れば納得するだろうと思い入ってみる事にした。

サクラ:じゃ私が開けるから鍵を寄越しなさい。

 サクラが古そうな鍵を差し回すと「ギギギ」と少し錆びた音がした。
 
 鍵が開くと両脇の鉄板と扉を頼電とメランがゆっくり押した。

 扉を開け部屋に入ると大きな天体模型が部屋の真ん中に鎮座していた。

 模型とは言い難いくらい綺麗に星々が輝いていて、部屋の電気を点けずとも室内を照らしていた。

 頼電と小夏は天体を目の前にして驚きのあまり何も喋れない状態だった。

 メランはというとは天体に魅入られ興奮しているようだった。

メラン:やはり父が言った通りだった。ルーチェの天体がここに。

サクラ:メランくんの父親は一体誰なの?

メラン:僕の父はトーマ。

サクラ:なんですって⁉︎
 
 頼電と小夏はトーマの名前を聞いてもピンと来ないようだった。

メラン:この日の為にお前たちに近づいたのだ。この姿ならお前たちも油断するだろうと思ってたしな。

 それを聞いたサクラは咄嗟に頼電と小夏を抱きかかえた。

頼電:世界征服って冗談じゃなかったの?

小夏:なんだか怖いだす。よくない事起きそうだす。

 父親がトーマだとしても姿形はメガ男そのものだったので問いただしてみた。

サクラ:でも、メガ男さんの面影があるのは何故?

 メランはニヤリと笑いここぞとばかりに話し出した。

 トルキエの弓の力によりバリアが張られた際に衝撃によってトーマ吹き飛ばされた。

 ふと横を見るとメガ男も一緒に飛ばされたようで何かに使えるのではないかとアリュバス星まで連れ帰った。

 メガ男とトーマは満身創痍だったが宮廷魔術師のエマにより少し体力は回復出来たがメガ男はほぼ意識はなかった。

 死際にトーマはエマにダンデリオン一族の血を絶やさぬよう二人の細胞を使うように命じた。

 エマは魔術で見た目はメガ男、体はトーマの才能を受け継ぐようメランを作り出した。

 十二年かけエマはメランをダンデリオン一族として教育した。

 メランの教育が終わり準備が出来ると地球に送り込んだという訳だった。

サクラ:結局はメガ男さんも亡くなってたなんて・・。

メラン:頼電ありがとう。この天体とこの弓さえあればもはやお前どもに用はない。

 よく見るとメランの手元にトルキエの弓があった。

サクラ:隠しておいたのに何故ここに。

小夏:まさかそんな力あるとは知らずに頼電と出して遊んでますた。

頼電:おばさん勝手に持ち出してごめん。でもその弓が何の意味があるの?

 頼電と小夏は事態の状況がわからずにいた。
 
サクラ:そ、それは・・。

 だが、一方でサクラは頼伝と小夏に一から説明する余裕がない事を感じていた。

つづく
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